ニュースリリース

東京大学とIBM、「Japan–IBM Quantum Partnership」の設立に向け検討を開始

2019年12月19日

2019年12月19日

国立大学法人東京大学
IBM Corporation

このパートナーシップでは、日本の量子コンピューティング・コミュニティを拡大するとともに、新たな経済的機会を育成することを目的として、大学、公的研究機関、産業界が参加する研究および教育の枠組みを構築します。

[東京 - 2019年12月19日(現地時間)発]国立大学法人東京大学(以下、東京大学)とIBM(NYSE:IBM)は本日、量子コンピューティングの技術革新ならびに実用化に向けたパートナーシップ構築を推進するための覚書を締結しました。

東京大学とIBMは、他大学や公的研究機関、産業界が幅広く参加できる幅広いパートナーシップの枠組みである「Japan–IBM Quantum Partnership」を設立します。 このパートナーシップでは、1)産業界と共に進める量子アプリケーションの開発、2)量子コンピュータシステム技術の開発、および3)量子科学の推進と教育の3つの取り組みを進めます。

本構想において、IBMは所有・運用する IBM Q System One を日本国内のIBM拠点に設置することを予定しています。アジア太平洋地域では初めて、全世界でも米国、ドイツ (英語)に続いて3番目の導入となります。Q System One は、量子アルゴリズム、アプリケーション、ソフトウェアの研究を進めるために使われ、ひいては量子コンピューティングにおける最初の実用的なアプリケーション開発につなげることを目指すものです。

また、東京大学とIBMは、次世代量子コンピュータにおいて使用するハードウェアを含む技術開発を行うための世界初の量子システム技術センターを東京大学キャンパス内に開設します。このセンターには、量子コンピューティング向けの新しいハードウェア部品の開発を行うため、極低温技術およびマイクロ波テスト機能を含む実験設備を整備します。

加えて、東京大学とIBMは、量子コンピューティングの主要な基礎研究テーマについて共同研究を行うとともに、東京大学キャンパス内に研究交流スペースを設置し、学生、教職員、産業界の研究者が参加するセミナー、ワークショップ等のイベントを開催します。

東京大学総長 五神真氏は以下のように述べています。
「知識集約型社会への変革が人類にとってより良い社会をもたらすには、DFFT(Data Free Flow with Trust)を実現し、実空間とサイバー空間が高度に結合したグローバルコモンズ(=地球の資源と生態系を包含した概念)を持続可能かつ信頼できるものとすることが必要です。そのために、量子技術は最も重要な未来技術の一つです。量子コンピュータの商用利用を先導しているIBMと幅広い連携の枠組みを作ることで、基礎研究にとどまることなく利用技術につながる研究開発体制を我が国に一気に備えることができるとともに、それを担う人材育成を進める上でも大きな意義があると考えています」

IBMリサーチが開発したIBM Q System Oneは、多量子ビット演算の品質、安全性、信頼性、および再現性を確保できるように最適化されたものです。IBMは共に量子コンピューティングの発展と商用ならびに科学応用の開拓に取り組むFortune 500企業、スタートアップ、学術研究機関、研究所からなるコミュニティとして「IBM Q Network™」を設立しています。

IBMリサーチのディレクター、ダリオ・ギルは、以下のように述べています。
「このパートナーシップは、日本全体の経済的機会を生み出す上で戦略的に重要な研究開発活動を支えるコミュニティを構築し、成長させるため、産業界、公的研究機関、学界の専門家を集めて、日本の量子分野における研究力強化に貢献しようとするものです。」

量子コンピューティングの進展は、新薬や新素材、サプライ・チェーン最適化の大幅な進歩、より効果的な投資を行うための新たな金融モデルなど、未来の科学的発見の扉を開く可能性を秘めています。

東京大学は「Japan–IBM Quantum Partnership」を率いて、大学や公的研究機関が有する卓越した学術知を、特に量子プログラミングとアプリケーションおよび技術開発のためのスキルや専門知識を中心に大企業やスタートアップ企業等に広く提供します。

IBM Qの詳細はhttps://www.ibm.com/quantum-computing/?mhsrc=ibmsearch_a&mhq=IBM%20Qをご覧ください。

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