ニュースリリース

IBMとサムスン、従来型の設計を覆す半導体の飛躍的な進歩を発表

• ナノシート以降の微細化に向けた道筋を示す、垂直型デバイス・アーキテクチャー
• 微細化されたfinFETトランジスターと比較し、85%のエネルギー削減を目指す
• 世界有数の半導体設計・試作のエコシステムの本拠地である、ニューヨーク州のAlbany Nanotech Complexで開発
Dec 16, 2021

2021年12月16日

VTFET

 

[米国ニューヨーク州アーモンク - 2021年12月14日(現地時間)発] -- IBM(NYSE: IBM)とサムスン電子(以下、サムスン)は、本日、新しい垂直型トランジスター・アーキテクチャーを利用した、半導体設計における飛躍的な進歩について共同で発表しました。このアーキテクチャーは、ナノシート以降の微細化に向けた道筋を示すもので、微細化されたFin Field-Effect Transistor(finFET)と比較し、エネルギー使用量を85%削減できる可能性があります。世界的な半導体不足により、半導体チップの研究開発への投資の必要性、また、コンピューターから家電、通信機器、交通・運輸、重要インフラに至るあらゆる所で、チップの重要性が浮き彫りになっています。

 

今回のイノベーションに対する共創的アプローチにより、Albany Nanotech Complexは、半導体研究とイノベーション創出に向けたパートナーシップの世界的な本拠地となり、半導体製造の需要への対応と世界のチップ産業の成長を支えます。

 

本日発表された垂直型トランジスターのブレークスルーは、以下のような大幅な改善を実現するための、半導体業界における継続的な取り組みを後押しします。

 

  • ナノシートを超える半導体デバイスのスケーリングを可能にするデバイスアーキテクチャー
  • 1週間以上充電しなくても済む携帯電話のバッテリー
  • クリプトマイニングやデータの暗号化といった、大量の電力を必要とするプロセスにおける、電力消費の大幅な削減や二酸化炭素排出量の減少
  • モノのインターネット(IoT)やエッジデバイスといった消費電力の少ない機器の、海洋ブイ、自律走行車、宇宙船など、これまでより広範囲で多様な環境での活用の促進

 

IBM Researchのハイブリッドクラウド&システム担当バイス・プレジデントのムケシュ・カレ(Mukesh Khare)は、次のように述べています。「本日の技術的な発表は、社会に進歩をもたらし、生活やビジネスを向上させ、環境負荷軽減に寄与するイノベーションを提供し続ける方法を、慣習にとらわれずに再考するための取り組みについてです。現在、業界が直面している様々な制約の中で、IBMとサムスンは、半導体設計における共同のイノベーションと、我々が共に追求する『ハードテック』に対するコミットメントを示しています。」

 

高密度に集積されたICチップに搭載されるトランジスターの数が2年ごとに約2倍になるという「ムーアの法則」は、限界へと急速に近づいています。つまり、限られた面積の中にトランジスターを詰め込み続けるにはスペースが足りなくなってきているということです。

 

これまでのトランジスターは、半導体の表面に平らに形成され、電流が横方向に流れるように作られていました。IBMとサムスンは、新しいVertical Transport Field Effect Transistor(VTFET)によって、チップの表面に垂直に形成され、電流が上下に流れるトランジスターの実現に成功しました。

 

VTFET形成プロセスは、ムーアの法則による限界に挑み、チップの設計者が限られたスペースにより多くのトランジスタを詰め込もうとする中で生じる、性能に関する様々な障壁を解消するものです。また、トランジスターの接続点を見直し、より大きな電流を、損失を低減して流すことも可能にします。この新設計は、他の技術候補である微細finFETと比較して、パフォーマンスの2倍改善、または、エネルギー電力使用量の85%削減を目指しています1

 

最近では、IBMは2nmチップ技術のブレークスルーを発表し、指の爪ほどのスペースに最大500億個のトランジスターを搭載できるようになりました。VTFETのイノベーションは、ムーアの法則の継続につながる、全く新しい次元に焦点を当てています。

 

Albany Nanotech Complex発のイノベーションは、しばしば商用化に直結します。本日両社は、チップの開発ライフサイクルの最終段階として、サムスンがIBMの5nmノードのチップを製造することも発表しました。これらのチップは、IBM自身のサーバー・プラットフォームに使用されることが見込まれています。2018年にサムスンがIBMの7nmチップを製造すると発表した後、今年初めにIBM Power10ファミリーのサーバーに搭載されるようになりました。同じく今年発表されたIBMTelumプロセッサーも同様に、IBMの設計を用いてサムスンが製造しています。

 

半導体においてIBMがこれまでに成し遂げてきた歴史的なブレイクスルーには、7nmおよび5nmプロセス技術の初の実装、High-kメタルゲート技術、SiGeチャネルトランジスター、シングルセルDRAM、デナードスケーリング則、化学増幅フォトレジスト、銅多層配線、Silicon on Insulator技術、マルチコア・マイクロプロセッサー、エンベデッドDRAM、3Dチップスタッキングなどがあります。

 

 

当報道資料は、2021年12月14日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2021-12-14-IBM-and-Samsung-Unveil-Semiconductor-Breakthrough-That-Defies-Conventional-Design

 

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[1] VTFETナノシートと微細化されたFinFETデバイスのシミュレーション結果を、同じフットプリントと45nm以下の微細ゲートピッチで比較しています。VTFETナノシートは、同等の電力において、微細化されたFinFETの約2倍の性能を実現しています。これは、FinFETの性能が厳しいスケーリングの制約の影響を受けているのに対し、VTFETが良好な静電容量と寄生容量を維持しているためです。電力性能曲線を外挿した等価周波数において、VTFETは、微細化されたFinFETアーキテクチャーと比較して、85%もの電力削減を実現しています。影響を受けているのに対し、VTFETが良好な静電容量と寄生容量を維持しているためです。電力性能曲線を外挿した等価周波数において、VTFETは、微細化されたFinFETアーキテクチャーと比較して、85%もの電力削減を実現しています。

 

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