ニュースリリース
IBM、データ・サイエンティストの前に立ちはだかる障壁を取り除きコグニティブ開発を推進する新たなAIソフトウェアを発表
[米国ニューヨーク州アーモンク - 2017年5月10日(現地時間)発]
IBM(NYSE:IBM)は本日(現地時間)、Power Systems上で稼働するディープ・ラーニング・ソフトウェア・ディストリビューション「PowerAI」の重要な新規リリースを発表しました。このリリースは、ツールやデータ準備によって開発プロセスを簡素化すると同時に、AIシステムのトレーニング時間を数週間から数時間に大幅短縮することで、データ・サイエンティストや開発者が直面する課題を解決します。
データ・サイエンティストや開発者は、ディープ・ラーニングを活用して、自動運転車から収集されるコンピューター・ビジョンのリアルタイム不正検出や、信用リスク分析システムに至るまで、多岐にわたるアプリケーションを開発しています。これらのコグニティブ・アプリケーションは、従来のアプリケーションよりもはるかに多くのコンピューティング・リソースを必要とし、x86システムでは対応できないことが多くあります。
現在PowerAIを利用しているElinar Oy Ltd社のCTOであるアリ・ユントゥネン(Ari Juntunen)氏は次のように述べています。「GPUアクセラレーターを搭載したPower Systems上で稼働するIBM® PowerAIは、弊社のx86プラットフォームの2倍以上のパフォーマンスを実現し、メモリーの追加、新しいサーバーの設定等、あらゆることをより素早く簡単に行うことができます。その結果、弊社は、新しいソリューションを短期間で市場に出すことが可能になり、競合他社に対する優位性を維持できています。弊社は、今日の市場において、IBM Power SystemsとPowerAIの組み合わせがAI開発者にとって最高のプラットフォームであると考えています。AIではスピードが非常に重要ですが、PowerAIに並ぶ製品は他にないと思います」
本日発表された新たなPowerAIのロードマップでは、AIシステムのパフォーマンス、効果的なデータ準備、およびエンタープライズ・レベルのソフトウェアというお客様の重要なニーズに対応する以下の4つの新たな特徴が挙げられています。
- 使いやすさ:「AI Vision」と呼ばれる新しいソフトウェア・ツールが搭載されています。このツールを使用することで、アプリケーション開発者は、ディープ・ラーニングに関する知識があまりなくても、アプリケーションに必要なコンピューター・ビジョンの開発のためにディープ・ラーニング・モデルのトレーニングを行い、それらのモデルを導入することができます。
- データ準備用ツール:Apache Sparkを統合するクラスター仮想化ソフトウェア「IBM Spectrum Conductor」と統合します。これにより、非構造化および構造化データ・セットを変換して、ディープ・ラーニングのトレーニングで使用できるように準備するプロセスが簡素化されます。
- トレーニング時間の短縮:Google社によって最初に構築された一般的なオープン・ソースの機械学習フレームワーク「TensorFlow」の分散コンピューティング・バージョンを使用できます。このTensorFlowの分散バージョンは、コスト効率の高いハイパフォーマンス・コンピューティングの手法を用いたGPU高速化サーバーの仮想化クラスターを活用することで、ディープ・ラーニングのトレーニング時間を数週間から数時間に短縮します。
- モデル開発の簡素化:「DL Insight」と呼ばれる新しいソフトウェア・ツールが搭載されています。このツールを使用することで、データ・サイエンティストは、ディープ・ラーニング・モデルの精度をより短期間で向上できます。このツールは、ディープ・ラーニングのトレーニング・プロセスをモニターし、最高のパフォーマンスを実現できるようにパラメーターを自動調整します。
IBM Cognitive Systems担当のシニア・バイス・プレジデントであるボブ・ピッチャーノ(Bob Picciano)は次のように述べています。「データ・サイエンティスト、およびコグニティブ開発者の新興コミュニティーがコグニティブ時代におけるイノベーションの大半を牽引していくことになるでしょう。IBMのPowerAIは、彼らのAIに向けた取り組みを可能な限り簡単、直感的、かつ生産的なものにします。PowerAIは、待ち時間による苛立ちを軽減し、生産性を向上させます。Power SystemsはAI時代のデータやコンピューティングに合わせて設計されており、過去のクライアント/サーバー・モデルに基づいたプログラムに合わせて設計されているx86サーバーとは全く対照的です。
PowerAIは新しいNVIDIA Volta GPUをサポート
PowerAIは、ディープ・ラーニング、機械学習、AIのような大量のデータを扱うワークロードに合わせて設計されているIBM Power Systems S822LC for HPC向けに最適化されています。IBM POWERプロセッサーとNVIDIA GPUの緊密な統合は、NVIDIA NVLinkの高速な相互接続によって実現されます。POWERプロセッサーとNVIDIA GPUをつなぐ「高速道路」の役割を果たすNVIDIA NVLinkは、この2種類のプロセッサー間の超高速データ移動の実現を可能にします。この独自のCPUとGPUの結合により、開発者の生産性を示す重要な指標となるAIトレーニングのパフォーマンスが向上します。これによってイノベーションのサイクルを高速化することが可能となるため、開発者は新しいモデルやパラメーターの設定、データ・セットをより高い頻度で考案、試すことができるようになります。
PowerAIは、本日発表されたNVIDIA Voltaアーキテクチャーをサポートする予定です。Voltaは、2つの重要な機能拡張による次世代のNVLinkを特徴としており、PowerAIのお客様に大きなメリットを提供します
- (a) 4年前に最初に導入された古いPCI-e 3.0インターフェースを使用したVolta GPUとx86 CPU間のデータ転送と比較して、POWER9 CPUとVolta GPU間のテータ転送が10倍高速になっています。
- (b)メモリー・コヒーレント:POWER9 CPUに接続されたシステム・メモリーとGPUメモリー間のデータ移動が自動的に行われるため、ソフトウェア開発者は、GPUアクセラレーターのプログラミングを従来よりもはるかに簡単に行うことができるようになります。
PowerAIについて
主要なディープ・ラーニング・フレームワークからなる、キュレーション、テスト、および事前パッケージ化が行われたPowerAIのディストリビューションは、AI向けに構築されたIBM Power Systems サーバー上で稼働します。このクラス最高レベルのハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いることで、膨大なコンピューティングを要するワークロードを簡単に処理できます。PowerAIにより、データ・サイエンティストや開発者は、オンプレミスやクラウドでのアプリケーション開発を最速で行うことができます。
PowerAIは、一般的な機械学習とディープ・ラーニングのオープンソース・アプリケーション・フレームワークからなるエンタープライズ・ソフトウェア・ディストリビューションです。PowerAIは、関連するライブラリーやパッケージとともに、TensorFlow、Caffe、Torch、Theano、Chainer、NVIDIA DIGITSなどの機械学習やディープ・ラーニングのフレームワークが含まれた、バイナリー・ディストリビューションで、1度のダウンロードで簡単にインストールすることができます。
PowerAIのエコシステムには、Continuum AnalyticsのAnaconda、H2OのH2O機械学習ライブラリー、Bons.aiのAIソフトウェア開発ツールなどのソフトウェアが数多く含まれています。IBMは、ディープ・ラーニングを活用するアプリケーション開発者を対象にしたエンタープライス・サポートやサービスも提供しています。
当報道資料は、2017年5月10日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/52346.wss
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