ニュースリリース

オープンで安全な、責任あるAIの推進に向け、主要な技術開発者、研究者、AI導入者が協業する国際的なコミュニティーとして「AI Alliance」が発足

IBMとMeta社は、世界の50以上の設立メンバー(日本からは、東京大学、慶應義塾大学、Sakana AI 株式会社、SB Intuitions株式会社、ソニーグループ株式会社、フェンリル株式会社が参画)および協力組織が参画するAI Allianceを発足
2023年12月 5日

AIの進歩は、私たちの働き方や暮らし方、学び方、関わり合い方をより良くする新たな機会をもたらしています。安全性、多様性、経済的機会、そして万人への利益を優先する形で、これらの進歩を活用するために必要な情報やツールを、幅広いAIの研究者や開発者、導入者が活用できるようにするためには、オープンで透明性の高いイノベーションが不可欠です。

 

オープン・サイエンスとオープン・テクノロジーに注力し、AIイノベーションの新しい波に参加したいと考えている企業やスタートアップ、研究者、政府、その他多くの人々がいる一方で、より多くの協業や情報共有がなされることで、コミュニティーとしてより迅速かつ包括的にイノベーションを起こせるようになり、また、製品が世に送り出される前に具体的なリスクを特定し、そのリスクを軽減できるようになります。

 

このような背景を受け、AIのオープン・イノベーションとオープン・サイエンスを支援するために、産業界、スタートアップ、学術界、研究機関、政府機関からの主要な組織が結集し、本日、AI Allianceが発足しました。AI Allianceは、行動志向かつ国際的な枠組みであり、社会のニーズや複雑性を反映する方法でAIの進化を形作ることができる多様な機関を通じて、あらゆる場所で機会を創出することを目的としています。

 

AI Allianceは、科学的厳密性、信頼性、安全性、セキュリティー、多様性、経済競争力を確保しながら、オープンなコミュニティーを育成し、開発者や研究者がAIの責任あるイノベーションを加速できるようにすることに注力します。主要な開発者や科学者、学術機関、企業、その他のイノベーターが結集することで、安全性の懸念に対処するためのリソースや知識を集め、また、世界中の研究者や開発者、AI導入者のニーズに合致するソリューションを共有・開発するためのプラットフォームを提供します。 

 

この実現に向け、AI Allianceは以下の目的を満たすプロジェクトを開始または強化する予定です。

  • 安全性、セキュリティー、信頼性を検証したツールのカタログの作成など、世界規模でAIシステムの責任ある開発と利用を可能にするベンチマークや評価基準、ツール、その他のリソースの開発と展開。AIモデルやアプリケーション開発向けに、開発者コミュニティーがこれらのツールを支持し、利用できるようにすることを支援。
  • 気候や教育など、社会全体の課題に対処できるような、高機能な多言語モデル、マルチモーダル、科学モデルといった、多様なモダリティーを持つオープンな基盤モデルのエコシステムの、責任ある推進。
  • 必要不可欠なソフトウェア技術への貢献や導入の促進による、活気あるAIハードウェア・アクセラレーター・エコシステムの育成。
  • グローバルなAIのスキル構築や探索的研究の支援。学術コミュニティーを巻き込み、研究者や学生が本質的なAIモデルやツールの研究プロジェクトを学び、貢献できるよう支援。
  • AIの利点やリスク、ソリューション、精密な規制について、一般市民や政策立案者に情報を提供するための教育コンテンツやリソースの開発。
  • 安全かつ有益な方法でオープンなAI開発を奨励する取り組みを立ち上げ、AIのユースケースを探求するイベントを開催し、AI Allianceのメンバーが、責任ある方法で、有益な目的に対して、どのようにAIのオープン・テクノロジーを活用しているかを紹介。

 

AI Allianceについて

AIのオープン・イノベーションがあらゆる人々に利益をもたらし、それが責任ある形で構築されることを確かなものにできるよう、AI Alliance は、AIの教育、研究、開発・展開、ガバナンスの各側面にわたって活動する幅広い組織で構成されています。

AI Allianceには以下のメンバーが参画しています。

  • MLPerfやHugging Face、LangChain、LlamaIndexといった、説明可能性プライバシー敵対的頑健性公平性評価のためのオープンソースのAIツールキットなど、AIベンチマーク、信頼と検証の指標やベストプラクティス、アプリケーションの作成を推進するツールの作成者。
  • 次世代のAI科学者やエンジニアを教育・支援し、オープン・サイエンスを通じてAI研究の最前線を推し進む大学や科学機関。
  • 必要なGPUからカスタムAIアクセラレーターやクラウド・プラットフォームまで、AIの学習やアプリケーションをサポートするハードウェアやインフラの開発者。
  • PyTorch、Transformer、 Diffusers、Kubernetes、Ray、Hugging Face Text generation inferenceやParameter Efficient Fine Tuningといった、プラットフォーム・ソフトウェアを駆動するフレームワークの支持者。
  • Llama2、Stable Diffusion、StarCoder、Bloomなど、現在最も使用されているオープン・モデルのクリエイター。

 

IBMとMeta社は、産業界、政府機関、学界をリードする組織と共にAI Allianceを発足します。現時点でのパートナーおよび協力組織は以下の通りです。

  • Agency for Science, Technology and Research (A*STAR、シンガポール科学技術研究庁)
  • Aitomatic社 
  • AMD社 
  • Anyscale社 
  • Cerebras社 
  • CERN(欧州合同原子核研究所) 
  • Cleveland Clinic 
  • Cornell University(コーネル大学)
  • Dartmouth(ダートマス大学)
  • Dell Technologies社
  • Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (スイス連邦工科大学ローザンヌ校)
  • ETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)
  • Fast.ai
  • フェンリル株式会社
  • FPT  Software社
  • Hebrew University  of Jerusalem (エルサレム・ヘブライ大学)
  • Hugging Face
  • IBM
  • Imperial College London(インペリアル・カレッジ・ロンドン) 
  • Indian Institute of Technology Bombay(インド工科大学ボンベイ校)
  • Abdus Salam International Centre for Theoretical Physics(ICTP、国際理論物理学センター)
  • Institute for Computer Science, Artificial Intelligence (コンピューター科学・AI・技術研究所)
  • Intel社
  • 慶應義塾大学
  • LangChain 
  • LlamaIndex 
  • Linux Foundation
  • Mass Open Cloud Alliance, operated by Boston University and Harvard
  • Meta社 
  • Mohamed bin Zayed University of Artificial Intelligence(モハメド・ビン・ザイード人工知能大学)
  • MLCommons 
  • National Aeronautics and Space Administration(NASA、米国航空宇宙局)
  • National Science Foundation (NSF、米国国立科学財団)
  • New York University(ニューヨーク大学)
  • NumFOCUS 
  • OpenTeams社
  • Oracle社
  • Partnership on AI 
  • Quansight社 
  • Red Hat社
  • Rensselaer Polytechnic Institute(レンセラー工科大学)
  • Roadzen社
  • Sakana AI社
  • SB Intuitions株式会社
  • ServiceNow社
  • Silo AI社
  • Simons Foundation(サイモンズ財団)
  • ソニーグループ株式会社
  • Stability AI社
  • Together AI社
  • TU Munich (ミュンヘン工科大学)
  • UC Berkeley College of Computing, Data Science, and Society (カリフォルニア大学バークレー校)
  • University of Illinois Urbana- Champaign(イリノイ大学アーバナシャンペーン校)
  • The University of Notre Dame(ノートルダム大学)
  • The University of Texas at Austin(テキサス大学オースティン校)
  • 東京大学
  • Yale University (イェール大学) 

 

AI Allianceの活動内容について

AI Allianceは、上記のすべての主要なトピックに関わる領域において、メンバー主導のワーキング・グループを結成し、活動を開始します。また、上記のプロジェクト分野を推進するとともに、プロジェクト全体の基準やガイドラインを確立することを目的として、運営委員会と技術監督委員会を設立します。

 

AI Allianceは、AI領域の主要な開発者、科学者、教授、学生、ビジネス・リーダーが結集することに加え、AI分野において有益で、AI Allianceと整合性の高い活動を行っている政府、非営利団体、市民社会組織の重要な進行中の取り組みとの連携を計画しています。

 

AI Allianceの詳細は、こちらをご参照ください。

 

参画メンバーのコメント

IBM会長兼CEO アービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)

私たちが、AIの領域で目撃し続けている進歩は、クリエイター、科学者、教授、ビジネス・リーダーのコミュニティーにおけるオープン・イノベーションとコラボレーションの証です。これは、AIの未来を定義する極めて重要な瞬間です。IBMは、AI Allianceを通じて志を同じくする組織と連携し、このオープンなエコシステムが、安全性、説明責任、科学的厳密性に裏打ちされた革新的なAIアジェンダの推進を確かなものにできることを誇りに思います。

 

Meta社 国際問題担当プレジデント  ニック・クレッグ氏

私たちは、AIはオープンに開発される方が、より多くの人々がその恩恵を享受し、革新的な製品を開発できるようになり、安全性にも取り組むことができると確信しています。AI Allianceは、研究者、開発者、企業が結集し、AIモデルがオープンに共有されているか否かにかかわらず、私たち全員が進歩を遂げるのに役立つツールや知識を共有します。私たちは、AIの最先端を推し進め、誰もが責任ある開発を行えるよう、パートナーと協力することを楽しみにしています。

 

慶應義塾長 伊藤公平氏

慶應義塾大学は、スーパーコンピューティング、量子コンピューティング、半導体、AI研究の融合により、コンピューティングの地平を広げることに貢献する重要な役割を担うこの新しいアライアンスの一員になることを大変嬉しく思います。

 

ソニーグループ株式会社  執行役 専務 CTO 北野宏明氏

ソニーは、グローバルなテクノロジーとエンターテインメントの企業として、倫理的、法的、責任ある方法で、クリエイティブなコミュニティーと社会全体の利益のために新しい技術を開発しています。私たちは、産業、学術、研究、政府組織にわたる多様な国際的オープンソース・コミュニティーの代表者と協力し、このような技術の安全で責任ある利用を保証するAIモデル、データ、ガイドライン、ベストプラクティスを開発することを楽しみにしています。

 

東京大学 理事・副学長 相原博昭教授

東京大学は、AI Allianceメンバーの一員となり、AIにおけるオープン・イノベーションとオープン・サイエンスを支援することで、社会全体の利益に貢献できることを大変嬉しく思います。

 

当報道資料は、2023年12月5日(現地時間)にIBM Corporationが発表したブログの抄訳です。原文はこちらをご参照ください。

 

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