ニュースリリース
サステナブルなシーフード、IBMのブロックチェーン技術を採用し、海から食卓に届くまでの洞察を得る
2020年7月2日
ノルウェーの大手シーフード・メーカーが、ブロックチェーンに注目し、テクノロジーで完全に追跡可能な高品質の製品提供を実現
[米国ニューヨーク州アーモンクおよびノルウェー・オスロ - 2020年6月25日(現地時間)PRNewswire (IBM外のWebサイトへ)発]
Atea、IBM(NYSE:IBM (英語))、およびSjømatbedriftene (IBM外のWebサイトへ)(ノルウェー・シーフード協会)は本日、業界の枠を超えた新しい提携を発表しました。この提携の目的は、ブロックチェーン・テクノロジーを利用して、ノルウェーのシーフード業界全体でサプライチェーン・データを共有し、より安全で良質なシーフードを世界中の消費者に提供することです。
ノルウェー国内でシーフードを取り扱う一部の企業は現在、このネットワークにデータを提供する段階に入っています。自然の海でサーモンの養殖を行うクヴァロイ・アークティック社(Kvarøy Arctic)もそうした企業の1つで、まもなく、履歴追跡テクノロジーを利用して米国やカナダの大手小売業者に製品の提供を開始する予定です。高級水産飼料を販売するバイオマー社(BioMar)もこのネットワークに参加し、ノルウェー企業はシーフードの原産地や品質のほか、魚介類に与えている飼料の品質について情報を提供できます。
クヴァロイ・アークティック社(Kvarøy Arctic)のCEOであるアルフカラン・ナットソン(Alf-Gøran Knutsen)氏は次のように述べます。「大切なのは、自分たちが食べるシーフードが安全であることはもちろん、自然環境を保ちながら持続できる健全な方法で生産されているということを消費者に知ってもらうことです。ブロックチェーンを利用することで、海から店舗まで魚介が運ばれたルートを全員で共有できます。自分たちが口にする食物がどこで生産されたものか詳しい情報を消費者に求める今、これほどタイムリーなことはありません」
ノルウェー産のシーフードは品質が高いと評判で、2019年は270万トン (IBM外のWebサイトへ)を超えるシーフードが輸出されました。これは、分換算すると毎分25,000食が輸出されたことになります。その一方で、自然環境を害さない活動の存続を強く訴えるシーフードの消費者にとって、魚介の漁獲地、生育具合や貯蔵状態、食品ロスの削減などの確認が重大な関心事であることに変わりはありません。
ノルウェー・シーフード協会のCEOであるロバート・エリクソン(Robert Eriksson)氏は、ブロックチェーン・テクノロジーが今後きわめて重要なものとなり、業界の競争力強化につながるという考えを示しています。さらに、次のようにも述べています。「ノルウェー産のシーフードは品質の高さで有名です。それにもかかわらず、私たちはいまだに、魚介類の漁獲地がどこで、どのように育ち、どのように貯蔵されたのか、その軌跡をたどることができないでいます。不正や食品ロスの可能性が生まれるのは、こうしたことが原因です。ブロックチェーンを採用すれば、魚介類の漁獲地について説明のつく明白な記録がとれるため、こうした問題を排除することができるようになるでしょう。これは、持続可能な食料を増産することで、生産者の利益増が期待できるなど、業界に大きな変化をもたらす未来の序章に過ぎないと思っています」
ブロックチェーン・テクノロジーを利用するシーフード生産者は、サプライチェーン・イベントに関する「正確な同じ情報」を共有することができるため、消費者はシーフード製品について製造業者にまでさかのぼって追跡することができ、生産者は製品や原産地、加工方法について情報を提供できるようになります。このプライベート・ブロックチェーン・ネットワークでは、漁獲地や漁獲時間のほか、出荷に関する変更情報や通関手続き、さらには温度などサプライチェーン・イベントに関するデータの記録が行われ、記録されたデータは権限を持つ関係者の間で共有可能です。
最近のIBMの研究 (英語)によると、71%の消費者がトレーサビリティは重要であると考え、トレーサビリティを提供しているブランドに付加料金を払ってもよいと答えています。また、口にする食品に関してより詳細な説明表示も求めています。この新しいブロックチェーンベースのネットワークでは、店舗にいる消費者は、魚が捕獲されたフィヨルド、捕獲された日付、使用された餌、施設で持続可能な方法を使用しているかどうかを確認できます。通関業者は、出荷の量と位置に関するデータにもっと簡単にアクセスできるようになり、通関手続きを早めることができます。この情報をサプライチェーン全体で共有すれば、品質に投資しているシーフード生産者は付加料金を請求でき、魚を捕獲する漁業関係者への支払いも増やすことができます。
「ノルウェーのシーフード業界は年間8億ドル相当を超える量を輸出しており、これは、ノルウェーが世界と共有する生産物の品質を向上させる大きな機会になっています。シーフード業界でこのテクノロジーを活用したこの特定のアプリケーションが使用されるようになると、農業や小売業など北欧の他の主要産業にも大きな可能性が生み出されることを期待できます。Atea Innovation Centerを通して、ネットワークのメンバーがプラットフォームを利用してイノベーションを行い、新しい効率性を高めることができるようサポートしていきます」と、Atea ASAのCEOであるシュタイナー・ソンステビー(Steinar Sønsteby)氏は述べています。
このブロックチェーン・ネットワークでは、IBM Blockchain Transparent Supply (英語)が使用されています。これは、Food Trust (英語)を支える基盤のテクノロジーを利用したIBMの革新的な製品です。これを使用することで組織や共同事業体は、さまざまな業界にわたってブロックチェーンベースの独自のエコシステムを迅速に構築して、サプライチェーンの業務を強化できます。IBM Blockchain Transparent Supplyによって透明性とコラボレーションが促進されるため、ネットワークではメンバーシップの管理がしやすくなり、文書を安全に共有でき、物理資産とデジタル資産の履歴とライフサイクルの永続的な記録を作成できます。
「ブロックチェーンとは、柔軟性と透明性の強化です。IBM Blockchain Transparent Supplyは、エコシステム・パートナーと独自のブロックチェーン・ネットワークを速やかに開始して、独自のブランディングを使用したいと考えるクライアントにまさにこの機能を提供します」と、IBM Food Trustゼネラル・マネージャーのラジ・ラオ(Raj Rao)は述べます。「この強力なテクノロジーは、ネットワーク・メンバーに、独自のガバナンスを開発してどのような情報をどのように共有するかを判断する可能性を与えます」
IBM Blockchain Transparent Supplyの詳細については、こちら (英語)を参照してください。
Ateaについて
Ateaは、北欧およびバルト海沿岸地域で事業展開し、収益370億ノルウェー・クローネ、従業員数7,500名を超えるITインフラストラクチャー・ソリューションの主要プロバイダーです。Ateaは、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、リトアニア、ラトビア、およびエストニアの85の都市に事業所を構えています。
IBM Blockchainについて
IBMは、ブロックチェーン・プロバイダーのトップ企業 (IBM外のWebサイトへ)として認められています。IBMの調査、技術、およびビジネスの専門家は、これまでトランザクション処理速度の壁を破り、トランザクションのセキュリティーを確保するうえで最も高度な暗号化を開発しました。現在は、ビジネス向けブロックチェーンを発展させるために数百万行ものオープン・ソース・コードを提供しています。IBMは、エンタープライズ向けに構築されたオープンソース・ブロックチェーン・ソリューションをリードしています。
2016年から金融サービス、サプライチェーン、政府機関、小売業、デジタル著作権管理、医療などさまざまな業界の数百社ものクライアントに協力して、ブロックチェーン・アプリケーションの実装に取り組んできました。現在は実稼働の環境で動作している数多くのネットワークを運営しています。クラウドベースのIBM Blockchain Platformは、クライアントが独自のネットワークを速やかに有効にして、そのネットワークの開発、運用、管理、および保護を成功裏に行うために必要なエンド・ツー・エンドの機能を提供します。IBMは、業界間ブロックチェーン・テクノロジーを発展させるためのオープン・ソース共同研究の取り組みであるHyperledgerの初期メンバーです。IBM Blockchainの詳細については、https://www.ibm.com/blockchain/ (英語)にアクセスするか、Twitter(@ibmblockchain)でIBM Blockchainをフォローしてください。
当報道資料は、2020年6月25日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLをご参照ください。https://newsroom.ibm.com/2020-06-25-Sustainable-Seafood-Gets-a-Boost-from-IBM-Blockchain-Technology-for-Insight-into-the-Journey-from-Sea-to-Table(英語)
以上
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