ニュースリリース
IBM、 新たなイノベーションとお客様事例によりWatson Anywhereがさらに進展あらゆるクラウド上でAIをより容易に拡張可能に
TOKYO - 23 10 2019:
[米国ニューヨーク州アーモンク - 2019年10月21日(現地時間)発]
IBM(NYSE:IBM)は、本日、データの複雑さの増加に伴って組織によるAIの活用が遅れていることを背景に、あらゆるクラウドでもAIを拡張できる「Watson Anywhere」のアプローチをさらに進化させる新しいイノベーションを発表し、同時に、データが保管されているあらゆる場所にAIを取り入れる戦略を推進しているお客様事例を発表しました。
IBMのData and AI担当のゼネラル・マネージャーであるロブ・トーマス(Rob Thomas)は次のように述べています。「IBMは、日々、世界中のお客様と協力しながら、データおよびAIの課題について取り組んでいます。そして、今年は、企業が全社規模にAIを拡張するうえでの大きな課題の1つであるベンダーロックインの解消に取り組みました。IBMが、あらゆるクラウド上でWatsonを実行する機能を導入した際に、これまで想像もしなかった方法でお客様にAIの道を開くことができました。そして本日、IBM Cloud Pak for Data上で稼働するWatson製品にさらに多くの追加機能を導入することで、このアプローチをさらに前進させていきます。」
AIへの関心が高まる一方、データの複雑さの増加、データの準備、スキルの不足、データ文化の不足などの理由により、AIの採用は遅れています。Gartnerの2019 CIOアジェンダ・サーベイ1によると、2018年から2019年の間に人工知能(AI)を導入した組織は、4%から14%に増えました。これらの数値は、AIの価値に対する認識の高まりとは対照的です。2019年に行われたMITスローン・マネジメント・レビューとボストンコンサルティンググループによる調査「Winning with AI」では、回答者10人のうち9人が、AIが自社のビジネスチャンスであることに同意しています。企業の複雑性の増加に加え、IBM グローバル経営層スタディ 2018年版では、調査した組織の76%が少なくとも2~15個のハイブリッドクラウドをすでに利用しており、98%は3年以内にマルチ・ハイブリッド・クラウドを利用すると予測しています。
本日発表されたイノベーションは、組織がAI導入の障害を克服できるようにデザインされています。AIモデルにおける「ドリフト」の検出から人間の声のニュアンスの認識まで、これらの新しい機能は、IBM Cloud Pak for Dataプラットフォームを通じてあらゆるクラウド上で稼働し、膨大なデータストアをAIに容易に接続することが可能になります。
AIをあらゆるクラウド上で活用可能にするこのアプローチへの期待が高まっている裏付けとして、IBMは、企業全体でWatsonを活用することで、隠れた洞察を発見し、日常的なタスクを自動化し、全体的なビジネスパフォーマンスの向上を図っている多数のお客様事例を発表しました。多国籍なプロフェッショナルサービス会社のKPMGやAir France-KLMなどの企業は、それぞれのAI活用の促進を図るために、Watsonアプリケーションを活用したり、Watsonツールを使用して独自のAIを構築しています。
KPMGのGlobal and US Head of Innovationであるスティーブ・ヒル(Steve Hill)氏は次のように述べています。「データがどこにあっても企業がAIを利用可能にするAIツールを開発するというIBMの戦略があったことが、まさに当社がOpenScaleを利用することの後押しになりました。当社が説明していたような透明性と説明性をお客様に提供するためには、マルチクラウドの拡張性が必要でした。どのような環境であってもお客様の環境をサポートすることは、IBMがAIのみならず、拡張するエンタープライズについても理解していることの裏付けです。」
多国籍プロフェッショナルサービスネットワーク企業で、長年にわたるIBMの提携パートナーであるKPMGは、ガバナンス、リスク、コンプライアンスから税金、会計に至るまで、業務全体のサービスに最新のコグニティブおよび自動化機能を統合してきました。今年初め、KPMGとIBMは共同で、データがどこに保管されていても、また、どのクラウドでも、どのAIプラットフォームを使用していても、KPMGのお客様がより明確なAIのガバナンスと説明性を確保できる新しいサービスの開発に着手しました。KPMGは、Watson OpenScaleプラットフォームを活用したKPMG AI in Control with Watson OpenScaleの名称のもと、本ソリューションの共同提供を開始しました。
Air France-KLMとそのカスタマー・サービス・チームは、カスタマー・サービスの迅速化と乗客体験の向上を支援するために、IBM Watson Assistant with Voice Interactionを使用するMIA(マイ・インタラクティブ・アシスタント)と呼ばれる音声アシスタントを開発しました。Air France-KLMはIBMと協業し、ファイル処理時間を短縮することで顧客体験の向上を図る音声アシスタントを開発しました。7月から特定の国でパイロット版の運用を開始し、MIAはこれまでに、フライトや旅行計画に関する追加情報を必要とする人々から、4,500件の電話に応答しています。
MIAは、お客様に予約参照番号(PNR)を要求し、このPNRから、氏名、フライト番号、電話番号など、乗客に関連するすべての情報を抽出します。音声アシスタントは、必要に応じて、人間のエージェントにすばやく電話を引き継ぐことが可能です。バックグラウンドでの処理を通じて、対応に必要なすべての情報がエージェントの画面上に表示されており、迅速にお客様のリクエストに対応できます。設計上、MIAによる処理件数が多いほど、時間の経過に伴ってMIAはよりインテリジェントになります。その他の利用方法についても検討中です。
WatsonアプリケーションおよびWatsonツールに新機能が追加
IBMは、本日、主要製品に以下の新機能を導入しました。
Watson OpenScale:データ・プライバシー規制の高まりや、AIのアルゴリズムによる結果の導き出し方に関心が高まり、バイアスの検出と説明性が重要になっています。IBMは、昨年、これらを実現する最初のAIプラットフォームであるOpenScaleを提供開始しました。OpenScaleは、バイアスの検出、AIのコントロールのほか、AIがどのように結果に到達したのかを把握できるよう、AIに問い合わせる機能を提供します。これらの洞察により、お客様は、AIおよびAIが導き出した結果についてより高い確信を得ることができます。本日、IBMは、Drift Detection (英語)と呼ばれる新機能を発表しました。これは、元のパラメータからAIモデルがいつ、どこまで「ドリフト」するかを検知するもので、プロダクションおよびトレーニング・データと、それらから作成された結果予測とを比較することによって行われます。利用者が定義したドリフト閾値を超えると、アラートが生成されます。Drift Detectionは、モデルの精度に関するより詳細な情報を提供するだけでなく、モデルの再トレーニングを簡素化し、速度を向上させます。
Watson Assistant:エンタープライズAIアシスタントにおけるIBMのリーディング・ポジションを基盤とし、本日、会話型AI製品であるWatson Assistantの新機能を発表しました。新機能の搭載により、利用者は、選択したクラウド上でバーチャル・アシスタントの迅速なデプロイ、学習、および継続的な改善が可能になります。例えば、新しいWatson Assistant for Voice Interactionは、お客様がIVRシステムにAIアシスタントを容易に統合できるように設計されており、この機能によってお客様は自然言語での質問が可能になります。現在、Watson Assistantは話し方のニュアンスを認識できるようになっており、発信者を迅速に追跡し、最も適切な回答へ誘導します。お客様は、テキストと音声を混在して使用することができ、両者の情報を即座に交換することもできます。IBMはまた、Watson AssistantがIBM Cloud Pak for Dataに統合され、企業は、オンプレミス、プライベート、パブリック、ハイブリッド、またはマルチクラウドなどのあらゆる環境でWatson Assistantを実行可能になったことを発表しました。
さらに、IBMは、Watson Assistant向けの高度なチャット・インターフェースのオープン・ベータ版を発表しました。チャット・インターフェースの制作には数か月を要し、お客様に本当に意味のある対話的な体験を提供するインターフェイスの制作にはさらに長い時間を要します。多様な業界における実装経験に基づく新しいWebチャット・インターフェースは、数分内でデプロイが可能になります。
Watson Discovery:IBMは、Watson Discoveryの主要なアップデートを発表しました。Watson Discoveryは、機械学習と自然言語処理を活用し、お客様が企業全体から情報を見つけるのを支援する優れたAI検索ソリューションです。新機能のContent Minerは、テキストや画像などの特定のコンテンツタイプの膨大なデータセットを検索できます。簡素化された新しいセットアップ形式により、技術者ではないユーザーであっても素早く起動し、実行できるようになります。一方、新しい「ガイド付きエクスペリエンス」では、プロジェクトを設定する際に次の手順を動的にレコメンドします。いずれの方法も、よりアジャイルなデータ検出処理に寄与します。
Cloud Pak for Data:IBMは、統合データ分析プラットフォームに新機能やサポートを追加しました。18か月前にリリースされ、Red Hat OpenShiftをサポートしているこのプラットフォームは、Kubernetesベースのコンテナ・オーケストレーション・プラットフォームの1つであり、今回、OpenShiftで認証されました。この完全な認証により、すべてのコンポーネントがサポートされているソースから取得されたこと、コンテナ・イメージには既知の脆弱性は含まれないこと、また最も重要な点として、全体で実行されているコンテナは、クラウド、プライベート、パブリック、ハイブリッドに関係なく、Red Hat Enterprise Linux環境間で互換性があることが、お客様にとってより明確なものとなりました。
認証に加え、最新バージョンには、基本プラットフォームの一部として、数多くの標準機能が付属しています。新機能には、1日あたり2,500億件以上のイベントをリアルタイムで保存および分析するDb2 Event Storeや、AutoAIを搭載したWatson Machine Learningがあります。AutoAIはIBMの革新的な自動モデル構築プログラムであり、利用者がデータ・サイエンティストかどうかを問わず、機械学習(ML)モデルを容易に構築できます。その名が示すように、AutoAIは、データ準備、モデル選択、特徴量エンジニアリング、ハイパーパラメーターの最適化など、機械学習の面倒で複雑なタスクを自動化するものであり、お客様によるAIの採用を促進します。現在、これらのツールはCloud Pak for Dataに標準装備されており、あらゆるハイブリッド・マルチクラウド環境で使用、拡張が可能です。
さらに、Cloud Pak for Dataの基本プラットフォームでオープンソース・ガバナンス機能を実装したことにより、より効率的なモデル構築、テスト、およびデプロイメントを行えるよう、利用者はポリシーを設定し、企業内でのオープンソース・ツールやプログラムの使用を統制することが初めて可能になりました。
開発者がIBM Cloud Pak for Data Platformを活用できるよう、IBMはCloud Pak for Data Developer Hub (英語)を発表しました。ここでは、開発者向けに、段階的なチュートリアルやコードパターン、進行中のサポート、ハンズオン・ラボ用が行われている個人ワークショップの情報等を提供しています。
OpenPages with Watson:IBMは、新機能を搭載したOpenPages with Watsonバージョン8.1を発表しました。このガバナンス、リスク、コンプライアンス(GRC)管理プラットフォームは、業務運営リスク、ポリシー、コンプライアンス、財務統制管理、ITガバナンス、内部監査に関するお客様の設定・管理を支援します。バージョン8.1では、新しいルールエンジン、新しい直感的なビュー、ビジュアライゼーション、高度なワークフロー機能、パーソナライズされたワークスペースが統合され、お客様のリスク管理がより生産的かつ効果的になるように設計されています。追加のエンゲージメント機能および自動化機能により、重要なリスクやコンプライアンス活動の管理により多くの人々が参加できるようになり、よりリスクを意識した文化の醸成に貢献します。
当報道資料は、2019年10月21日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースを参考にしています。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2019-10-21-IBM-Advances-Watson-Anywhere-with-New-Clients-and-Innovations-Designed-to-Make-it-Even-Easier-to-Scale-AI-Across-Any-Cloud (英語)
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