ニュースリリース
IBM、テニス・グランドスラムファンにより多くの情報と新しい体験を提供
2021年の全米オープンテニスで、AIとクラウドを活用した新たなイノベーションと洞察を発表
2021年9月1日
[米国ニューヨーク州フラッシング - 2021年8月27日(現地時間)発]
IBMは本日、全米オープンのデジタル・パートナーとして、世界中の数百万人のファンがテニス・グランドスラムを新しい方法で楽しめるよう、AIとハイブリッドクラウドを活用して選手や試合に関する洞察を提供する新しいファン体験を発表しました。
ファン体験のイノベーション
IBMは、AIを活用して、全米オープン・アプリやUSOPEN.orgでリアルタイムのランキングや洞察を提供し、選手や試合についてより多くの情報をファンに提供することで、全米オープンのデジタル体験の強化を支援しています。今大会に新たに導入される「IBM Power Rankings with Watson」と「Match Insights with Watson」は、IBM Cloud上でRed Hat OpenShiftを基盤として、AIと自然言語処理(NLP)によりデータを分析し、大会中のシングルス254試合すべてを対象に、各試合開始前に重要な洞察を提供します。また、IBM Power Rankings with WatsonとMatch Insights with Watsonは、ESPNで放送される大会中継および全米テニス協会(USTA)が毎日提供する番組「The Changeover」にも組み込まれます。
- IBM Power Rankings with Watson:IBM Power Rankings with Watsonは、選手の勢いを示すランキングをAIが毎日作成します。2021年のウィンブルドン選手権で初めて使われ、今年、全米オープンでも初めて採用されることになりました。通常のテニス・ツアー・ランキング・システムは、過去52週分のデータを使用して選手の成績を数値化しますが、IBM Power Rankingsは、さらに選手の直近の成績にも焦点を当てます。高度な統計分析、Watson DiscoveryのNLP機能、セキュアでオープンなIBM Cloudを組み合わせて、選手の成績データの分析、メディア・コメントの収集、選手の勢いの測定を行い、最も魅力的なマッチアップを強調します。IBM Power Rankings Leaderboardは、大会前の金曜日に1回目が発表され、大会期間中は毎日更新されます。
- Match Insights with Watson:大会期間中のシングルスの各試合開始前に、ファンがすばやく情報を得られるよう、Match Insights with Watsonは、Watson Discoveryを利用してAIがファクトシートを提供します。Match Insights with Watson は2020年に初めて使用され、今大会では「In the Media」や「By the Numbers」などの新機能が導入されています。In the Mediaは、ニュース・ソースから各選手に関する重要な洞察を抽出します。By the Numbersは、自然言語生成(NLG)を使用して過去の統計データを文章に変換し、IBM Decision Optimization for Watson Studioを使用してどの洞察をファンに公開するかの選択を支援します。
- 新機能:IBM Power RankingsとMatch Insightsは、「Likelihood to Win(勝利の可能性)」、「Ones to Watch(注目の試合)」、「Upset Alerts(番狂わせアラート)」などの新機能により、選手に関するデータを試合に先だってファンが理解しやすい形で提示します。
- Likelihood to Win (L2W) :シングルスの各選手の試合に勝つ可能性に対する信頼度の値をパーセンテージで表示します。
- Ones to Watch:大会前にIBM Power Rankingsでのポジションが5つ以上、上がった選手をリストアップします。
今年のウィンブルドン選手権でOnes to Watchをテストしたところ、IBM Watsonが注目選手として名前を挙げたマテオ・ベレッティニ(Matteo Berrettini)選手が決勝に進出しました
- Upset Alerts:ツアー・ランクで下位の選手が、IBM Power RankingsではL2Wの高さに基づいて有利であると判断された試合は、「Upset Alerts」としてピックアップされます。
全米オープン向けに、IBMが全米テニス協会(USTA)と協力して取り組んでいるデジタル・ファン体験、サイバー・セキュリティー、デジタル・プロパティー・サポートなどの業務は、IBM Cloud、Watson for Cyber Security、IBM WatsonのエンタープライズグレードのAI機能などで構成されるハイブリッドクラウド上で構築されています。これらは、IBMが世界中のさまざまな業界のお客様のデジタル・トランスフォーメーションを推進するために使用しているのと同じテクノロジーです。
US Open Fantasy Tennis
今年の全米オープンでは、新しい試みとして、IBM Power RankingsやWatson Discoveryによる洞察を組み込んだUS Open Fantasy TennisをUSOpen.orgで公開します。US Open Fantasy Tennisは、このテニス・グランドスラムと連動する初のファンタジー体験で、ファンはテニスのプロ選手のファンタジー・チームを結成し、大会期間中の2週間フォローできます。US Open Fantasy TennisはMatch Insightsで強化され、ユーザーは情報を最大限に活用してファンタジー・チームを選択できます。ユーザーは、US Open Fantasy TennisのインターフェースからMatch Insightsを利用して、男女4名ずつの選手で構成されるファンタジー・ロスターを選択できます。IBM Power RankingsとMatch Insightsが提供するデータは大会期間中を通して変化します。ユーザーは、大会の4回戦が始まる前のあらかじめ定められた変更期間中にロスターを再評価できます。ゲームでUS Open Fantasy選手がポイントを獲得するのは、選択したテニス選手が、試合に勝ったときに100ポイント、サービス・エースを決めたときに1本あたり2ポイント、サービス・ブレークを奪ったときに1ゲームあたり5ポイントです。
世界中のファンとつながる
USTAのチケット・ホスピタリティー・デジタル戦略担当マネージング・ディレクターのキルステン・コリオ(Kirsten Corio)氏は、次のように述べています。「IBMとのパートナーシップにより、大会を視聴または観戦する世界中の数百万人のファンに、データに基づく高度な洞察を提供できます。舞台裏では、IBM Cloudが備える柔軟性とセキュリティーによって、リモート操作を強化し、毎年のように新機能のイノベーションを実現し、さらに全米オープンのデジタル・プロパティーが稼働することで、世界に向けて確実に大会が配信されます」
IBM Institute for Business Valueが米国の成人2,600人以上を対象に実施した最近の調査1では、COVID-19のパンデミックによってスポーツのファン体験に対する利用者の好みが大幅に変化したことがわかりました。調査対象の米国成人のうち、伝統的なスポーツをデジタル・プラットフォームで視聴したと回答した人の割合は、パンデミック前(41%)に比べて、パンデミック中はその2倍以上(84%)に増加しました。また、調査対象の米国成人の60%は、AIやクラウドなどのテクノロジーによって、スポーツ観戦がファンにとってより魅力的なものになると回答しています。
IBMのスポーツ&エンターテイメント・パートナーシップ担当バイス・プレジデントのノア・サイケン(Noah Syken)は次のように述べています。「昨年の完全にバーチャルで開催された大会以降、ファンが何を求めているのか、テクノロジーがこの規模の大会の運営にどのように役立つのかについて、さらに多くのことを学びました。そこで得られた洞察をUSTAとの継続的なパートナーシップに活かし、IBMのAIとクラウドにおける専門知識を活用して、デジタル・プラットフォームや新しいファン体験、さらには大会運営を舞台裏で支えるテクノロジーを通して、ファンにとって大会をより魅力的なものにできることを嬉しく思います」
ハイブリッドクラウド駆動型
IBMは30年にわたり、全米オープンの公式テクノロジー・パートナーを務めています。IBMは、全米オープンのアプリとWebサイトの設計、開発に携わり、大会期間中に世界中のファンが交流できるようなファン体験を提供しています。例年同様に、全米オープンのデジタル・プロパティーは、オンプレミス、パブリッククラウド、およびプライベートクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドの基盤上で動作し、さまざまなデータ・ソースやAPIから情報を抽出します。IBMは、このハイブリッドクラウド・アプローチにより、複数のクラウドにわたってデータやアプリケーションの収集、統合、配信を行うと同時に、多種多様なワークロードをシームレスに処理しています。今年の革新的なソリューションはコンテナ化され、Red Hat OpenShiftとIBM Cloud上に構築されています。これらのソリューションは新機能のコードを1回作成すれば、後にそれらを多数のUSTA環境にデプロイが可能であり、クラウドの柔軟性によって毎年短期間のうちにイノベーションを実現しています。
パンデミックの影響により、体験のオンライン化が進んでいますが、全米オープンのデジタル・オペレーションでは、ハイブリッドクラウド・アーキテクチャーの採用により、生産性を維持し、商業レベルで最高のデータ・セキュリティー2を確保しながら、継続的なリモート環境に必要な柔軟性を実現しました。現在進行中のパンデミックの影響、および2020年の全米オープンから得られた教訓をもとに、大会のデジタル・チームとコンテンツ・チームは、オンサイトとオフサイトのチームメンバーが協働しています。ハイブリッドクラウド・アーキテクチャーは、回復性と拡張性を備えた高速なリモート操作を実現します。
全米オープンは8月30日から9月12日まで開催されます。毎日更新されるIBM Power Rankingsなど、今大会で使用されるテクノロジーを体験するには、USOpen.orgにアクセスするか、モバイル・デバイスでAppleもしくはAndroid App StoreからUS Open appをダウンロードしてください。
以上
1 IBM Institute of Business Valueのスポーツとテクノロジーに関する調査:米国の成人2,600人からの回答、2020年8月
2 連邦情報処理標準(FIPS)出版物140-2は暗号モジュールの承認に使用する米国政府のコンピューター・セキュリティー標準であり、米国標準技術研究所(NIST)によって発行されます。商用セキュリティーの最高レベルはレベル4です。
当報道資料は、2021年8月27日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2021-08-27-IBM-Announces-New-Innovations-and-Insights-using-AI-and-Cloud-technology-for-2021-US-Open,-Enabling-Fans-to-Be-More-Informed,-Engaged-During-Tennis-Grand-Slam-R (英語)
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