ニュースリリース
IBMがCIOを支援する新しいAIを発表
ITオペレーションの自動化による回復力向上とコスト低減を図る
• Red Hat OpenShift上に構築されたWatson AIOpsは、任意の全クラウドで動作し、Watson AIOpsはSlackやBoxなどパートナーのエコシステムと連携
2020年5月7日
[米国ニューヨーク州アーモンク - 2020年5月5日(現地時間)発] 最高情報責任者(CIO)が現在直面している課題は、これまでにも増して複雑かつ重大です。なぜなら、これらのリーダーは、世界的なパンデミックの発生後における自社の回復・再始動を支援しようとしているからです。こうした目標を想定して、IBMは自社のThink Digitalカンファレンス(英語)において、AIを利用した広範な新機能と新サービスを発表します。これらの機能やサービスは、CIOの皆様がITインフラストラクチャーの自動化を通じて、将来の混乱に対する回復力を高めたり、コストを削減したりするのに役立ちます。
マーケット・インテリジェンス会社であるIDCの予測によると、AIを利用する企業では2024年までに、顧客、競合企業、規制当局、パートナーへの対応が、AIを使っていない企業と比べて50%素早く対応できるようになります。[1]
IBMはこうした未来を想定して、IBM Watson AIOps(英語)を発表します。この新しいオファリングは、企業がITの異常に対する自己検知、診断、対応を行う過程を、AIを使用して自動化します。ITの想定外のインシデントや停止は、企業の収益と評判の両方に損害を与える可能性があります。市場調査会社であるAberdeen(IBM外のWebサイトへ)は、ITの停止によって1時間あたり260,000ドルの損失が生じると見積もっています。
Watson AIOpsを使用すると、組織は自動化をインフラストラクチャー・レベルで導入できます。またWatson AIOpsは、CIOが将来の結果をより適切に予測・形成したり、より価値の高い仕事にリソースを集中させるなど、応答性とインテリジェンスにいっそう優れた、より長時間の稼働が可能なネットワークの構築準備を整えたりするうえでも役立つよう、設計されています。
この新しいソリューションは最新リリースのRed Hat OpenShift上で構築されており、ハイブリッド・クラウド環境全体で動作します。またSlackやBoxのような、現在の分散作業環境の中心を占めるテクノロジーと連動するほか、MattermostやServiceNowのような従来型のIT監視ソリューションのプロバイダーとも連携します。
IBMは今回の公開の一環として、AIによるアプリケーション・モダナイゼーションのためのアクセラレーター(Accelerator)(英語)を発表し、IBMのクラウド・モダナイゼーション・サービスに追加します。この新機能は、お客様がアプリケーションのモダナイゼーションに関する全体の労力とコストを削減できるよう設計されています。この機能はエンドツーエンドのモダナイゼーション・ジャーニーの最適化に向けたツール一式を提供し、アーキテクチャーやマイクロサービスに関するさまざまなオプションの分析・提案を支援します。このアクセラレーターは、継続的な学習と解釈可能なAIモデルを活用して、お客様が望まれるソフトウェア・エンジニアリング・プラクティスに適応するとともに、テクノロジーやプラットフォームの進化にも常時対応します。
Watson AIOpsやアプリケーション・モダナイゼーションのためのアクセラレーターの基礎となる数多くのテクノロジーが、IBM Research(英語)で開発されました。
SlackのCEO兼共同創設者であるスチュワート・バターフィールド(Stewart Butterfield)氏は、次のように述べています。「組織にとって最大の課題は、連携に関するものです。Slackが最も有用なのは、お客様が毎日利用されている他のツールとSlackが緊密に統合されており、重要なビジネス情報がチャネルに提供され、チームがそれを基にチャネルでコラボレーションを行える場合です。SlackとWatson AIOpsを併せて使用することで、ITオペレーターの皆様にはインシデント・ソリューションでの効果的なコラボレーションを行っていただけます。またそうすることで大事な時間を、問題の特定ではなく解決に割けるようになります。」
BoxのCEOであるアーロン・レヴィ(Aaron Levie)氏は、次のように述べています。「このリモートワーク時代という新時代において、すべてのアプリケーション上で、安全にかつ、いつでもファイルを共有したりアクセスできることが、これまで以上に重要となります。IBMとのパートナーシップを拡張し、Watson AIOpsの連携やコンテンツを提供させていただくことで、IT企業の方々がより速く、より簡単に、そしてより安全に業務を行えることを非常に嬉しく思います。」
IBMのクラウド&データ・プラットフォーム担当シニア・バイス・プレジデントであるロブ・トーマス(Rob Thomas)は、次のように述べています。「私たちが世界中の企業から学んだのは、ビジネスにおけるAIの成功を左右するファクターとして、言語、自動化、信頼性の3つがあるということです。COVID-19による危機とリモートワーク機能に対する需要の高まりによって、AI自動化に対するニーズは、これまでにない割合とペースで促進されています。次世代のCIOとそのチームの皆様に、今日のデジタル企業における重大な仕事、すなわちデータの管理とマイニングを優先的に実行していただき、ビジネス成果のインパクト向上とコスト低減につながる予測インサイトを利用していただけるよう、当社は自動化を通じて支援を行っています。」
変化の続く経済環境に身を置かれている、さまざまな業界のお客様から、新機能を歓迎する声が寄せられています。
Lufthansa Groupのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CIOであるローランド・シュッツ(Roland Schuetz)氏は、次のように述べています。「航空業界は新型コロナウイルスの世界的流行により大打撃を受けましたが、過去数年間のAIについての取り組みは今後の課題を部分的に軽減するために役立つでしょう。IBMとの連携によるIBMのWatson AIテクノロジーの利用は、データ・サイエンス・ツール環境の最新化の推進に役立ってきました。AIを使用してプロセスを自動化すると、即応性の高い顧客ケアや運用面などのメリットを実現できます。当社は、このようにして、コロナ危機後の手堅い再開に重要な貢献をしています。」
IBMは、IT業務の自動化に加え、この新しい環境における事業戦略をCIOに提供する一連の新機能および更新機能を発表します。新機能は以下の目的に役立つよう設計されています。
- 経営計画の自動化 - IBM Cloud Pak for Data(IBMのデータとAIのための完全統合プラットフォーム)がアップデートされ、ビジネスにすぐ利用できる重要データへのアクセスをビジネス・リーダーが自動化するのに役立つ新機能(英語)が多数追加されました。たとえば、事業の企画立案、予算策定、および予測を自動化できるIBM Planning Analyticsや、オンプレミス環境でMDM実装にアクセスできるIBM InfoSphere Master Data Connect(英語)などのDataOps(英語)機能が、拡張機能としてプラットフォームに追加されています。
- 業務の自動化 - 自動化アプリを設計、構築、および実行するためのソフトウェアであるIBM Cloud Pak for Automationの新たな重要なアップデートにより、AIの「デジタル・ワーカー」自動化ソリューションをより簡単に構築できるようになりました。デジタル・ワーカーは定型業務を自動化し、人間と協業しながら業務を遂行します。この新機能により、データの取り込み、タスクの自動化、業務プロセスの制御などの自動化スキルを容易にデジタル化できるようになります。
- コール・センターの自動化 - IBMが提供するAIベースの対話プラットフォームIBM Watson Assistantも、大量の知識を要する最も複雑な対話をインテリジェントに自動化し(英語)、業務コストを削減しながら顧客満足度向上を推進するのに役立つようアップデートされています。ユーザー・エクスペリエンスに基づくベスト・プラクティスにより設計されたユーザー・インターフェースで、導入に開発作業が不要なものが、事前に組み込まれた状態で新たに提供されます。また、いくつかの主要なカスタマーサービス・プラットフォームと新たに統合され、これにより、お客様が過去に行った統合されたサービスに対しての投資は無駄にならず、ユーザーは簡単にライブ・エージェントに接触できます。最後に、新しい「自動学習」機能を現在開発中で、この夏に製品に組み込む予定です。この機能は、過去の顧客行動から学習し、同じトピックについての新しい質問に対して最も関連性が高く最適な回答を提供します。自動学習により、人間の担当者が顧客との対話から学習して時間とともに成長するのとまったく同じように、バーチャル・アシスタントが同じような能力を備えることが期待されます。
T-Mobileのサプライ・チェーン・データ分析およびオペレーションズ・リサーチ担当ディレクターであるアーデム・エスキグン(Erdem Eskigun)氏は、次のように述べています。「T-Mobileは、現在の環境で会社を効果的に運営するため、コストを節約して優れた顧客サービスを提供しながら、より即応性が高い機動的なサプライ・チェーンの確保に力を注いでいます。IBM Cloud Pak for Dataは社内に散らばるバラバラのデータベースをまとめてくれます。また、IBM Cloud Pak for Dataを使用することで、在庫補充から輸送の最適化、販売予測、返品予測、さらにはサプライ・チェーンの最適化まで多岐にわたるプロジェクトの分析モデルをテストおよび開発することができます。結果として、アイデアの着想からビジネス・ユーザーへの提供までの期間を大幅に短縮できました。」
現在、ニュースでは、今日の不安定なビジネス環境における企業運営ですでに役立っている、新型コロナウイルスの混乱を収束させるために最近発表された(英語)ビジネス・ソリューションが詳しく取り上げられています。大企業や公共機関は、新型コロナウイルスが世界的に流行する中で立ち直りに役立つIBMのサービスならびにクラウド、データおよびAIソリューション分野でのIBMのリーダーシップを頼りに感じています。
IBM Think Digitalについて
Think Digital 2020において、IBMは、事業の状況および新型コロナウイルスの影響が残る中お客様が立ち直りとデジタル変革を推進するにあたりAIやクラウドなどの基幹技術が担う役割を議論しました。詳細スケジュールとライブストリームの議題については、https://www.ibm.com/events/think/watch(英語)をご覧ください。
Twitterのハッシュタグ#think2020および@ibmliveで、カンファレンスをフォローしてください。詳しくは、IBM Think 2020 Newsroom(https://newsroom.ibm.com/think(英語))をご覧ください。
将来予測に関する記載および注意事項
過去の情報および考察を除くこのプレス・リリース内の記載は、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の意義の範囲における将来予測に関する記載を構成する場合があります。将来予測に関する記載は、将来の営業および財務成績に関する現時点での当社の想定に基づいています。将来予測に関する記載には、景況の低迷およびお客様の投資予算の減少、当社の成長目標および生産性目標の未達成、イノベーションによるイニシアティブの不首尾、当社の評判の毀損、成長機会への投資のリスク、当社の知的財産ポートフォリオの競合製品を阻止する能力および必要なライセンスを取得する能力の不足、サイバーセキュリティーおよびデータ・プライバシーに関する考察、財務成績の変動、営業地域の法令、環境、政治および医療といった各種条件による影響、環境問題、税務および企業年金制度による悪影響、効果の上がらない内部統制、当社の会計上の見積もりの使用、重要な人材を獲得および保持する当社の能力および重要なスキルへの当社の依存、重要なサプライヤーとの業務関係による影響、製品品質問題、政府が顧客となる事業の影響、通貨変動および顧客の財政的リスク、市場流動性の状況変化および売上債権の顧客信用リスクによる影響、サードパーティの提供する流通チャネルおよびエコシステムへの依存、企業買収、業務提携および事業売却を滞りなく管理する当社の能力、訴訟手続きのリスク、IBM株式に関連するリスク要因、当社のフォーム10-Q、フォーム10-Kおよび当社が米証券取引委員会に提出したその他の書類とそれらに盛り込まれた資料に記載されているその他のリスク、不確実性などをはじめ、実際の結果が著しく異なる原因となりかねない多数のリスク、不確実性などが含まれています。このプレス・リリース内の将来予測に関する記載は作成時点での内容にすぎません。当社は、将来予測に関する記載を更新または改正する義務を一切負いません。
[1] IDC FutureScape: Worldwide Digital Transformation 2020 Predictions, Doc # US45569118, 2019年10月
----------
当報道資料は、2020年5月5日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
-----------------
IBM、ibm.com、IBM Cloud Pack、IBM Research、IBM Watson、InfoSphereならびにWatsonは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
Red Hat、OpenShiftはRed Hat, Inc.またはその子会社の米国およびその他の地域における登録商標または商標です。
Release Categories
プレスリリース、各種取材のお申込みに関するお問い合わせ先(報道関係者様専用窓口)
※報道関係者様以外からのお問い合わせは受け付けておりませんのでご了承ください。
日本IBM 広報代表
電話: 03-3808-5120
e-mail: PRESSREL@jp.ibm.com