ニュースリリース

IBM、グローバル決済を加速する ブロックチェーン・ソリューションを発表

IBM Blockchain分野におけるKlickEx GroupおよびStellarとのパートナーシップで、ソリューションを強化
銀行業のリーダー企業との協業で、通貨コリドーを超えた決済を加速
2017年10月18日

TOKYO - 18 10 2017:
2017年10月18日

[カナダ・トロント:SIBOS - 2017年10月16日(現地時間)発]
IBM(NYSE:IBM)は本日、ブロックチェーンを基盤とする新しいバンキング・ソリューションを発表しました。新しいソリューションは、企業および消費者のグローバル決済にかかる時間短縮とコスト削減を目的に金融機関が担う国境を超えた決済を支援します。また、本ソリューションは、IBM® Blockchainを利用し、テクノロジー・パートナーであるStellar.orgおよびKlickEx Groupと連携することで、銀行の決済業務を一つのネットワーク上でほぼ瞬時に完了し、スピード向上を可能にします。

https://flic.kr/p/Zk8JfU (英語)

現在、国際的な決済は、費用がかさみ、多くの労力を要し、間違いが生じやすくなる場合があります。異なる通貨における取引は、複数の仲介者を必要とし、完了までに何日も、あるいは何週間もかかる場合があります。世界銀行によると、決済を最新化し、金融アクセスを提供する取り組みを実施した場合、通貨の流れや商取引を改善し、2020年までに10億人もの人々に金融サービスを拡大するという目標の達成に寄与する可能性があります*。

本ソリューションはすでに、太平洋諸島とオーストラリア、ニュージーランド、英国にわたる12の通貨コリドーにおける取引を処理しています。ブロックチェーンの分散台帳を利用することで、適切な関係者は金融取引の清算および決済に関するアクセス権や洞察を得ることができます。本ソリューションは、すべての決済タイプおよび決済金額を対象に、世界全体の金融フローを増大させるように設計されており、金融機関は中央銀行が発行するデジタル資産との交換のための決済ネットワークを選択することができます。例えば、将来新しいIBMのネットワークによって、サモアの農場者がインドネシアのバイヤーと貿易契約を結ぶことができるようになります。このブロックチェーンは契約条件の記録や取引文書の管理にも使用でき、農場主は、透明かつ容易に貿易を行いながら、担保を設定し、信用状を保証し、即金での決済で取引条件を成立させることもできます。

IBMは開発および導入のプロセスの一環としてさまざまな銀行のリーダーからなる最初のグループを召集しました。参加している各行は、Banco Bilbao Vizcaya Argentaria、Bank Danamon Indonesia、Bank Mandiri、Bank Negara Indonesia、Bank Permata、Bank Rakyat Indonesia、Kasikornbank Thailand、みずほフィナンシャルグループ、National Australia Bank、Rizal Commercial Banking Corp. (RCBC) Philippines、三井住友フィナンシャルグループ、TD Bank、WorldCom FinanceのWizdraw (HK)、およびその他の金融機関です。

IBM インダストリー・プラットフォームのシニア・バイスプレジデントのブリジット・ヴァン・クラリンゲン(Bridget van Kralingen)は、次のように述べています。「IBMは、世界有数の金融機関数行による指導のもと、より効率的かつ透明性の高い決済ネットワークを実現することにより、世界の辺境の地でもリアルタイムでバンキングが発生し得るよう、新しい方法の検討に取り組んでいます。分散台帳テクノロジーの相互利用の推進は、急速に進化するブロックチェーンを主導するIBMのリーダーシップを示す最新の事例です。」

TD BankのEVP (Executive VP) 兼 チーフ・デジタル&ペイメント・オフィサーのRizwan Khalfan氏は次のように述べています。「TD Bankは他の銀行リーダーと共に、IBM Blockchainがより安全で効果的な決済ソリューションをどのように支援できるかを見ることができうれしく思います。当行はお客様や事業に価値をもたらす変革に注力しており、ブロックチェーンは決済システムを変換し向上する大きな機会を示しているので、引き続き当行が提案する製品やサービスの進化させて行くことが可能になります。」

IBMのオープン・ソースへのコミットメントに沿って、本ソリューションは、Hyperledger Fabricで動作するIBM Blockchain Platformで稼働し、Hyperledgerの準会員でNPOのStellar.orgと太平洋地域の地域金融サービス会社のKlickEx Groupとの連携により構築されました。Stellarはデジタル資産の発行および交換専用のオープン・ソース・ブロックチェーン・ネットワークです。デジタル資産はStellarネットワーク上でほぼリアルタイムの決済を可能にする外国為替の橋渡しとして発行されます。KlickEx Groupが、このネットワークを活用する地域、サービスを提供する銀行、小口顧客、および消費者の基本金融機関となります。

IBMは今後も中央銀行が発行するデジタル通貨、証券、債券、仕組み金融資産をサポートするために機能を拡大するという目標に向けて本ソリューションを進めて行きます。IBM Blockchainは、関係者間で決済を動かすために高パフォーマンスのオーケストレーションを行います。いったん記録された後に各決済が変わることはなく、Hyperledger Fabricのスマートコントラクトを通して決済指示が出されます。当初はStellarが、Hyperledgerで清算する取引決済を容易にするネットワークとデジタル資産を提供します。

Stellarの共同創立者であるJed McCaleb氏は次のように述べています。「この新機軸と連携は、Stellarと金融工学業界全体にとって重要な節目となります。統合された複数の通貨コリドーにおいて国境を越えた決済を容易にするために、ブロックチェーン技術が本稼働環境で使用されます。これまで国境を越えた決済は清算に最大数日かかる傾向がありましたが、今回の新しい実装により南太平洋諸国で大々的な変化が始まろうとしています。IBMとIBMの銀行パートナーによる本格運用が始まれば、全世界で貨幣の流通形態を変え、発展途上国において既存の国際取引の改善や金融面での一体性の深化に役立つと期待されます。」

このネットワークは現在、国連とSWIFTが当初資金援助を行った官民協力体制であるAdvanced Pacific Financial Infrastructure for Inclusion (APFII)のメンバーにより使用されています。来年早々には、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、サモア、トンガなどの南太平洋諸国の小口外国為替コリドーで行われる国境を越えたすべての決済の最大60%が、このネットワークで処理されるようになる見込みです。Banco Bilbao Vizcaya Argentaria、Bank Danamon Indonesia、Bank Madiri、Bank Negara Indonesia、Bank Permata、Bank Rakyat Indonesia、KASIKORNBANK Thailand、みずほファイナンシャルグループ、National Australia Bank、Rizal Commercial Banking Corp. (RCBC) Philippines、三井住友ファイナンシャルグループ、TD Bank、WorldCom FinanceのWizdraw (HK) などの商業銀行がこのネットワークに招致される予定で、2018年以降これらの参加銀行により世界各地でこのネットワークの拡張が支援されます。

APFIIの会長でKickEx Groupの創設者であるRobert Bell氏は次のように述べています。「制度として存続可能な規模でブロックチェーンが機能するのは今回が初めてです。KlickExにより、太平洋地域では過去10年近く比較的低コストのリアルタイム多通貨決済処理が行われてきましたが、このプロジェクトは太平洋地域でシームレスかつボーダレスな決済を実現するための当社の取り組みを受けた自然な次の一歩でした。当社は、国境を越えた決済の摩擦をなくすという使命の実現を引き続き押し進めながら、IBM Blockchainの使用成果に期待を寄せています。」

KlickExおよびStellarに接続されているこの本稼働ブロックチェーン・ネットワークは、外国為替支払い相殺決済、未公開株管理、証券融資、貿易金融をはじめとする金融サービスでIBMが実施している多数のブロックチェーン・プロジェクトのひとつです。

IBMについて
IBMは、企業向けオープン・ソース・ブロックチェーン・ソリューションのリーダー企業です。産業間共通のブロックチェーン技術を推進するオープン・ソース共同努力体制であるHyperledgerの初期メンバーとして、IBMは公開管理されているブロックチェーンの開発支援に熱意を持って取り組んでいます。また、IBMは金融サービス、サプライ・チェーン、IoT、リスク管理、デジタル著作権管理、およびヘルスケアで400社以上の顧客企業と協力してブロックチェーン・アプリケーションを導入しています。IBM Blockchainについては、https://www.ibm.com/blockchain/ (US)をご覧ください。

KlickExについて
KlickEx.coは数々の賞を受賞している地域越境決済システムで、新興市場向けに金融インフラストラクチャーを提供しています。世界の銀行がない地域でのデジタル金融サービスの劇的な普及と、流動性が低い通貨を使用する銀行、中央銀行、および消費者のコスト削減を実現してきました。KlickExは地域コンプライアンス・システムでもあり、このシステムに接続している各国のコンプライアンス・コスト削減にも一役買っています。また、太平洋地域最大の送金処理の多くをスムーズに実行しており、主なコリドーにおける年間小口外国為替取引の60%以上(金額および出来高)を占めるこの地域最大の清算ハブです。主に太平洋地域とヨーロッパで使用されており、1秒間に10億人あたり775,000件以上のトランザクションを処理するwww.APFII.org (英語)の創設メンバーです。

Stellar.orgについて
Stellar.orgはシリコン・バレーに拠点を置く非営利組織で、各種金融システムを接続し、誰でも自分のコミュニティー向けに決済、預金、貸付、保険といった低コストの金融サービスを構築できるようにする無料のオープン・ソース・ネットワークであるStellarネットワークをサポートしています。Stellarネットワークにより、Eメールと同様の手軽さで個人、企業、および金融機関の間で直接資金を動かすことができます。この相互接続性は個人にとってはアクセス強化、銀行にとってはコスト削減、企業にとっては収益増を意味します。Stellar.orgについては、 http://www.stellar.org (英語)をご覧ください。

*出典: World Bank UFA2020 Overview: Universal Financial Access by 2020 (2017年4月20日)
http://www.worldbank.org/en/topic/financialinclusion/brief/achieving-universal-financial-access-by-2020 (英語)

当報道資料は、2017年10月16日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2017-10-15-IBM-Announces-Major-Blockchain-Solution-to-Speed-Global-Payments (US)

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