ニュースリリース
IBM Power Systemsを利用して西ナイルウィルスを媒介する蚊のゲノムを構築
[米国ニューヨーク州アーモンク発、2017年3月23日]
IBM(NYSE:IBM)は本日(現地時間)、ベイラー医科大学The Center for Genome Architecture(以下TC4GA)の研究者が率いるチームが、IBM、Mellanox、およびNVIDIAのテクノロジーを利用して、西ナイルウィルスを媒介するネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus mosquito)の12億文字のゲノムを構築したことを発表しました。この新しいゲノムにより、科学者はウィルスが伝播に用いる蚊の弱点を突き止める、西ナイルウィルス対策の強化を図ることが可能になります。
「VOLTRON」と名付けられた高性能コンピューティングシステムは、IBM® Power Systemsをベースとしており、幅広いデータ分析を必要とする研究にに求められるスケーラブルなHPC性能を提供します。ベイラー医科大学は、米国エネルギー省オークリッジ国立研究所、同ローレンス・リバモア国立研究所、および英国政府STFC(Science and Technology Facilities Council:科学技術設備会議)ハートリー・センターによる世界有数のスーパーコンピューティングコミュニティーに参加しています。同機関は、最先端HPC研究のためにIBMのPower Systemsプラットフォームを近年導入しました。
VOLTRONの3Dアセンブリは、DNAの折りたたみパターンを用いて細胞核を縦横に交差するゲノムを探し出すことにより、ゲノムシーケンスの方法を変えようとしています。その結果得られた方法論は、これまでより高速かつ低コストです。例えば、当初のヒトゲノム計画には10年の歳月と40億ドルのコストがかかりましたが、3Dアセンブリでは2~3週間と1万ドル足らずで同等のゲノムシーケンスが可能です。
こうした活動は、西ナイルウィルスのような疫病が発生した場合への対処に必要なため緊急性が高まっています。
ベイラー医科大学TC4GAの博士研究員であるオルガ・ドゥドチェンコ(Olga Dudchenko)氏は、次のように述べています。「IBM POWER8とMellanox InfiniBandインターコネクトを利用することにより、ゲノムのアセンブリの方法を変えることができました。VOLTRONは本来ヒトゲノムの解読を目的に開発されたものですが、無数に存在する種にも応用することができます。これにより、世界中の大勢の人々に影響を及ぼす疫病を媒介する蚊について詳しく研究する機会が得られます」
TC4GAディレクターのエレツ・リーバーマン・エイデン(Erez Lieberman Aiden)氏は、「3DアセンブリーとIBMのテクノロジーは、桁外れの計算能力を必要とする側と提供する側との素晴らしい組み合わせです」と述べています。
TC4GAは、VOLTRON高性能コンピューティング・システムによってその研究能力を最大限に高めるために、Mellanoxと緊密に協力しています。Mellanoxのインテリジェントなインターコネクト技術とアクセラレーション・エンジンを利用することにより、研究者に効率的でスケーラブルなプラットフォームを提供し、世界中の生命に関わる病気の治療法を発見するためのゲノム解読を強化することが可能になっています。
IBMとNVIDIAの多年にわたるコラボレーションによって実現したPOWERプロセッサーのオープン・アーキテクチャーを利用したNVIDIA Teslaアクセラレーテッド・コンピューティング・プラットフォームが、ベイラー医科大学の画期的研究を支援しました。
VOLTRONの設計にはPOWERテクノロジーとTeslaテクノロジーが統合されており、ベイラー医科大学の研究者たちが膨大な量のデータを驚くべき速さで処理することを可能にしています。VOLTRONは、それぞれ8個のNVIDIA Tesla GPUを搭載した4つのシステムのクラスターで構成されています。Tesla GPUは、データ集約型のゲノム計算において最適な性能を得られるように、NVIDIAの技術者によってチューニングされています。
追加の資料および画像はhttp://aidenlab.org/dudchenkomediakit2017/ からダウンロードできます。
当報道資料は、2017年3月23日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/51920.wss (US)
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