ニュースリリース
サッポロビールと日本IBMがRTD商品開発スキームのDX化に向けAIシステム「N-Wing★」を本格実装
2022年11月28日
サッポロビール株式会社
日本アイ・ビー・エム株式会社
サッポロビール株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:野瀬裕之、以下サッポロビール)と、日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山口明夫、以下日本IBM)は、2022年11月にRTD(注1)商品開発AIシステム「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」をサッポロビールの開発システムとして本格実装させます。
サッポロビールはこの「N-Wing★」を活用し、2023年夏以降にRTD基軸ブランドで新商品の開発を目指します。
これまでサッポロビールのRTD新商品開発では、サプライヤーから得た原料情報を元に、過去のレシピ等を参照し、長年経験している開発者から情報収集も行うなど、時間と労力をかけて試行錯誤を繰り返して取り組んでいました。本システムは2021年11月よりテスト運用を開始(注2)し、本格実装に向けて協議・検証を続けてきましたが、このたび実装した「N-Wing★」は、これまで商品化した約170商品で検討した配合(約1,200種)や原料情報(約700種)を含むレシピを学習していて、新商品のコンセプトや必要な情報を入力すると、瞬時に目標とする配合の骨格をもとに原料の組合せ、各原料が商品全体の中に占める割合(配合量)まで予測し、推奨配合と推奨香料からなるレシピを出力します。開発担当者はこのレシピを参考にして必要な原料を調達し、試作品の開発を行います。「N-Wing★」が提示したレシピは、AIアルゴリズムにより人間では思い浮かばないような配合が創出されることが確認でき、今後も新しい原料・開発情報を繰り返し学習させることでレシピ配合の予測精度向上が期待されます。
また、これまで初回の商品開発にかかる総時間のうち、原料や配合の検討に多くの時間を要していましたが、「N-Wing★」をテスト運用した結果、従来と比較して、原料検討時間は約75%削減、配合検討時間は約50%削減できることが確認できました。加えて「N-Wing★」の本格実装後、AIによる高精度なレシピ予測により試作時の手直し時間も約50%削減され、商品開発にかかる総時間が約50%削減される効果が期待できます。開発担当者は、これにより捻出された時間を新規原料・技術情報の探索や試験開発など、新たな活動に振り向け、一歩先をいく市場創造型の新商品開発に取り組むことができます。
さらに商品開発においては、過去の配合・原料データなどの知見が属人化され、開発者の長年の経験による熟練技術を伝承していくことが課題になっていましたが「N-Wing★」に過去の実験データやレシピなどの匠の知見を集約・一元化することで、開発者が誰でも推奨香料と配合、過去の使用事例や原料関連情報などを効率良く検索し活用できるようになりました。AIを通じて迅速に過去情報を活用し、最新の原料・技術の活用については人間が探求・挑戦していく、人間とAIが協調した開発スタイルの仕組みが構築され、研究開発部門でのデジタル・トランスフォーメーション(DX)が推進されることが期待されます。
サッポログループは、2023年からスタートする新たな中期経営計画(注3)の基本方針に「Beyond150~事業構造の転換と新たな成長へ」を掲げ、事業戦略、財務戦略、サステナビリティを支える経営基盤を強化する重点施策のひとつとして「DX・IT戦略の推進体制構築」に取り組みます。これらの活動を通じ、グループの全ての事業が提供する時間と空間で、人々と地域社会のWell-beingに貢献していきます。
(注1)Ready to Drink:栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料
(注2)https://www.sapporobeer.jp/news_release/0000014150/
(注3)https://www.sapporoholdings.jp/news/items/20221109_sh.pdf
日本IBMは、これまでさまざまな企業の商品開発DX支援してきたデータサイエンティストやコンサルタントが、AIシステム「N-Wing★」の施策策定、データ活用・分析のロジック、アルゴリズム作成、AI予測エンジンの開発を手掛け、人間が持つ技術とAIを融合し、AIを活用し業務を自動化する「インテリジェント・ワークフロー」により、開発業務の変革を実現しました。今後も、サッポロビール社とともに、レシピの精度向上と技術伝承、そして業務の効率化による商品開発DXを推進していきます。
以上
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