ニュースリリース
IBM、年次イベントThink 2022を開催
[米国ニューヨーク州アーモンク – 2022年5月10日(現地時間)発]
IBMは本日(現地時間)、世界中のお客様や IBM® のエコシステム・パートナーが集まり、デジタル世界において優れた成果を得るために、テクノロジーを組織としてどのように活用していくべきかについて議論する年次 イベント「Think」を、米国ボストンで開催しました。本イベントでは、IBMの役員、グローバル・ビジネス・リーダー、業界の専門家が、テクノロジーにおける大きな進展のほか、サステナビリティー、イノベーション/研究開発、人材確保、自動化といった課題について議論します。
IBM会長兼最高経営責任者(CEO)のアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)は、次のように述べています。「テクノロジーは今、デジタル・トランスフォーメーションが先導する競争優位の源泉となっています。IBMは、ハイブリッドクラウド、AI、コンサルティング・ソリューションに裏打ちされたイノベーションを提供することでお客様やパートナーの成功に貢献し、信頼を勝ち得ています。Thinkイベントでは、IBMが拡大するエコシステムとの共創を通じて、いかに企業や社会が現在直面している最も差し迫った課題に対する進展を遂げているのかをご紹介します」
Think 2022における主な発表は以下の通りです。
量子コンピューティングの実用化および大規模化に向けたロードマップの拡張
IBMは、量子コンピューティングの実用化を目指すための新たなロードマップを公開し、2025年に4,000量子ビット級のシステムを実現する計画を発表しました。新しいロードマップでは、量子ビット数が数十万に達するような量子システムを実現するための、新しいモジュール式のアーキテクチャーおよびネットワークを計画しています。実用的な量子コンピューティングに求められるスピードと品質でこれらのシステムを実現できるよう、IBMは、量子リソースと古典リソースにワークロードを分散し、インフラの課題を抽象化したインテリジェントなソフトウェアを構築する計画です。
- ハードウェア面では、新しいクラスのモジュール化およびネットワーク化された量子プロセッサーを実現するための、3つの新しいスケーラブル・アーキテクチャーを提供する予定です。これらの技術をソフトウェアのイノベーションと組み合わせることで、IBMの2025年の目標である、モジュール式に拡張されたプロセッサーの複数のクラスターによって構築された4,000量子ビット以上のプロセッサーの実現を目指します。
- IBM は同時に、IBM のコア量子ソフトウェア・スタックにサーバーレス・アプローチを導入し、開発者に高度な簡素化と柔軟性を提供できるよう、クラウドに組み込まれたQiskit® Runtime とワークフローによるフリクションレス(摩擦のない)な開発体験を構築するという目標に向けて前進します。このアプローチは、量子システムと古典システムにまたがる課題を知的かつ効率的に分散させるための重要なステップとなり、量子を中心とするスーパー・コンピューティングの時代への基礎となるものです。
- IBMは、2020年に発表した量子ロードマップのタイムラインで示した各目標を達成してきました。達成した目標の一例として、古典的なコンピューターでは正確なシミュレーションが不可能な量子回路を備えた127量子ビットのプロセッサー「IBM Eagle」や、Qiskit Runtimeを活用することで、2017年の先行実験と比較して、分子シミュレーション能力の120倍の高速化を実現したことなどが挙げられます。IBMは、2022年後半に433量子ビット・プロセッサー「IBM Osprey」を、2023年には1,000量子ビットを超える世界初のユニバーサル量子プロセッサー「IBM Condor」を発表する予定です。
量子コンピューティングの拡張版ロードマップに関する詳細は、IBM Research blog(英語)をご参照ください。
IBMのグローバル・インサイトが示す、AIおよびサステナビリティーに対する優先順位の着実な高まり
IBMは、ビジネスの意思決定を行う7,502人の経営層を対象に調査を行った「Global AI Adoption Index 2022(グローバルAI導入指数2022)」を発表しました。調査から、過去12カ月間でビジネスにおけるAIの導入が着実に増加したことが明らかになりました。
- 現在、ビジネスにAIを活用していると回答した企業は35%で2021年から4ポイント増加しました。また、企業の30%は、所属する組織の従業員が新しいAIや自動化のソフトウェアやツールを使用して、すでに時間を節約していると回答しています。
- 同時に、AIを導入していないと回答した企業は、AIを導入済みの企業と比べ、自社が適切なデータ管理ツールを有していることにほとんど自信がないと回答する割合が3倍高くなっており、効果的なデータ管理とAI導入が密接に関連していることが明らかになりました。
- さらに、信頼できるAIは企業にとって優先事項ですが、多くの組織が、バイアスの削減(74%)、パフォーマンスのばらつき/モデル・ドリフトの追跡(68%)、AIによる決定の説明可能性の確保(61%)など、AIが信頼でき、責任を負うことができるようにするための措置を講じていないと回答しています。
- その他の主な調査結果として、サステナビリティーの目標に対する経営層の関心が、AI導入の重要な推進力となっており、調査対象の組織の3分の2(66%)が現在、または将来的にサステナビリティーの目標達成に向け、AIの適用を計画していることが明らかになりました。
IBM Institute for Business Value(IBV)が世界中の3,000人以上の最高経営責任者(CEO)を対象に実施した新しい経営層スタディでは、ビジネス・リーダーが経営課題としてサステナビリティーを優先していることがさらに浮き彫りになりました。
- 年次調査である経営層スタディでは、調査対象となったCEOの約半数(48%)が、サステナビリティーを最優先事項の一つに挙げていることが明らかになりましたが、取締役会や投資家からの圧力の高まりに加え、信頼できるデータ・インサイトの欠如やテクノロジーの障壁が、リーダーの行動力を妨げています。
- 調査対象となったCEOの半数以上(51%)が、近い将来の最大の課題としてサステナビリティーを挙げており、これは2021年から59%も急上昇しています。
加速し続けるパートナーシップ
IBMは、SAPとの長年のパートナーシップの一環として、お客様のサポートと企業の成長を促進できるよう、世界最大規模の企業向けSAP ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)変革プロジェクトに取り組んでいます。
- IBMは現在、SAPの次世代ERPシステムであるSAP S/4HANA®への移行を進めています。このビジネス主導プロジェクトでは、RISE with SAP on IBM Power on Red Hat Enterprise Linux on IBM Cloudによって推進されるもので、最終的には375TB以上のデータをオンプレミスおよび複数のクラウド環境から移行する予定です。
- IBMコンサルティングがこの大規模なIT変革を主導し、最終的に300以上のSAPインスタンスを移行し、500台のサーバーをRISE with SAP on IBM Power on Red Hat Enterprise Linux on IBM Cloudに統合する予定です。SAP S/4HANA®の移行は、現在本番稼働している同社の130億米ドル規模のソフトウェア事業部全体で進行中です。
スキル習得支援による人材不足とサイバーセキュリティーに向けた取り組み
2030年までに3,000万人のスキル習得支援を行うというコミットメントに基づき、IBMは歴史的黒人大学(Historically Black Colleges & Universities:HBCU)6校、米国退役軍人省、スペシャリステルネ財団との新規パートナーシップおよびパートナーシップの拡大により、人材不足とサイバーセキュリティー危機への対応に取り組んでいます。
- HBCUおよびHBCUシステムの20校以上でサイバーセキュリティー・リーダーシップ・センターの開設を計画しており、ノース・カロライナA&T州立大学、サザン大学システム、クラーク・アトランタ大学、ザビエル大学ルイジアナ校、モーガン州立大学、サウス・カロライナ州立大学の6校から開始します。
- これらの大学では、オンライン学習カリキュラム、クラウドへのアクセス、没入型学習体験など、IBMのカスタマイズされた複数年のサイバーセキュリティー体験を利用できるようになり、今後さらにHBCUがサイバーセキュリティー分野で優れた人材を育成できるよう支援します。
- また、IBM は、米国退役軍人省および スペシャリステルネ財団と提携し、IBM SkillsBuild を提供する予定です。この取り組みにより、IBM は 米国退役軍人省を通じて、就労トレーニングや資格取得を求めている移行期の軍人に対し、需要の高いテクノロジー・キャリア向けのカスタマイズされた学習パスやその他の非伝統的な就労訓練といった高度なリソースを提供しています。さらに、IBM とスペシャリステルネ財団の協業により、13 カ国(オーストラリア、オーストリア、ブラジル、カナダ、デンマーク、フランス、アイスランド、アイルランド、イタリア、メキシコ、スペイン、英国、米国)の脳の多様性を持つ方々のコミュニティーに就労トレーニングを提供する予定です。
本日の基調講演では、クリシュナと共に、テクノロジーをビジネスに適用することで変革をもたらそうとする以下の3名の先見者が登壇します。この3名は「New Creators(新しいクリエイター)」として、Think on Tourイベント期間中を通じて紹介されます。
- テクノロジーの活用により、十分なサービスを受けていないコミュニティーの住宅購入プロセスをより公平なものにしようとしているHome Lending Palの共同創設者 兼CEOのBryan Young氏
- AIを活用して食料システムのより持続可能な未来を創造しているInariのCIO兼CDOのRania Khalaf博士
- 米国人が毎日利用しているサイバー・インフラや物理的インフラへのリスクを軽減するためにテクノロジーを活用している米国Cybersecurity and Infrastructure Security Agency(CISA)のチーフ・スタッフであるKiersten Todt氏
また、上記3名以外の「New Creators(新しいクリエイター)」は、IBMのブランド・キャンペーンである「Let's Create」の統合ブランド・プラットフォームの一部として、プリントやデジタル、OOH、ソーシャル、動画などのマーケティング活動内で紹介される予定です。
WIRED Brand Labと共同制作したThink Broadcastは、www.ibm.com/Thinkにて、5月10日・11日午前10時~12時(米国東部時間)に、英語、スペイン語、日本語、韓国語、ポルトガル語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、中国語で放送予定です。Think Bostonのステージ・セッションのリプレイは、イベント当日にオンデマンドで視聴することが可能です。
ボストンで開催されるThink 2022に続き、世界10数都市にてThink On Tourイベントを開催予定です。開催都市における最新情報はこちらをご確認ください。
当報道資料は、2022年5月10日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
IBM、ibm.com、IBM Cloud、IBM Z、Power、Qiskit、Thinkは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtml (US)をご覧ください。
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