ニュースリリース
IBMがニューヨークに量子コンピュテーション・センターを開設、世界最大級の量子コンピューティング・システム群をオンライン化、広範な用途に向けた53量子ビットの新量子システムを初公開
TOKYO - 30 9 2019:
[米国ニューヨーク州アーモンク - 2019年9月18日(現地時間)/PRNewswire (英語)/発]
IBM(NYSE:IBM (英語))は本日、IBM量子コンピュテーション・センターをニューヨーク州に開設したことを発表しました。この新しいセンターにより、世界最大級の量子コンピューティング・システム群が拡大され、実験室の環境の枠を超えたビジネスや研究活動に活かされます。IBM量子コンピュテーション・センターは、15万人を超える登録ユーザーおよび80近い法人クライアント、学術機関、研究所からなるコミュニティーのニーズに対応し、量子コンピューティングを前進させ、実際的な利用例を探っていく予定です。
グローバル・コミュニティーのユーザーは2016年以降、クラウドを通じてIBMの量子コンピューター上で1,400万件を超える実験を行い、200本を超える学術論文を発表しています。IBMは実際の量子ハードウェアへのアクセスに対する需要の増加に応えるため、IBM量子コンピュテーション・センターを通じて、10台の量子コンピューティング・システムをオンライン化しました。このシステム群の内訳は、20量子ビットのシステムが5台、14量子ビットのシステムが1台、5量子ビットのシステムが4台になります。そのうちの5台では量子ボリューム (英語)(量子コンピューターの性能を示す指標)が16に達しており、実効性能に関する新たなマイルストーンが実現しています。
IBMの量子システムは、プログラム可能な多量子ビット演算の信頼性や再現性を確保できるように最適化されています。こうした要素を背景に、IBMのシステムは95%の可用性による最先端の量子コンピューティング研究を可能にします。
IBMは1か月以内に、商用量子システム群を14台に増やす予定です。この中に含まれる新しい53量子ビットの量子コンピューターは、外部利用可能なものとして、単体で最大の汎用量子システムとなります。この新しいシステムではより大きな量子ビット間ネットワーク構造が提供されるため、ユーザーは量子のもつれや接続性に関するより複雑な実験を実行できます。
IBM Researchのディレクターであるダリオ・ギル(Dario Gil)は次のようにコメントしています。「2016年に初めて量子コンピューターをクラウドに展開して以来、IBMの戦略は、量子コンピューティングをごく限られた最先端の研究用途以外でも広く利用できるようにし、何万人ものユーザーがアクセスできるようにすることにありました。量子コンピューティングに関わる教育者、研究者、ソフトウェア開発者からなるユーザーコミュニティーを支援するため、IBMは複数の世代の量子プロセッサー・プラットフォームを構築し、可用性の高い量子システムに統合し、システムの性能を年に何度も向上させています。そしてこの53量子ビットの新システムには、IBMのロードマップにおける次のプロセッサー・ファミリーが取り入れられています。」
量子コンピューティングが進歩すれば、新薬や新素材といった将来の科学的な発見、サプライ・チェーンの最適化の大幅な改善、よりよい投資のために金融データをモデル化する新手法への道が開かれる可能性があります。以下は、お客様やパートナーと行っている協業の例です。
- J.P. Morgan ChaseとIBMは、金融オプションやそのようなオプションのポートフォリオにゲート・ベースの量子コンピューターで価格を設定するための方法論である「Option Pricing using Quantum Computers(量子コンピューターによるオプションの価格設定)」をarXivに投稿しました。この結果、2乗の高速化を実現するアルゴリズムが誕生しました。すなわち、これまでのコンピューターでは数百万のサンプルを必要としていたところを、この手法では、従来のモンテカルロ法と同じ結果を、わずか数千のサンプルで出すことができます。これにより、金融アナリストはオプションの価格設定やリスク分析をほぼリアルタイムで実行できるようになる可能性があります。この実装は、Qiskit Financeにおいてオープンソースとして提供されています。
- 三菱ケミカル、慶應義塾大学、IBMは、現実的な課題のモデルケースとしてリチウム空気電池におけるリチウムと酸素の反応機構の初期ステップについてシミュレーションを行いました。arXivで入手できる「Computational Investigations of the Lithium Superoxide Dimer Rearrangement on Noisy Quantum Devices」は、量子コンピューターでリチウムと酸素の反応全体をモデル化するための最初のステップです。この事例で成功を収めることで、より複雑な素材の開発に対する量子コンピューティング活用の可能性が高まりました。
- 慶應義塾大学にあるIBM Q Hub@Keioは、パートナー企業である、みずほフィナンシャルグループおよび三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と協力し、arXivにプレプリント「Amplitude Estimation without Phase Estimation」を公開しました。そこで提案されているアルゴリズムでは、IBMが提案している金融分野でのリスク分析の量子アルゴリズムに比べ、量子ビットの数と量子回路の長さを減らすことに成功しています。この提案により、量子コンピュータの活用時期が早まることが期待されます。
IBM Quantumについての詳細は、http://www.ibm.com/ibmq (英語) をご覧ください。
当報道資料は、2019年9月6日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースを参考にしています。原文は下記URLを参照ください。
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