[米国オハイオ州クリーブランド ＆ ニューヨーク州アーモンク-2023年3月21日（現地時間）発]

クリーブランド・クリニックとIBMは、本日、IBMの管理による量子コンピューターを、米国で初めて民間企業のオンサイトに導入したことを発表しました。クリーブランド・クリニックに設置されたIBM Quantum System Oneは、医療研究専用に使用される世界初の量子コンピューターとなり、クリーブランド・クリニックが生物医学領域の発見を加速させることを目的としています。

IBMおよびクリーブランド・クリニックの代表、Advanced Research Projects Agency for Health（ARPA-H）副所長のスーザン・モナレス（Susan Monarez）博士、ションテル・ブラウン（Shontel Brown）下院議員（OH-11）、ジョン・ハステッド（Jon Husted）オハイオ州副知事、ジャスティン・ビブ（Justin Bibb）クリーブランド市長が参加した本日の公式イベントで、IBM Quantum System Oneがお披露目されました。これは、ハイパフォーマンス・コンピューティング、人工知能、量子コンピューターの活用による生物医学研究の加速を目的として、2021年に発表されたクリーブランド・クリニックとIBMの10年間におよぶDiscovery Acceleratorパートナーシップにおける重要なマイルストーンとして位置付けられます。

クリーブランド・クリニックのメインキャンパスに設置されたIBM Quantum System Oneにて。左から、ションテル・ブラウン下院議員（OH-11）、IBMシニア・バイス・プレジデント 　IBM Researchディレクター　ダリオ・ギル（Darío Gil）、IBM 副会長 ゲーリー・コーン（Gary Cohn）、ジョン・ハステッド オハイオ州副知事、クリーブランド・クリニック CEO兼 理事長 トム・ミハルジェヴィッチ医学博士、ジャスティン・ビブ クリーブランド市長、Advanced Research Projects Agency for Health（ARPA-H）副所長 スーザン・モナレス博士

量子コンピューターは、量子力学の法則を利用して、今日の最も強力なスーパー・コンピューターでは現実的に解決できない問題や、今後も解決できない問題を解決する、急速に発展している技術です。これらの新しい計算空間を活用することで、研究者は新薬や治療法をより早く発見できるようになる可能性があります。

クリーブランド・クリニックのCEO兼 理事長であり、 Morton L. Mandel  CEO Chairであるトム・ミハルジェヴィッチ（Tom Mihaljevic）医学博士は、次のように述べています。「量子コンピューターの力を医療に応用する新しい方法を探る上で、IBM Quantum System Oneの導入はIBMとの革新的パートナーシップにおける極めて重要なマイルストーンとなります。この技術は、医療を革新し、患者の方々に対する新しい治療法、治癒薬、解決策の進歩を促進する上で、非常に有望な技術です。量子コンピューターや他の先進的コンピューター技術によって、研究者は歴史的かつ科学的なボトルネックの解消に取り組めるようになり、がん、アルツハイマー病、糖尿病などの患者の方々に対する新しい治療法を発見できる可能性があります」

 IBM会長 兼CEOのアービンド・クリシュナ（Arvind Krishna）は以下のように述べています。「IBM Quantum System Oneがクリーブランド・クリニックに設置されたことで、世界でも有数の研究者チームが、生物医学領域の研究における新しい科学的進歩を探求し、明らかにすることができるようになりました。量子コンピューターや人工知能、他の次世代技術の力と、クリーブランド・クリニックにおける ヘルスケアや生命科学における世界的に有名なリーダーシップが合わさることで、発見を加速化における新しい時代を切り拓いていきたいと考えています」

クリーブランド・クリニック-IBM Discovery Acceleratorは、量子コンピューティングに加え、ハイブリッドクラウドによるハイパフォーマンス・コンピューティングや人工知能など、コンピューティング技術におけるIBMの多様かつ最新の成果を活用しています。両組織の研究者は、研究の強化に向けて膨大な量のデータを生成・分析できるよう、これらの先進技術を用いたプロジェクトの強固なポートフォリオにおいて緊密に協力しています。

クリーブランド・クリニック-IBM Discovery Acceleratorは、量子コンピューティング、AI、ハイブリッドクラウドの最新技術を活用した複数のプロジェクトを生み出し、生物医学研究における発見の加速に貢献しています。主な例は以下の通りです。

• 特定のタンパク質を標的とした薬剤のスクリーニングと最適化を行うための量子コンピューティング手法を開発する研究
• 心臓以外の手術後の心血管リスクに関する量子力学的予測モデルの改良
• ゲノム解読の成果や大規模な薬物データベースを検索し、アルツハイマー病などの患者に有効な既存薬を発見するための人工知能の応用

Discovery Acceleratorは、クリーブランドにあるイノベーション特区の一部である、クリーブランドクリニックの病原体研究＆ヒューマンヘルス・グローバルセンターの技術基盤としての役割も担っています。このセンターは、オハイオ州、Jobs Ohioおよびクリーブランド・クリニックからの5億ドルの投資によって支えられており、新興の病原体やウイルス関連疾患の研究、準備、防御に焦点を当てたチームを結集させています。Discovery Acceleratorを通じて、研究者は高度な計算技術を活用し、治療法やワクチンに関する重要な研究を加速しています。

この協力関係の重要な部分は、将来の担い手を教育し、経済を成長させるための雇用を創出することに重点を置いていることです。高校生からプロフェッショナル・レベルまでの参加者を対象に、データサイエンス、機械学習、量子コンピューティングに関するトレーニングや認定プログラムを提供し、将来の最先端計算機研究に必要な熟練した担い手を育成する革新的な教育カリキュラムが設計されています。

さらに、両組織は、クリーブランドにコンピューティングの専門家を増やすことを目的に、学術界、産業界、政府、一般市民を対象とした研究シンポジウム、セミナー、ワークショップを開催しています。

クリーブランド・クリニックについて

クリーブランド・クリニックは、臨床および病院での治療と研究および教育を統合した非営利の多科目学術医療センターです。オハイオ州クリーブランドに位置し、協力、思いやり、イノベーションの原則に基づき、優れた患者ケアを提供するというビジョンを持って1921年に4人の高名な医師によって設立されました。クリーブランド・クリニックは、冠動脈バイパス手術や米国初の顔面移植など、数多くの医学の飛躍的進歩をもたらしたパイオニアです。U.S. News & World Reportが毎年実施する「America's Best Hospitals」調査において、クリーブランド・クリニックは常に全米最高の病院の1つに選ばれています。全世界にいる77,000人のクリーブランド・クリニックの従業員のうち、給与を受け取っている医師と研究者は5,658人以上、正看護師と高度実践医療従事者（APP）は19,000人いますが、彼らは140の医療専門家および副専門家を代表しています。クリーブランド・クリニックは、クリーブランドのダウンタウン近くにある173エーカーのメインキャンパス、22の病院、275以上の外来施設を含む6，665床の医療施設のほか、オハイオ州北東部、フロリダ州南東部、ネバダ州ラスベガス、カナダのトロント、UAEのアブダビ、イギリスのロンドンに拠点があります。2022年には、クリーブランド・クリニックの医療施設全体で、総外来患者数は1,280万人、入院・観察件数は30万3千件、手術件数は27万件となりました。米国のあらゆる州および185カ国から、治療のために患者が訪れています。クリーブランド・クリニックに関する詳しい情報は、clevelandclinic.orgををご参照ください。また、Twitterアカウントはtwitter.com/ClevelandClinicです。最新情報や各種資料は、newsroom.clevelandclinic.orgをご参照ください。

当報道資料は、2023年3月20日（現地時間）にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。

https://newsroom.ibm.com/2023-03-20-Cleveland-Clinic-and-IBM-Unveil-First-Quantum-Computer-Dedicated-to-Healthcare-Research

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