ニュースリリース

IBM、Red Hat、Cobuilder、OpenBuiltの開発を推進 ハイブリッドクラウドで建設業界のデジタル・トランスフォーメーションを加速

業界を横断する新たなコラボレーションにより、Red Hat OpenShiftとIBM CloudをベースとしたOpenBuiltの開発に力を結集 リスクを管理しながら、建設の早期化とコスト効率の向上を支援
2021年04月19日

2021年4月19日

[米国ニューヨーク州アーモンクおよびロンドン – 2021年4月14日(現地時間)発] IBM(NYSE:IBM)、Red Hat、Cobuilderは本日、断片化された建設業界のサプライチェーンを安全につなげることを目的とした新たなプラットフォーム、OpenBuiltを共同で開発するためのグローバルなコラボレーションを発表しました。Red Hat OpenShift上に構築されIBM Cloud上で稼働するOpenBuiltは、より効率的で、持続可能かつより安全な建設プロジェクトの革新と推進を可能にする、新たなデジタル・ソリューションを提供します。

業界を横断した5社のパートナー、Cemex、EDIN NetworkBacke、Sol Services、Element  Materials Technologyによるエコシステムが、IBM、Red Hat、Cobuilderとの共同開発プロセスにおいて重要な役割を果たします。

建設業界は長年、プロジェクトの遅延、コスト超過、そして資材の無駄に悩まされてきました。その原因は多くの場合、分断されたプロセスと連携が不十分な作業やリソースです。建築家、建築資材供給業者、メーカー、建築設計会社、エンジニアリング会社など、建設業界のあらゆる企業は今、デジタル戦略の拡大について、革新的かつ迅速化させることを目指しています。多くの手作業のプロセスを変えることで、業界は、より効果的な作業のやり方を探れるようになります。

OpenBuiltは、全世界の構築環境や建設業界の企業が、現行のテクノロジー・プラットフォームとデジタル・ソリューションを、単一の統合ハブを介してサプライチェーン内のパートナー、サプライヤーまたは従契約者に、安全に接続できるように設計されています。IBM Cloud上で稼働するRed Hat OpenShiftを基盤として、業界で最も安全かつオープンな業界向けのクラウドであるOpenBuiltは、サプライチェーン全体でのコミュニケーションの向上と、安全なデータ交換を支援することを目的としています。これにより企業は、テクノロジー・プロバイダーが提供する最新のアプリケーションやサービスへのアクセスが可能となり、複雑な特注のソフトウェアを開発せずに自社のデジタル・プラットフォームを拡張することができます。

Cast ConsultancyCEOで、住宅建設現代的工法における英国政府への強力な支援者(Independent Champion for Modern Methods of Construction in Homebuilding )であるマーク・ファーマー(Mark Farmer)氏は、次のように述べています。

「建設業界の変革という大きな目標を追い求めるためには、設計、製造、建設および運用の各プロセスをどのようにとりまとめて動かすかという問題に存在している根深いサイロと断片化を打ち破る必要があります。昨今のデジタル化の課題においても同じことが言えます。

より戦略的でスケーラブルなインテリジェント・ワークフローを作り出すためには、データとソフトウェアが、完全に結合されたエコシステムの一部となる必要があります。デジタル・プラットフォームの概念は特に新しいものではありませんが、建設業が現在普及しているいくつかのテクノロジー・ソリューションの可能性を最大限に引き出し、成熟させるためには、これらのソリューションを率い、相互運用を可能とする統一プラットフォームを構築する上で、市場でのリーダーシップが必要となります。

IBMとパートナー企業がOpenBuiltを通じて提供しているのは、国際的かつ業界全体のデジタル・インテグレーターとしての役割を果たす機会があり、建設テクノロジー・ソリューションのデジタル市場がますます細分化されてきている中で、それらを統合するものです。これは、私たちの業界をより効率的なものとする大きな可能性がある、重要な進展です」

IBM グローバル・ビジネス・サービス事業(Global Business Services:GBS) EMEAのManaging Partnerであるジョン・オドネル(Jon O’Donnell)は、次のように述べています。「世界における建設の状況は進化しており、新たなレベルのオープン、イノベーションおよびコラボレーションを伴った、業界全体でのテクノロジー・プラットフォームに向けた新たなアプローチを必要としています。私たちはパートナーとともに、建設業界がインテリジェント・ワークフローでそのサイロを打ち破ることを可能にするとともに、自らの変革のデザインと推進において積極的な役割を果たすために、OpenBuiltを作ろうとしています。建設業のサプライチェーンに関わる成功企業が、デジタルの将来を迎え入れるために集まり、オープンなハイブリッドクラウドのアプローチの力を利用し、実際の競争上の優位性を得るために新しいテクノロジーを採用しています。それ以外の企業にも私たちに加わっていただき、真にデジタルな建設業界に向けた歩みを加速させるべく鼓舞したいと思います」

最初は3つの主要分野にフォーカスして共同で開発

1. 建設会社がハイブリッドクラウドのアプローチを採用し、そのサプライチェーンを結合できるようにするための、IBM Cloud上で稼働するRed Hat OpenShiftを使用したOpenBuiltの設立。

そして、構築された環境内で活動している信頼できる企業やソリューション・プロバイダーが提供する、あらかじめ統合されたアプリケーションの広範なライブラリーにアクセスできるようにします。このオープンソース・ソフトウェア、セキュリティーにおけるリーダーシップ、およびエンタープライズ・グレードのインフラストラクチャーの基盤は、ERPシステムなどのミッションクリティカルなワークロードをプラットフォーム上でホスティングしている企業をサポートするよう設計されています。一貫性のある専門用語を維持するため、OpenBuiltでは、Cobuilderのデータ・テンプレートを使用して、すべてのデータを、機械可読性ならびに既存のシステムおよび将来のシステムとの相互運用性を可能とする方法で構造化します。ユーザーは、直感的なドラッグ・アンド・ドロップのインターフェースを介したインテリジェント・ワークフローを構築して展開することができ、業界にとってアプリケーション開発がはるかに容易なものとなります。

2. 数多くのソフトウェアとサービスへのアクセスを可能とする、独立系ソフトウェアベンダーの統合。

Watson、Maximo、TRIRIGAなどのIBMソリューション、次世代のKITTディクショナリーおよびIBM Blockchainに加えて、SalesforceのオープンAPIが、開発時にプラットフォームに統合され、ユーザーが自身のインテリジェント・ワークフロー内に機能を構築することが可能になります。3D Repoによるビルディング・インフォメーション・モデリングやデジタル・ツイン・ソリューション、Asiteによるデジタル・プロジェクト管理ソリューション、Facilioによるデータ駆動型の建築工事や保守サービス、SpecifiedByによる仕様のための建築資材の検索と調査、Intuetyからの人工知能を備えた健康・安全に関するアドバイスなど、さまざまな業界統合の開発が可能です。

3. 組織が建築資材の技術データの検索、フィルタリングおよび分類を行うことを可能とするソリューションを含む、新たなフラッグシップアプリケーションの開発。

これにより、企業は、機能面、安全性、環境面での性能要件などの業界ガイドラインを満たす建物の設計、建築または保守のための正しい仕様を有する資材を、即時に見つけることが可能になります。Cobuilderのデータ・ディクショナリー・ソリューションであるDefineが、初期のOpenBuiltフラッグシップアプリケーション内での共通言語の使用を可能とする基本技術の1つとなります。

「データ交換の相互運用性と標準化は、Cobuilderのサービスの中核を成しています。私たちは、業界が一体となっていく様子を興奮しながら眺めており、OpenBuiltによって、建設業界を次のレベルのデジタル・トランスフォーメーションへ移行させるために必要な、接続性と共通言語がもたらされることになると心から信じています」と、CobuilderのCEOであるラーズ・フレデンランド(Lars Fredenlund)氏は述べています。

エコシステムがもたらすもの

エコシステムは、デジタル・トランスフォーメーションの推進に不可欠です。IBM グローバル・ビジネス・サービス事業(Global Business Services:GBS)、Red HatおよびCobuilderとともに、業界の枠を越えた5社のパートナーのエコシステムが一体となり、建設業界の変革を目的としてOpenBuiltの方向性を積極的に形成しています。これには、あらゆる形態の建物(居住用、工業用、商業用、病院、学校)、あらゆる経済インフラストラクチャー(地上および地下の土木インフラストラクチャー)、ならびに建物およびインフラストラクチャーの間やそれらを取り巻く都市空間および景観が含まれています。

世界の建設業界を代表するエコシステムは、その経験と見識を活かし、企業がOpenBuiltの力を活用するためのさまざまな方法を開発することができます。

CEMEX全世界の顧客の建設ニーズを満たすために、最先端のデジタル・ソリューション、高品質の製品、および業界をリードするサービスを提供する、グローバルな建築資材会社です。CEMEXには、革新的な建築ソリューション、効率向上、および持続可能な未来を促進するための取り組みを通じて、自社がサービスを提供する顧客の幸福と繁栄を向上させてきたという豊かな歴史があります。CEMEXは、南北アメリカ、カリブ海諸国、欧州、アフリカ、中東、およびアジア全域にわたって戦略的に事業を展開しています。

「このコラボレーションは、生産性の向上を可能にして、当社のお客様の満足度を向上させる新たな機会を切り開くことになる、戦略的イニシアチブです。私たちは引き続き、主要パートナーのサポートを得て業界のデジタル・トランスフォーメーションを主導し、パートナーの専門知識、イノベーション、および先進のITサービスを活用して、革新的なソリューションをお届けしていきます」と、CEMEXのCEOであるフェルナンド・A・ゴンザレス(Fernando A. Gonzalez)氏は述べています。

EDIN NetworkEDINは、イベント、ワークショップ、およびテクノロジー・インキュベーターを通じて、メンバー企業の新規顧客の発掘、顧客獲得コストの削減、および将来動向の利用を支援する、商店、製造業者、およびサービス・プロバイダーのグローバル・ネットワークです。2016年の創設以来、EDIN Networkは急成長を遂げて、建設業界における動向についての議論や変革の奨励を行うための最大の連合組織の1つになっており、そのメンバー企業の総売上高は230億ユーロにのぼります。

「私たちは、OpenBuiltによって相互運用性が推進され、データ交換が容易になり、企業が複雑な特注ソフトウェアの開発を必要とすることなくプロセスを自動化できるようになると確信しています。これにより、業界におけるイノベーションの波が解き放たれ、新たなビジネス・モデルが可能になって生産性の変革がもたらされるでしょう。またこれにより、私たちのOpenBuiltを基盤とするインキュベーターを利用しているメンバー企業は、ゼロからスタートする必要なく、自社のデータを掌握し、そうしたデータを収益化し、新たな方法で顧客を関与させるための、新しい方法を探究できるようになります。私たちは、来たるべき変革の時代とその形成における自分たちの中心的役割に、信じられないくらい興奮しています」と、EDIN Networkの創設者のフィリップ・ハルト(Philippe Hardt)氏は述べています。

Sol Services2003年に設立されたSol Servicesは、地域の機械、電気、および装備品のスペシャリストとしての初期形態から着実に成長しています。ディレクターのナイジェル・バーデット(Nigel Burdett)およびアンドリュー・ゴージ(Andrew Gordge)両氏の先見の明のあるリーダーシップの下で、同社は欧州での対外能力を持ってロンドンおよび英国全域に勢力を拡大し、あらゆる種類の建設、改修、および保守ソリューションを提供しています。官民両部門全体にわたる広範なプロジェクトのポートフォリオを通じて、同社は安全で信頼できる質の高いプロジェクトを実現するという評判を築き上げています。

「私たちは機会を見出し、建設業界をまとめ上げるためのテクノロジー・プラットフォームの必要性を認識しました。そしてこのプロジェクトの開発に関与している組織とともに、私はそれが将来に向けた建設業界の方向性になるという絶対的な確信を持っています」と、Sol Servicesディレクターのナイジェル・バーデット氏は述べています。

Backe Backeは、ノルウェーで事業を展開する、家族経営の建設および不動産開発企業です。Backeは、ノルウェーの建設・建築業界における排出ガス削減に尽力していて、自社のバリュー・チェーン全体を通して持続可能な事業運営を確実に実現するためのテクノロジーに投資しています。ノルウェー市場において70年を超える経験を有するBackeは、官民両部門に対してプロジェクトを提供しています。同社は約800人の従業員を雇用しており、2020年には45億ノルウェー・クローネの収益を報告しました。

「私たちは、新たな方法でデータの分析、利用、および共有ができるようになる、建設業界向けのグローバルなデジタル・プラットフォームを探究するために、IBMやその他の主要ブランドとパートナーを組んでいることを誇りに思います。OpenBuiltプラットフォームにより、サプライヤーやパートナー間のコラボレーションが容易になり、生産性が向上し、またバリュー・チェーン全体に沿ったカーボン・フットプリントに対する来たるべき規制の遵守が容易になるでしょう。新型コロナウイルス感染症の影響による市場の不確実性によって、業界におけるバックログが影響を受けています。今後は、デジタル化とよりスマートな働き方が、コスト効率やサステナビリティーの確保はもとより、従業員候補者の間における魅力の確実な実現のためにも鍵になるでしょう」と、BackeのCEOであるアイリック・ジェルスビック(Eirik Gjelsvik)氏は述べています。

Element Materials Technology先進の業界サプライチェーンにおけるさまざまな材料、製品、およびテクノロジーに対するテスト、検査、および認定サービスを提供する、世界の主要なグローバル・プロバイダーの1つです。Elementは、建設業界の顧客に対して幅広いソリューションを提供しており、最近では、複雑な業界の課題を解決するために、工学シミュレーション、モデリング、データサイエンス、および人工知能に重点を置いた、Element Digital Engineeringという新たなビジネスを立ち上げました。

Element Materials TechnologyのCEOであるジョ・ヴェッツ(Jo Wetz)氏は、以下のように述べています。「Elementは、品質を中核に据えた建設業界向けのデジタル・マーケットプレイスである、OpenBuiltの創設パートナーになれたことをうれしく思います。OpenBuiltにより、建物のライフサイクルに関与するすべての利害関係者に対する透明性の向上が可能になり、構築環境に対するサービスの調達における信頼性が向上し、また材料や製品のテストおよび認定が当該部門のデジタル・トランスフォーメーションの中心となることが確実になるでしょう」

OpenBuiltについて:

OpenBuiltは、業界パートナーのコンソーシアムが所有しリードする独立企業です。これまでに、EDIN Network、CEMEX、AS Backe、Sol Services、Element Materials Technologyが、プラットフォームの開発のオーナーとなり推進していくための創設パートナーとして調印しています。IBM、Red Hat、Cobuilderは、OpenBuiltにテクノロジーとサービスを提供して、プラットフォームの構築をリードしています。

OpenBuiltならびに当該イニシアチブへの参加方法に関する詳しい情報については、https://www.openbuilt.ioの「Get Involved」のページをご確認ください。

IBMについて:

IBM グローバル・ビジネス・サービス事業(Global Business Services: GBS)に関する詳しい情報はhttps://www.ibm.com/services(英語)をご覧ください。

Cobuilderについて:

Cobuilderは、建設業界の当事者が製品データの潜在能力を利用するために、データ管理に関するすべての関連国際規格を採用したITプラットフォームを提供しています。目的にあった正確な製品データは、サービス品質や製品化までの時間の改善と、時間、コスト、および環境フットプリントの低減をもたらします。

Cobuilderは、オスロの本社と英国、フランス、およびブルガリアの完全所有子会社に120人を超える従業員を擁する、国際的な民間企業です。同社は建設業界におけるデジタル化の主要な推進者であり、またISO、buildingSMART、CEN、およびCENELECに対する戦略的な貢献者です。

Salesforceについて:

Salesforceおよびその他はsalesforce.com, inc.の商標の一部です。

当報道資料は、2021年4月15日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。

https://newsroom.ibm.com/2021-04-14-IBM-Red-Hat-and-Cobuilder-Spearhead-Development-of-OpenBuilt-to-Accelerate-Digital-Transformation-across-the-Construction-Industry-with-a-Hybrid-Cloud-Approach (英語)

 

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