ニュースリリース
富士フイルムとIBM 世界最大の記録容量50TB(非圧縮時)を実現したテープ・ストレージ・システムを開発
富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)とIBM Corporation(本社:米国ニューヨーク州、会長兼CEO:アービンド・クリシュナ)は、世界最大の記録容量※1となる50TB(非圧縮時)のテープ・ストレージ・システム(以下、本システム)を開発しました。本システムは、「微粒子ハイブリッド磁性体」を採用した富士フイルム開発の磁気テープ「IBM 3592 JFテープ・カートリッジ」と、IBMの最新世代の「TS1170ドライブ」を組み合わせたエンタープライズ向けのテープ・ストレージ・システムで、IBMよりこのほど発売されました。
IoT・DXの進展やAIを用いたビッグデータ解析の普及などにより、世の中のデータ量は爆発的に増加しています。磁気テープは、大容量データを安心、安全、安価に省スペースで保管できるほか、データの保管時に通電を必要としないストレージ・メディアで、増加するデータのアーカイブやバックアップ用途に広く使われています。
エンタープライズ向けテープ・ストレージ・システムは、その堅牢性から官公庁で各種データのバックアップ用途で使用されているほか、研究機関やIT企業で、膨大なデータを活用してシミュレーションを行うハイパフォーマンス・コンピューティング用途やクラウド・サービス用途などに用いられており、今後もさらに導入が拡大すると予想されています。
世界最大の記録容量となる50TB(非圧縮時)を実現したテープ・ストレージ・システム
今回、富士フイルムとIBMが開発したテープ・ストレージ・システムは、世界最大の記録容量となる50 TB(非圧縮時)、最大150TB(圧縮時)を実現します。
磁気テープの高容量化には、単位面積あたりに記録できるデータ容量の密度を示す面記録密度の向上と、データを記録できる面積を示す記録面積の向上が重要です。今回、富士フイルムは、これまでの磁気テープの開発で培った独自技術を進化させることで、面記録密度と記録面積を向上させ、世界最大の記録容量50TBの磁気テープの実用化に成功しました。
<面記録密度を向上させた要因>
・ナノ粒子設計技術
次世代の磁性体として注目されている「ストロンチウムフェライト磁性体」と、高容量の磁気テープに用いられる「バリウムフェライト磁性体」それぞれに活用されているナノ粒子設計技術を組み合わせた「微粒子ハイブリッド磁性体」を新たに開発。磁性体をさらに微粒子化し、磁気特性を高めました。
・磁性体の高分散技術
高分散技術を活用し、超微粒子の磁性体ひとつひとつの凝集を防止。安定的に磁性体を分散させています。
・薄層塗布技術
磁性層を均一かつ平滑に塗布することで、高い信号ノイズ比を実現しました。
<記録面積を向上させた要因>
・15%伸長したテープ長
磁気テープの支持体に、現行品※2より厚みが薄く、強度が高いベースフィルムを採用し、データ・カートリッジ1巻あたりのテープの長さを現行品※2と比べて約15%伸長しました。
富士フイルム 産業機材事業部 次長 永田 敬一のコメント
今回、現行品※2と比べ2.5倍となる記録容量50TBのテープ・ストレージ・システムをIBMとともに開発・実用化することができました。今回の成果は、IBMとともに進めてきた共同研究開発における新たなマイルストーンであると同時に、他のストレージ・メディアに対する磁気テープの優位性と将来性を示すものであると確信しています。
IBM ストレージ・システム開発担当副社長 Alistair Symon(アリステア・サイモン)のコメント
IBM 3592 JFテープ・カートリッジの先進技術は、パフォーマンスとデータへのアクセス性を維持しながら、ストレージ・コストの最適化に繋がる高密度なストレージを実現します。本テープ・カートリッジは、50TBの記録が可能な初のテープ・ストレージ・メディアで、科学データや産業データ、クラウド上のデータを安全に長期間保管する用途や(保管とデータ活用を両立する)アクティブ・アーカイブ用途に最適な選択肢です。
※1 「Linear Tape Open (LTO)」最新世代LTO-9に対応する磁気テープ の記録容量最大18TB(非圧縮時)と、IBM 「エンタープライズ」現行品「IBM 3592 JE テープ・カートリッジ」に対応する磁気テープの記録容量最大20TB(非圧縮時)との比較において。2023年8月30日時点。「LTO」は、記録容量などの仕様が統一された規格。「エンタープライズ」は、IBMが独自に仕様を定めた規格。
※2 「IBM 3592 JEテープ・カートリッジ」。
当報道資料は、2023年8月29日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文はこちらを参照ください。
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