ニュースリリース
ブラックボックスに光を
【米国ニューヨーク州アーモンク-2023年5月9日(現地時間)発】
著者:ヘザー・ジェンタイル(Heather Gentile)、IBM データ & AIソフトウェア Product for AI Governance and Regtech担当エグゼクティブ・ディレクター
AI(Artificial Intelligence)が進化し、実証実験を中心とした段階を経て、多くの組織にとってビジネス上ますます重要性を増してきています。今日、AIは、データを洞察と実践に変え、人間の能力を増幅させ、リスクを減らし、画期的なイノベーションを達成することでROIを高めるのに役立つ大きな機会を提供しています。
AIの成功は保証されておらず、簡単には獲得できないかもしれませんが、活用はもはや選択ではなく、必須となっています。最近、IBMが調査した意思決定者の72%によると、AI技術の採用を決定した企業は、非常に大きな優位性を持つことが期待されています。では、何が今日のAI採用を阻んでいるのでしょうか?
組織がAI導入に悩む主な理由は、AI運用の難しさ、リスクとレピュテーションの管理に関する課題、拡大するAI規制に対応した本格展開という3点です。
AI運用の難しさ
多くの組織がAIの適用に苦労しています。ガートナーの調査によると、平均して54%のAIプロジェクトがパイロットから本番に移行していることが明らかになりました。これは、ガートナーが2019年に実施した組織におけるAI調査(平均53%のAIプロジェクトが本番に移行すると報告された)からわずかに増加しています*。これは、以下のようなことが原因です:
- 適切なデータにアクセスできない
- 手作業のプロセスがリスクをもたらし、本格的な展開を困難にしている
- モデルの構築と展開のための複数のツールが自動化をサポートしていない
- プラットフォームと手法がAIに最適化されていない
綿密に計画され実行されるAI は、信頼できるデータと、透明性があり説明可能な出力をするよう設計された自動化ツールに基づいて構築される必要があります。拡張性の高い企業向けAIの実現を成功させるには、AI モデルの構築、展開、監視、再学習用に特別に作成されたツールとプロセスを使用する必要があります。
リスクとレピュテーションの管理に関する課題
顧客、従業員、株主は、組織が責任を持ってAIを使用することを期待し、政府機関もそれを要求し始めています。責任あるAIの利用は極めて重要であり、特に、AIを導入する際のブランドへの潜在的な悪影響について懸念を打ち明けている企業が増えています。また、社会的・倫理的責任を重要な戦略的責務とする企業も増えてきています。
拡大するAI規制に対応した本格展開
AIに関する規制が増加する中、特に多様な要件に支配され、金融サービス、ヘルスケア、通信などの規制が厳しい業界のグローバル企業にとって、責任を持ってAIを導入し本格展開することは、ますます大きな課題となっています。規制を満たせない場合、規制当局の監査や罰金という形での政府の介入、株主や顧客の不信感、収益の損失につながる可能性があります。
解決策としての IBM watsonx.governance
近日提供予定のwatsonx.governanceは、自動化されたプロセス、方法論、ツールセットにより、組織のAI活用を管理するのに役立つ包括的なフレームワークです。モデルの設計、開発、デプロイ、監視をガイドする一貫性のある原則は、責任ある透明で説明可能なAIを推進する上で重要です。IBMでは、AIのガバナンスはすべての組織の責任であり、適切なガバナンスは、企業が個人のプライバシーを強化する責任あるAIを構築するのに役立つと信じています。責任あるAIの構築には、前もって計画を立て、公正、正確、透明、説明可能な結果を推進するように設計し自動化したツールやプロセスが必要です。
watsonx.governanceは、企業がポリシーやベストプラクティス、規制要件を管理し、リスクや倫理に関する懸念にソフトウェアの自動化で対処できるように設計しています。現在のデータサイエンス・プラットフォームからの移行に過剰なコストをかけずに、AIガバナンス・ソリューションを推進します。
このソリューションは、一貫した透明性のあるモデル管理プロセスを開発するために必要なすべてを含むように設計されています。このソリューションが提供する自動化によって、モデルの開発の関するメタデータを取得し、デプロイ後のモデルを監視し、ワークフローをカスタマイズできるようにすることで、拡張性とアカウンタビリティーを促進します。
watsonx.governanceは、以下の3つの重要な原則に基づき、AI適用のあらゆるステップで組織のニーズを満たすことができるよう支援します:
1.ライフサイクル・ガバナンス: AI ライフサイクル全体にわたって、どこからでもAI モデルの監視、カタログ化、管理を運用可能に
AI/機械学習のライフサイクルにおけるモデル・メタデータの取得を自動化し、データサイエンス・リーダーとモデル検証者がモデルに関する最新の情報を得られるようにします。ライフサイクル・ガバナンスにより企業は、AIを大規模に運用および自動化し、結果が透明で説明可能であるかどうかを監視し、有害なバイアス(偏り)やドリフト(精度の低下)を軽減できるようになります。これにより、AIがどのように使用されているかがわかり、また、モデルの再学習が必要な場所が特定されるため、予測の精度が向上します。
2. リスク・マネジメント: 自動化されたファクトとワークフロー管理により、リスクとビジネス・スタンダードへのコンプライアンスを管理します。
リスクの特定、管理、監視、報告を大規模に行うことができます。ダイナミックなダッシュボードを使用して、カスタマイズ可能な明確で簡潔な結果を提供し、包括的なワークフローのセット、コラボレーションの強化、複数の地域や地理的なビジネス・コンプライアンスの推進を支援します。
3. 法規制の遵守: 現在および将来の規制への対応に積極的に取り組む。
外部のAI規制を、さまざまなステークホルダーのための一連のポリシーに変換し、コンプライアンスに対応するために自動的に適用できるようにします。ユーザーは、定義されたポリシーや規制の遵守状況を追跡する動的ダッシュボードを通じてモデルを管理することができます。
さらに、IBMがどのように責任あるAI(RAI)ワークフローを推進しているのか、詳しくご紹介します。
AIライフサイクルのすべての段階において、信頼できるAIソリューションの構築を大規模かつ迅速に支援するために、お客様と協働できるIBMのエキスパート・チームについてはこちらをご参照ください。
以上
*注:Gartner®, Press Release, “August 22, 2022, “Gartner Survey Reveals 80% of Executives Think Automation Can Be Applied to Any Business Decision”
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当報道資料は、2023年5月9日(現地時間)にIBM Corporationが発表したブログの抄訳です。原文はこちらをご参照ください。
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