ニュースリリース
クボタスマート水道工事システム「パイプロフェッサー」を提供開始
株式会社クボタ
日本アイ・ビー・エム株式会社
株式会社クボタ(本社:大阪府大阪市浪速区、代表取締役社長 北尾 裕一、以下「クボタ」)は、日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 山口明夫、以下 「日本IBM」)と共同開発した、クボタスマート水道工事システム「PIPROFESSOR(以下、パイプロフェッサー)」の本格提供を本日から開始しました。「パイプロフェッサー」は、水道工事に伴う図面や書類作成業務のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を実現する日本初*のサービスです。老朽化した水道管路の更新工事をサポートするソリューションの提供を通じて、安全・安心で持続可能な水インフラの構築に貢献してまいります。
*設計から施工計画、施工管理、竣工図書作成までの広範な業務のデータを一気通貫で連携するシステムとして日本初(クボタ調べ)
パイプロフェッサーの構成イメージ図
1.背景
- 日本国内では、法定耐用年数の40年を超えた水道管路の割合が約2割に達しています。このまま水道管路の老朽化が進行すると、水道管の破損による漏水や断水など、ライフラインに影響が生じるリスクが高まるため、早急に管路の更新を進める必要があります。しかし、水道管路の更新ペースを示す管路更新率は年々低下し、現状の年0.65%*のペースでは、すべての管路を更新するのに150年以上かかる計算です。
- 多くの水道事業体は財政難や職員不足の状態にあり、また工事業者も人手不足や技能継承の課題を抱えています。公共事業である水道工事では、現場での工事に加えて、非常に多くの書類作成をする必要があるため、ICTを用いた水道工事に関する業務の自動化や効率化が期待されています。
*出典:厚生労働省「令和4年度全国水道関係担当者会議」当日説明スライドP53 https://www.mhlw.go.jp/content/001094785.pdf
2.ねらいと役割分担
- 水道工事に関する計算や書類作成の業務効率化を支援する既存のアプリケーションは、「設計」「施工計画」「施工管理」などの個別の業務に特化していました。
- クボタスマート工事システム「パイプロフェッサー」は、水道工事の設計から施工計画、施工管理、竣工図書作成までの広範な業務をカバーし、クボタ独自のAIやIoTなどICTを活用して、計算を伴う図面や書類作成業務のDXを実現するサービスです。
- 自動作成した管路の設計図や施工計画のデータと、スマホ経由で収集した工事現場での施工データを、クラウド上に構築したデータプラットフォーム「PIPEFUL(パイプフル)」に取り込み、提出書類を自動作成することで、業務の省力化や省人化、ノウハウレス化を実現します。
- システムの共同開発にあたっては、水道管の国内トップメーカーで、製品供給のみならず設計・施工・維持管理業務の受託まで幅広く事業を展開しているクボタが長年蓄積した管路に関する技術と、日本IBMの持つ最新のテクノロジーを活用したシステム設計・構築・運用の知見を融合しています。
- クボタはシステムの全体構想や、設計や工程算出を自動化するアルゴリズムの開発、システムに必要な配管技術などのノウハウの部分を担っています。日本IBMはMicrosoft Azure上でのデータプラットフォームの構築に加え、施工計画における工程算出アルゴリズムの実装や、施工管理で用いるiOSアプリの開発、提出書類自動作成機能の開発など、アプリケーションの設計・開発および運用を担っています。
3.「パイプロフェッサー」について
- 「設計」「施工計画」「施工管理」の各業務に対応した3つのアプリケーションと、そのデータから報告書類を自動作成するアプリケーションで構成されています。主に工事業者による利用を想定しており、必要なアプリケーションを月額または年額制の定額課金(サブスクリプション)で利用いただけます。
<各アプリケーションの概要>
- (1) 「自動配管設計支援システム(PIPE-Pro)」:クボタ独自のAI技術を活用して、高精度な管路の設計図面・書類を自動で作成。
- (2) 「施工計画システム」: 独自の工程算出アルゴリズムにより効率的な施工工程を自動算出し、工程計画表や作業指示書などのもとになるデータを作成。
- (3) 「施工情報システムⅡ」:現場で使用するスマートフォン・アプリ。ガイダンスに従って水道管の接合チェックなどを行い、その施工データを入力することで施工品質を確保しながら工事日報や管割図のもとになるデータを蓄積。
- (4) 「提出書類作成支援システム」:「施工計画システム」「施工情報システムⅡ」のデータを基に、着工前から工事中、完成後に必要な各種報告書類を自動で作成。作成頻度が高いまたは煩雑な計算を伴うなど作業負荷の高い書類を中心に、約20種類の書類に対応。
- 個々のアプリケーションによる効率化・自動化に加え、各アプリケーション間のデータ連携により、従来は業務間でのデータ再入力が必要で作業負担が大きかった工事関係書類の作成を自動化できるようになります。例えば、設計変更が生じた場合にも、施工データを自動で反映して工程表や管路図を再作成することが可能になりました。
- パイプロフェッサーの利用により、設計業務の経験が浅い工事業者でも短時間で熟練者のように高精度な設計ができ、その後の業務における書類作成の負担を軽減できるため、昨今採用が増えつつある設計・施工一括発注方式(DB方式)への対応力強化への貢献も期待できます。
4.今後の展開
今後、クボタは、「パイプロフェッサー」を構成するアプリケーションの拡充を図るとともに、維持管理・更新計画業務に関するソリューションについても早期の提供開始をめざし、水道管路全体の課題解決に貢献するソリューション提供を順次進めてまいります。
<クボタについて>
クボタは、生活に欠かせない食料・水・環境の領域において、多彩な製品・技術・サービスによるソリューションを提供し、事業を通じて世界の社会課題の解決に貢献しています。長期ビジョン「GMB2030」において、「豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”」というめざす姿を掲げ、食料の生産性・安全性を高めるソリューション、水資源・廃棄物の循環を促進するソリューション、都市環境・生活環境を向上させるソリューションの提供に取り組んでいます。
<日本IBMについて>
日本IBMは、世界175カ国以上でビジネスを展開するIBMコーポレーションの日本法人で、基礎研究をはじめ、ビジネス・コンサルティングから、ITシステムの構築、保守まで一貫したサービスの提供を通じて、お客様の企業変革やデジタル・トランスフォーメーションを支援しています。詳細については、https://www.ibm.com/jp-ja/ をご参照ください。
ご参考
2023年10月18日(水)~20日(金)に東京ビッグサイトで開催される「2023東京水道展」のクボタグループブースにて、デモンストレーションを交えてパイプロフェッサーをご紹介します。
「2023東京水道展」サイト https://suidoten.jp/2023/
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