日本の経営層に焦点をあてた「IBMグローバル経営層スタディ」を発表

2020年2月3日

日本IBMは、2019年11月に発表された「IBMグローバル経営層スタディ(※1)」の結果に基づき、日本の20業種、858名の経営層(※2)の回答傾向に焦点をあてることで、日本の企業や公的機関がとるべきデータ活用戦略について論じた「IBMグローバル経営層スタディ日本版 データ活用戦略の一般原理:顧客・企業・エコシステムをめぐるデジタル空間の価値転換」を発表しました。

グローバルの傾向をまとめた「IBMグローバル経営層スタディ 信頼による卓越」では、顧客からの「信頼」を得て、データそのものを「信頼」し、エコシステムにおけるデータ流通への「相互信頼」を形成できている企業が、さまざまな業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を牽引していることが分かりました。今回発表した「IBMグローバル経営層スタディ日本版」では、信頼に基づいたデータ活用戦略に関して、「顧客との関係性:アウトプットからアウトカムへ」、「企業経営と組織:予算・計画主義から、価値・実行主義へ」、「エコシステム:競争優位から、共創優位へ」という、デジタライゼーションによってもたらされたデジタル空間における「価値の転換現象」が始まっているという洞察が得られました。また、日本企業と海外企業の状況を比較することで、取り組み状況の違いを浮き彫りにしています。

データ活用に向けた取り組みにおいて「効果が明確に実証されたユースケースがある」と回答した経営層は、グローバル全体で39%、日本では26%でした。また、「データを十分に収集・利用・共有できている」と回答した経営層は、グローバル全体で36%、日本では23%でした。日本の経営層の3分の2以上が、データ活用において最も重要なユースケースを開発できていないと考えており、DXやデジタライゼーションに向けた課題を認識しています。これは、ユースケース構築に必要なデータ収集・利用・共有ができていないことが理由の一つと推測されます。また逆に、ユースケースのイメージがないために、どのようなデータを収集・利用・共有すべきか分からないということも推察されます。

デジタル空間の価値転換に関する詳細は、次の通りです。

1.顧客との関係性:「アウトプットからアウトカムへ」
デジタライゼーションは、企業や個人のファイヤーウォールの外側にあるデータが活用されていた第1章から、企業や個人がファイヤーウォールの内側に保有する「虎の子のデータ」を活用する第2章へと進展することで、新たな価値創造が始まっています。データ活用により、顧客が享受する価値を直接評価・制御できるようになることで、製品・サービス(アウトプット)の販売といった取引に止まらず、アウトカムそのものを取引する事業の革新が起こりつつあります。その結果、企業が顧客との関係を管理(CRM: Customer Relationship Management)する時代から、顧客が企業との関係性を管理(VRM: Vendor Relationship Management)する時代への転換が始まっています。

本調査では、「満たされていない顧客ニーズを特定するためにデータを活用し成果をあげている」と回答した経営層は、グローバル全体で42%、日本では32%でした。また、「すべての顧客接点において価値向上を実現するプロセスを構築している」と回答した経営層は、グローバル全体で41%、日本では31%でした。日本の経営層の3分の2が、顧客価値の評価や管理に向けたデータ活用に課題を認識しており、グローバルと比べて、取り組みが進んでいない状況が浮き彫りになりました。

2.企業経営と組織:「予算・計画主義から、価値・実行主義へ」
これまで、企業の業績は、主に過去の活動の結果であり、それを評価・分析することで、将来の予算や計画のための指針を導いてきました。現在、経営のデジタライゼーションによって、業績の着地に至るシナリオを予知することで、優先すべき価値とその実行を即座にきめ細かく推進できるようになりました。経営のDXによって、価値・実行の主体は業務を担う現場の人財となります。必ずしもIT技術の専門家ではない彼らが、DXを主導する役割を担うためには、経営のリーダーシップをもって、必要な経営革新や環境整備を進めていく必要があります。

このような中、「意思決定のために必要なデータが充実している」と回答した経営層は、グローバル全体で52%、日本では41%でした。一方で、「意思決定の質を向上させるためにデータを重視している」と回答した経営層は、グローバル全体で49%、日本では57%でした。日本の経営者は、データに基づく経営に対する高い意識を持ちながらも、未だそれを充分に実現できていないというジレンマを抱えています。そして、その原因の一つに、経営層の考え方の違いが考えられます。たとえば、「社員が必要とする分析スキルやツールの提供を積極的に行っている」と回答した経営層は、グローバル全体で45%、日本では28%でした。IT人財を含む社員のデータ活用能力の強化に向けた投資の考え方が、大きく異なることが分かります。その結果、「データ分析とデータサイエンスに精通した組織・人材を揃えている」と回答した割合においても、グローバル全体で34%、日本では23%と、大きな差がついています。

3.エコシステム:「競争優位から、共創優位へ」
任意のアウトカムの創造を目的に、企業や個人が相互に連携して価値創造を行うエコシステムが、産業の枠組みを超えて連携し、急速にその数や多様性を拡大しています。それぞれのエコシステムの特長や関係を理解し、棲み分けや共生といった共創のための戦略策定が急務となっています。

エコシステム上での共創には、機密性の高いデータの共有や連携するための信頼が必要です。本調査では、「明確な方針に基づき、ビジネス・パートナーとデータを共有している」と回答した経営層は、グローバル全体で32%、日本では22%でした。また、「サードパーティー・データを収集して、顧客行動の理解を深めている」と回答した経営層は、グローバル全体で36%、日本では29%でした。日本の経営層の多くが、データの共有と収集をうまく進められていないことが分かりました。このような状況が継続し、共創が加速しない場合、日本企業・組織を中心としたエコシステムが進化せず、グローバルの競合に遅れてしまう可能性があります。

IBMグローバル経営層スタディ日本版「データ活用戦略の一般原理:顧客・企業・エコシステムをめぐるデジタル空間の価値転換」はこちらからダウンロードが可能です。

※1 IBMグローバル経営層スタディについて
IBMグローバル経営層スタディは、IBM Institute for Business Value(IBV、ビジネス・シンクタンク)が、2003年から16年間にわたって、世界50,000名以上の経営者の方々にインタビューを実施してきたもので、今回で通算20回目となります。最新レポートの詳細はこちら(https://www.ibm.com/services/jp-ja/studies/csuite/2020/)をご参照ください。また、IBM Institute for Business Value についてはこちらをご参照ください。

※2 日本国内の回答者について(計858名)
CEO:企業全体の経営に関する最高経営責任者 129名
CFO:財務と予算・業績管理に関する最高財務責任者 120名
CHRO:人材管理に関する最高人事責任者 156名
CIO:情報戦略の策定と実行に関する最高情報責任者 225名
CMO:市場・顧客戦略に関する最高マーケティング責任者 130名
COO:企業全体の業務執行を統括する最高執行責任者 98名

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