ニュースリリース

IBM、気象と環境の研究に最高2億米ドル相当の貢献を準備

世界中の研究者からの提案のうち最大5件を支援-- IBMがクラウドや気象データ、クラウドソーシングによるスーパーコンピューティングを提供
2017年07月21日

[米国ニューヨーク州アーモンク - 2017年7月10日(現地時間)発]

気候変動が急速に進んでいる中、IBMコーポレーションは、大規模なコンピューティング・リソースや気象データ、クラウドを提供し、世界で気候変動の影響を調査し、その影響を軽減する方策を検討している研究者を支援していきます。大きなインパクトが見込まれる最大5つの気象関連プロジェクトに、最大2億米ドル相当の支援を提供し、実験結果を幅広く共有していく予定です。

IBMは、自社の社会貢献活動のひとつであるワールド・コミュニティー・グリッド(英語)の提供先となる研究プロジェクトをこの度公募します。ワールド・コミュニティー・グリッドでは、研究者に膨大なコンピューティング・リソースを無償で提供するプログラムで、現在までにも環境や医療に関連する大規模な調査の実施支援をしています。

ワールド・コミュニティー・グリッドは、科学的研究の支援に賛同してくれている80カ国の73万人を超える個人と430の機関による、300万を超えるデスクトップ、ラップトップ、Androidデバイスを活用しています。ワールド・コミュニティー・グリッドのボランティアが、自分のコンピューターやAndroidデバイスに無償の安全なアプリケーションをダウンロードしインストールすることで、コンピューターを使用していないアイドル状態の間に、ボランティアの端末が研究チームに代わって自動的に仮想実験を行います。その結果が研究者のもとに転送され、分析が行われます。

今回、気象に関連する研究を応募いただく科学者は、無償のIBMクラウドのストレージ・リソースの利用申請も行うことができます。これにより、安全で応答が早く、便利な方法で研究データを扱えるようになります。また、IBM関連会社のThe Weather Company, the IBM Business(英語)が提供する、地球の気象条件の過去および現在のデータ、さらに将来の予測データに無償でアクセスすることもできます。

IBMが提供するワールド・コミュニティー・グリッドの仕組みによるコンピューティング・リソースにより、今までに多くの潜在的な研究分野がサポートされています。例えば、河川流域と淡水資源に対する影響の測定、気象条件の変化に基づく人間や動物の移動パターンの追跡と予測、汚染または浄化の取り組みに影響を与える気象の分析、厳しい気象条件の地域における作物や家畜の回復力と収穫量の分析と向上などです。

IBMのワールド・コミュニティー・グリッドは、これまでにも、世界中の科学者が主導する環境に関連する多くのプロジェクトを支援してきました。例えば、ハーバード大学は、現在生産されている多くの有機薄膜太陽電池に対し、約2倍の交換効率を実現できる可能性がある、36,000種類の炭素系化合物を特定しました(US)。

ハーバード大学の化学およびケミカル・バイオロジーの教授であるアラン・アスプル-グジク博士(Dr. Alán Aspuru-Guzik)は、次のように述べています。「ワールド・コミュニティー・グリッドにより、私たちは、人類に意義のある時間の尺度で、つまり、数十年ではなく数年で太陽電池の新しい可能性を見出すことができました。通常、このような研究を試みる計算化学者は、一度に10種類や20種類の分子を研究しています。ワールド・コミュニティー・グリッドのおかげで、私たちは、毎日約25,000の分子を選別できました。私たちは、何百万という分子に関して考察を開始し、このような膨大な規模に基づいた新しいアイデアを考案する必要がありました」

ワールド・コミュニティー・グリッドで支援されたその他の環境の取り組みには、中国の清華大学が主導したプロジェクト(US)が挙げられます。このプロジェクトは、ナノテクノロジーを利用し、より効率的な水ろ過技術を実現する可能性のある現象を明らかにしました。また、科学者たちはIBMのワールド・コミュニティー・グリッドを利用して、異常気象に対する作物の回復力(英語)の理解を深めたり、影響を受けやすい河川流域における水の管理事例の影響をモデル化(US)しています。

IBMは長年にわたり、環境保護の取り組みにおけるリーダーシップを発揮してきました。6月下旬、IBMは、気候変動への対策を支援する取り組みにおいて、スケジュールを4年前倒しして約束した2つの大きな目標を達成したことを発表しました(US)。また6月、IBMは、パリ協定のサポートを再確認し(US)、気候変動に対し、グローバルな対策を引き続き主導するよう寄与するというコミットメントを表明した、#WeAreStillIn(英語)協定にも署名しました。

IBMのコーポレート・シチズンシップ担当バイス・プレジデント兼IBM International Foundation理事長のジェニファー・ライアン・クロージャー(Jennifer Ryan Crozier)は、次のように述べています。「コンピューターを活用した研究は、気候変動とそれに関連する環境の変化に関する研究を進展させるための強力な方法です。IBMは、気候変動への対策を図る重要な取り組みが進展するよう、科学者に膨大なコンピューティング能力、クラウド・リソース、気象データへのアクセスを無償で提供し、支援できることを誇りに思います」

IBMは、今回、支援するプロジェクトを最大5つ選定します。応募された提案書は、科学的なメリット、特定の気候と環境の課題またはそれらを軽減する有効な方法の開発に対し、グローバルなコミュニティーが理解できるよう寄与する可能性、支援を受ける息の長い研究プロジェクトを管理する研究チームの能力という点で選考する予定です。選定されたプロジェクトに対して提供されるリソースは、1プロジェクトあたり最大4,000万米ドル相当で、全体で約2億米ドル相当となります。

IBMは、こちら(英語)から応募を受け付け、応募順に選考していきます。第1回の締め切りは2017年9月15日です。世界中の科学者に応募を呼びかけます。選ばれた最大5つの研究チームについては、2017年秋に発表を開始します。

ワールド・コミュニティー・グリッドと、使われるコンピューティング能力を寄付するボランティアについての詳細は、https://www.worldcommunitygrid.org/(英語)をご覧ください。

IBMクラウドについての詳細は、https://www.ibm.com/cloud-computing/(US)をご覧ください。

The Weather Companyについては、https://www.theweathercompany.com(英語)をご覧ください。

当報道資料は、2017年7月10日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/52688.wss (US)

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