ニュースリリース

難病情報照会AIアプリケーションを開発しインターネット上で公開

患者や家族への情報提供と医療関係者向け難病関連研究開発支援サービスを開始
2024年02月20日

2024年2月20日

京都大学大学院医学研究科

RADDAR-J for Society株式会社

日本アイ・ビー・エム株式会社

 

京都大学大学院医学研究科(研究科長:伊佐 正)、RADDAR-J for Society株式会社(代表取締役:山﨑 寿郎、以下RJ4S)と日本アイ・ビー・エム株式会社(代表取締役社長:山口 明夫、以下日本IBM)はAIを活用した難病情報照会アプリケーションとして、患者および家族をはじめ一般市民向けの「Rare Disease-Finder(以下 RD-Finder)」と、医師や研究者向けの「Rare Disease-Finder Pro(以下 RD-Finder Pro)」を共同で開発し、本日インターネット上に公開しました。一般市民向けのRD-Finderは、患者や家族が簡便に正確な難病情報を無料で照会することができます。また、RD-Finder Proは、製薬やライフサイエンス企業、医療機関等と個別に契約し、特定の難病の罹患者の早期発見を支援します。

三者は今後、IBM watsonx™など最新のエンタープライズ向け基盤モデルの 技術を活用して、RD-Finderの内部データベースの一つである遺伝性疾患統合データベースに基づく難病に特化した大規模言語モデルの研究開発を行う計画です。

 

難病と呼ばれる希少・難治性疾患は、疾患毎の患者数は少ない一方で疾患数は10,000以上と非常に多く、患者数は世界のどの地域や集団でも人口の6〜8%にのぼると言われています。しかし専門医の数も少なく、多くの患者は、自身の病名もわからないままに非常に長い期間苦しみ、早期に専門医の診察を受けられないことが大きな課題です。また、診断がついても治療法が確立していない疾患が大多数で、詳細な疾患関連情報を収集することも困難で、治療法の開発や創薬を通じた患者の救済も進んでいません。

 

京都大学大学院医学研究科附属ゲノム医学センター(センター長・教授 松田 文彦、以下京大ゲノム医学センター)は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の難治性疾患実用化研究事業において、日本を代表する公的難病データベースとなる「難病プラットフォーム」の構築を2016年より開始し、多くの難病研究班との連携のもと、統一規格で品質と信頼性の高い難病関連情報の経時的な収集を推進してきました。また、日本IBMと共同でAI技術を用いた症状入力による疾患情報照会システムを開発してきました。そしてこの度、患者および家族を含む一般市民と、医師や研究者へ向けた難病情報照会AIアプリケーションをそれぞれ構築し、京都大学発ベンチャーであるRJ4Sよりインターネット上への公開を開始しました。

 

患者や家族は、RD-Finderに症状を平易な日本語で入力することで、罹患している可能性のある難病の候補を抽出し、その疾患に関わる情報を閲覧することができます。この情報をもとに当該疾患を専門とする医師を見つけコンタクトすることが可能となり、早期の診断や治療開始につながることが期待できます。

RD-Finder Proは、個別の難病研究班や医療機関が持つ情報やノウハウを付加し、特定の疾患に関して検索条件や精度、入力情報などの機能を拡張させることが可能です。特定の疾患に対するチューニングを行い、医療機関に蓄積された診療情報などから患者候補を抽出することで、患者の早期発見を支援します。

 

今後三者はRD-Finderの患者および家族への利用促進とともに、RD-Finder Proを利用した臨床医や病院での難病患者の早期発見を支援していくことを通じ、特定の疾患を対象とした疾患情報の蓄積強化による診断・治療法開発などの難病研究促進と、新規の医薬品開発に貢献していくことを目指します。

 

以上

 

■ご参考資料と参照リンク:

 

一般向け難病情報照会AIアプリケーション「RD-Finder/RD Finder Pro」の特徴

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・公開された査読付き学術論文などの信頼できる情報を照会

インターネット上にはさまざまな病気の情報があり、一般市民が自由に検索し閲覧できる一方、根拠や正確性が低いものも多く含まれています。RD-Finder/RD-Finder Proでは、公開されている国内外の査読済み医学論文を、臨床遺伝学を専門とする研究者が検証した内容に基づいており、信頼できる情報を患者や家族に提供します。

 

・医学専門用語を用いず平易な日本語での入力に対応(RD-Finder)

学術論文や医学専門文献には多くの医学専門用語が用いられており、そこに記載された情報の検索を難しくしています。RD-Finderは医学専門用語と平易な日本語を生成AI技術を用いて連携させることで、患者や家族をはじめとした一般市民が利用することを可能としています。

利用料:無料

URL: RD-Finder(https://rare-disease-finder.com/

         RD-Finder Pro(https://rare-disease-finder-pro.com/

 

希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機器・希少疾病用再生医療等製品の指定制度の概要

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068484.html

 

難病対策

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html

 

なお、本アプリケーションは、利用者が入力した情報に基づき、難病に限定して関連する可能性のある疾患やその疾患についての情報を提供するものです。診断、治療などを目的とはしておらず、情報提供のみを行なうことを意図しています。

本アプリケーションで提供される情報をもとにして、医師の助言なしに医学的判断を下すべきではありません。健康上の問題や疑念がある場合は、必ず適切な医療機関や専門家へ相談する必要があります。

 

※修正:2024年2月23日 RD-Finder ProのURLを追記しました。

2024年4月25日追記: Smarter Business Blog - AIを活用し難病患者と専門医をつなげる。難病情報照会アプリにかける思い、https://www.ibm.com/blogs/smarter-business/business/rd-finder2024-1/

IBM、ibm.com、IBM watsonxは、米国やその他の国におけるInternational Business Machines Corporationの商標または登録商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、ibm.com/trademarkをご覧ください。

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