ニュースリリース
青森県の「防災公共・災害情報提供システム」を構築
日本IBMは、青森県が発注した「防災公共・災害情報提供システム開発業務委託」を受注し、本年3月末までに開発を終了したことを発表します。
青森県は、平成20年6月岩手・宮城内陸地震、平成23年東日本大震災、全国各地の集中豪雨などを踏まえ、人命を守ることを最優先に考えた防災対策を「防災公共」と提唱し、取り組んでいます。この取組では、孤立する恐れがある集落や津波浸水想定区域がある各地区について、避難場所や防災拠点となる役場、耐震補強が未実施の橋梁、道路防災点検箇所、土砂災害危険箇所、および津波浸水想定区域などの情報を一元化し、居住地から避難場所、避難場所から役場、役場から地方中心生活圏都市までの経路を検討し、最適な避難経路・避難場所を確保するために必要な危険箇所対策等を防災公共推進計画として策定し公表しています。
本システムは、平常時にこれらの防災公共の情報を電子地図上に表示し、防災公共推進計画のフォローアップに役立てるとともに、道路の通行規制情報の管理に活用します。
道路種別や路線名を選択し、電子地図上で起点、終点を選択するだけで規制区間の指定を行うことができます。
災害発生時には、同じ仕組みを用いて、道路の規制区間や被災区間、被災箇所や避難場所等を電子地図上に重ね合わせて表示し、各種意思決定を支援します。例えば、災害発生時に現地で写真を撮影してシステムに送信するだけで、画像ファイルから自動的に位置情報を抽出して電子地図上に表示できるので、リアルタイムで現地の状況を本部にて把握することができます。さらに、気象庁から送信される気象情報を取り込み、システムで自動的に地図情報に変換するため、被災箇所やハザード情報等の情報と重ね合わせて気象情報を電子地図上で表示することができます。
本システムでは、膨大な情報を一枚のウェブ地図上に快適に表示・操作するため、国土交通省統合災害情報システム(DiMAPS)(http://www.mlit.go.jp/saigai/dimaps/)に採用されているタイルマッピング技術を採用しました。これにより、システムで扱う地図情報を地図タイルに変換することで、地図表示パフォーマンスを大幅に向上できます。このタイルマッピング技術の都道府県防災情報システムへの適用は、国内初の事例です。生成されるタイルの仕様は、国土地理院が提供する地理院タイル(http://maps.gsi.go.jp/development/siyou.html)と同じ仕様とし、ベクトルタイルであるGeoJSONについては、国土地理院が提供する仕様(*)に準拠します。この仕様に準拠することで、今後、国の関係機関等の間で、大規模災害時に被害状況等の円滑な情報共有の可能性が広がります。
システム基盤には、平成25年岩手県豪雨災害、平成27年関東・東北豪雨、平成28年熊本地震などで活用された実績を持つ「IBM業務支援Webプラットフォーム」を採用しました。大規模災害で実際に使われた基盤を基にシステムを構築することで「大規模災害時に活用された経験値がなく、本当の有事の際に使えるのか分からない」という課題を解決します。
地図タイルデータの作成には、地理情報プラットフォームとして課題解決や意思決定に役立ち世界中で多数の実績のあるEsri社のArcGISを用いることで、旧来型の方式と比較してデータ作成時間を大幅に短縮します。
また、平成28年熊本地震において、刻一刻と変わる現地のニーズに合わせて必要となる帳票を迅速に提供し、被災者の支援に貢献した実績を持つデジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社の「Excel業務イノベーションプラットフォームxoBlos(ゾブロス)」を採用し、有事の際に必要となるさまざまなExcel帳票を提供します。
本システムは、クラウドサービスを活用し、庁舎の被災や長期間の停電が発生するような状況が発生しても、システム機能を継続して提供でき、利用者がインターネットに接続できるPCやタブレットを準備できればシステムの運用が可能となります。
参考:稼働イメージ
*国土地理院GeoJSON規約
<ウェブ地図レイヤ定義 layers.json 規約>
https://github.com/gsi-cyberjapan/layers-dot-json-spec (英語)
<ベクトルタイルスタイル定義 style.js 規約>
https://github.com/gsi-cyberjapan/style-dot-js-spec (英語)
<スタイルつき GeoJSON 規約>
https://github.com/gsi-cyberjapan/geojson-with-style-spec (英語)
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