ニュースリリース

女性の地位向上は最優先でない、と70パーセントの企業が回答

リーダーへのパイプラインは縮小傾向だが、大胆な行動によって転換できる
2021年06月 1日

2021年6月1日

[米国ニューヨーク州アーモンク - 2021年3月8日(現地時間)発]

IBM Institute for Business Value(IBV)の新たな調査「ジェンダー・インクルージョン施策の危機 – 善意は必要だが十分ではない(英文:Women, leadership, and missed opportunities)」によると、調査対象となった企業の経営層、管理職、プロフェッショナルは、新型コロナウイルスの感染拡大によって女性が職場で直面している課題に関する認識が高まっているにもかかわらず、世界中の企業の70パーセントはいまだにジェンダー・エクイティー(男女間における不平等解消を目指す取り組み)を最優先事項としていないことが判明しました。またこの調査では、ビジネスにおいて大胆かつ持続可能な変革を推進する上で役立つ行動について、ジェンダー・インクルージョンをビジネスにおける最優先事項としている企業から学んだ内容とともに紹介しています。

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ジェンダー・インクルージョン施策の危機 – 善意は必要だが十分ではない

このグローバルな調査「ジェンダー・インクルージョン施策の危機 – 善意は必要だが十分ではない」は、2019年に発表された同様の調査に続くもので、ジェンダー・エクイティーが岐路に立っていて、女性にとっての上級職への昇進の道が険しくなっている可能性も示しています。調査対象の女性のうち、2021年にシニア・バイスプレジデント、バイスプレジデント、ディレクターおよびマネージャーの役職に就いている人は、2019年より少数でした。

IBMのグローバル・マーケット担当シニア・バイスプレジデントで、IBM Women's Communityのシニア・エグゼクティブ・スポンサーであるブリジット・バン・クラリンゲン(Bridget van Kralingen)は、次のように述べています。「このデータは、女性管理職の多くが、今まさに困難に直面していることを示しています。これらの問題への取り組みをこの数年よりもさらに深化させないと、進展どころかさらに後戻りする危険性すらあります。私たちは、今こそ創造的な解決策を見出し、すべての女性がそのポテンシャルを最大限に発揮できるような、有意義で継続的な変化を起こすために一層努力する必要があります」

また、調査結果から、対象となった従業員が、ジェンダー・エクイティーに対処するための実効性の低い型どおりの取り組みに疲労感を覚え、楽観的な見方が衰退するのを感じていることも明らかとなっています。自社の組織が今後5年間でジェンダー・エクイティーを大きく向上させると予想する回答者は、女性で62%(2019年から9ポイント減)、男性で60%(同7ポイント減)にとどまりました。

プログラムの増加が進展につながらず
今回の調査によれば、2019年と比較して、より多くの組織が、ジェンダー・フリーの採用選考や女性の育児休業など、ジェンダー・エクイティーとジェンダー・インクルージョンの向上を図るためのプログラムを増やしています。しかし、調査では、プログラムを導入しても考え方やカルチャーが十分に変わらないことが一因となり、これらの取り組みが必ずしもより良い成果につながっていないことも示唆されています。

例えば、2019年と比較して、両方の調査に回答した企業で、性的偏見を伴う言動に対して上級管理職が公然と異議を唱えているとした回答者の数は減少しています。

「先駆的企業」の利益
調査では、女性の地位向上をビジネスにおける正式な優先事項に指定し、ジェンダー・インクルージョンが財務業績の推進要因と考え、行動することに意欲的な「先駆的企業」と呼ばれる回答者のグループ(11%)を特定しました。「先駆的企業」は、好調な財務業績(今回の調査で他の組織が報告した平均と比較して、平均で61%も高い収益増加率)に加えて、より強固なイノベーションと、より高い顧客および従業員満足度を達成しています。

持続可能な進展に向けたロードマップ
調査から、「先駆的企業」の例にならって、職場におけるジェンダー・エクイティーの進展を加速するために組織が行うことのできる、具体的で大胆な取り組みを特定しています。

  • 最大限のコミットをもって大胆に思考する。例えば、ジェンダー・エクイティーを、ビジネスにおける正式な5大優先事項にして、女性が職場に復帰する道筋を作ります。IBMでは、12カ月間離職していた技術系専門職に対して、6カ月の「リターンシップ」(有給)を用意し、トレーニング、ツールやテクノロジーへのアクセス、メンターシップ、それぞれの専門知識にあわせた技術的なプロジェクトへの参画機会を提供しています。
  • リスク発生時の具体的な介入策を明確にする。例えば、補助的な子育て支援やメンタル・ヘルス・リソースへのアクセスといった追加的な福利厚生がカギとなります。最近行われたIBVの別の調査によると、高業績企業(調査対象のうち収益成長率で上位20%に入っていた企業)のCEOの77%は、短期的な利益を犠牲にしても従業員の福利厚生を優先すると回答しています。
  • 価値実現を企図する文化を創造し、道を譲ることを主張する。共感的なリーダーシップと、中間管理職が前向きなカルチャー変化の提唱者になれるようにすることに重点を置きます。リーダーとなる人々は、それぞれの個人的および職業的ニーズに合わせた柔軟性をもって、インクルーシブなチーム・カルチャーを意図的に支持し、女性のリーダーたちの将来的な昇進機会を支援するため、ビジネスと個人の目標に対してアカウンタビリティーを設定することができます。
  • テクノロジーを活用してパフォーマンスを加速させる。組織は、AIなどのテクノロジーを使って候補者の選考プロセスにおけるバイアスを減らし、コミュニケーションとフィードバック用のクラウド・ベースのデジタル・ツールを用意することで、職場における女性のサポートに有効なものとそうでないものを明らかにできます。さらに、パンデミックの終息後でも男女が物理的およびリモートの環境でも効果的に連携することができる協調ツールとチーミングの方法にも投資することが可能です。

調査方法
今回の調査は、IBM Institute for Business ValueがOxford Economicsと協力して、9地域の10業種にわたる2,600人を超える役員、中間管理職およびプロフェッショナル(男女同数)を対象に実施しました。これは、縦断的解析を可能とするため、同一範囲の役職、業種および地域を代表する2,300人を対象に行われた、2019年の調査に続くものです。

*2019年と2021年のいずれの調査においても回答者のあった組織をいいます。

IBM Institute for Business Valueについて
IBM Institute for Business Value(IBV)は、業界の有識者、第一線の学者、および対象分野の専門家からの専門知識を、グローバルな調査とパフォーマンス・データを組み合わせて、テクノロジーとビジネスの接点にある当社の立場から信頼できるビジネスの洞察を提供しています。IBVのソート・リーダーシップのポートフォリオには、調査の詳細、ベンチマークとパフォーマンスの比較、および地域、業界、テクノロジー全般にわたるビジネスの意思決定をサポートするデータの可視化が含まれています。最新の洞察を受け取るには、Twitterで@IBMIBVをフォローしてください。また、電子メールで受け取る場合は、www.ibm.com/ibvをご参照ください。

当報道資料は、2021年3月8日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は以下のURLを参照ください。https://newsroom.ibm.com/2021-03-08-IBM-Study-Finds-Advancing-Women-is-Not-a-Top-Priority-for-70-Percent-of-Global-Organizations-Surveyed (英語)

以上

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