ニュースリリース
CEOスタディ 2023「AI時代の到来で変わるCEOの意思決定」日本語版を公開
・生成AIが従業員に与える潜在的な影響を評価したことがある米国のCEOは3人に1人以下(28%)に過ぎず、36%は今後1年以内に評価する予定だと回答
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、IBM Institute for Business Value(IBV)が実施した最新の調査であるCEOスタディ2023「AI時代の到来で変わるCEOの意思決定」の日本語版を公開しました。本レポートでは、30カ国以上、24業種に及ぶ約3,000人のCEOを対象に実施したCEOの意思決定に関する調査に加え、生成AIの対応に関する調査として、米国の200人のCEOを対象とした調査、および米国、英国、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、インドの369人の経営層を対象に実施した調査結果をまとめています。
調査によると、調査対象となった世界の最高経営責任者(CEO)の約半数が、生産性と収益性をビジネスの最優先課題として認識しており、この優先順位は2022年の6位から上昇しました。また、CEOは生産性に関する目標を達成するためにはテクノロジーのモダナイゼーションが重要であると考えており、その優先順位は2位となりました。しかしCEOは、生成AIといった新たなテクノロジーを導入してモダナイゼーションを進める上で、重大な障壁に直面する可能性があることを認識する必要があります。
また、調査によると、米国のCEOの4分の3が、「企業の競争優位性は最も先進的な生成AIを持てるかどうかにかかっている」と考えています。しかし、バイアスや倫理、セキュリティーなど、テクノロジーの潜在的なリスクや障壁も考慮しています。実際に、半数以上(57%)がデータ・セキュリティーを、48%がバイアスやデータの正確性を懸念しています。
AIへの対応に関しては、CEOとチームとの間にもギャップが見られます。米国のCEOの半数(50%)は、生成AIをすでに製品やサービスに組み込んでいる、43%は戦略的意思決定に生成AIを活用していると回答しています。しかし、生成AIを導入するための専門知識が社内に備わっていると回答した経営幹部*はわずか29%にとどまります。また、CEO以外の経営幹部*の中で、責任をもって生成AIを導入する準備が整っていると回答したのはわずか30%です。
IBM Consultingのグローバル・マネージング・パートナーであるヘスス・マンタス(Jesus Mantas)は、次のように述べています。「生成AIによってAI導入の障壁が軽減し、今回調査したCEOの半数は、業界全体で生産性、効率性、サービス品質の新たな波を推進するために生成AIを積極的に検討しています。CEOは、生成AIの新たなユースケースを大規模に展開する計画を立てるために、データ・プライバシー、知的財産保護、セキュリティー、アルゴリズムによる説明責任、ガバナンスに関する自社の要件を評価する必要があります」
本調査の主なポイントは以下の通りです。
世界のCEOは、生産性とそれを実現するテクノロジーが、喫緊の優先事項であると回答
- CEOのほぼ半数(世界48%、日本54%)が、組織の最優先事項として生産性を挙げており、2022年の6位から上昇した。テクノロジーのモダナイゼーションは、2番目に高い優先事項(世界45%、日本39%)として続いているが、これが最大の課題でもあることも示している
- 世界のCEOがサイバーセキュリティーとデータ・プライバシーを4番目に高い優先事項(43%)と回答している一方、日本のCEOの間では7番目(35%)にとどまっている
- CEOは4年連続で、今後3年間もテクノロジーこそが組織に影響を与える外的要因のトップであると回答している
- 特に日本企業のCEOは、AIが今後3年間に結果を出すために役立つテクノロジーであると期待している割合が高い(世界 52%、日本 60%)
今後3年間の最大の課題はサステナビリティー
- 優先事項の変化にもかかわらず、世界のCEO(42%)と日本のCEO(48%)にとって、サステナビリティーは依然としてビジネス・リーダーの最も重要な課題である
- CEOは、サステナビリティーへの取り組みに対する責任を負っている。実際に、サステナビリティーの具体的な施策と連動した報酬を受け取るCEOの割合は、2022年から3倍以上に増加し、今年は50%を超えている
- 世界のCEOの70%、日本のCEOの88%は、ESG投資とデジタル・トランスフォーメーション(DX)戦略を整合させていると回答しているが、ESGの測定方法やROIの算出など、課題も残っている
世界のCEOは戦略的意思決定者として、オペレーション、テクノロジー、データのリーダーを重視する傾向に
調査中に収集された追加データから、次のことが示唆される。
- 今後3年間で最も重要な意思決定を行うC-Suiteメンバーは誰かを尋ねたところ、CEOは、最高執行責任者(COO、世界 62%、日本 55%)と最高財務責任者(CFO、世界 52%、日本 58%)を挙げている
- 意思決定におけるテクノロジー・リーダーの影響力は高まっており、世界のCEOの38%(1年前の19%から増加)、日本のCEOの34%がCIOを、次いで最高技術責任者(CTO)または最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)(世界 30%、日本 33%)が、組織で最も重要な意思決定を行っていると指摘
CEOは生成AIを導入する準備ができていると回答しているが、他の経営幹部は難色を示している
- 米国のCEOの4人に3人(75%)は、最も先進的な生成AIを導入した組織が競争優位に立つと考えている
- 半数(50%)のCEOが生成AIを製品やサービスにすでに組み込んでいる、43%が戦略的な意思決定に生成AIを活用している、36%が業務上の意思決定に生成AIを活用していると回答
- 米国のCEOの69%は、組織全体で生成AIの広範なメリットを見出していると回答
- 一方で、CEO以外の経営幹部*のうち、社内に生成AIを導入するための専門知識があると回答したのはわずか29%、また、責任を持って生成AIを導入する準備ができていると回答したのはわずか30%
*米国、英国、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、インドのCEO以外の経営幹部
生成AIは従業員の変化に拍車をかけているが、従業員への影響に関する広範な評価は遅れている
- 米国のCEOの約43%は生成AIの導入を理由に従業員を削減または再配置した、28%は今後1年以内に予定していると回答
- 米国のCEOの46%は生成AIの導入を理由に従業員を追加採用しており、26%は今後さらに採用する計画があると回答
- 生成AIが自社の従業員に与える潜在的な影響を評価したことがあると回答したCEOは3人に1人未満(28%)で、36%は今後12カ月以内に評価する予定があると回答
調査方法について
IBM Institute for Business Value(IBV)は、オックスフォード・エコノミクスの協力のもと、IBM経営層スタディ・シリーズ第28版として、30カ国以上、24業種に及ぶ約3,000人のCEOを対象にインタビューを実施しました。インタビューでは、リーダーシップとビジネスに対する経営層の視点、役割と責任の変化、主要な課題と機会、テクノロジー、データ、メトリクスの活用、将来のビジョンなど、今日のCEOの意思決定に焦点を当てました。また、IBM Institute for Business Valueは、生成AIの対応に関する調査として、米国の200人のCEOを対象とした調査、および米国、英国、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、インドの369人の経営層を対象とした調査も実施しました。
IBM Institute for Business Valueについて
IBM Institute for Business Value(IBV)は、IBMのソート・リーダーシップ・シンクタンクとして、ビジネス・リーダーの意思決定を支援するため、世界の調査とパフォーマンス・データ、業界の専門家や学者の専門知識に裏付けられた戦略的洞察を提供しています。詳しくは、以下をご覧ください。
https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja
参考リンク:
生産性を高めるために業界リーダーが行っているトレンドと戦略的な取り組みに関するレポート「7つの挑戦」
https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/seven-business-bets
CEOのための生成AI活用ガイド
https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/ceo-generative-ai-jp
当報道資料は、2023年6月27日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文は下記URLを参照ください。
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