ニュースリリース

IBM、オープン・ハードウェアの進展に対する取り組みを実証

データをより迅速に移動させるオープン・ソース・デザインを提供し、 AIやハイブリッド・クラウドのワークロードを加速 OpenPOWERのLinux Foundationへの移行を支持し、 イノベーション・エコシステムを拡大
2019年09月 2日

TOKYO - 02 9 2019:
2019年9月2日

IBMコーポレーションは本日、Linux Foundation Open Source Summitにおいて、オープン・コミュニティーに対して主要なテクノロジーを実装する権利を提供し、IBMの長年のオープン・ソース開発の成果を基に、さらに発展させていくことを発表しました。IBMは、POWER Instruction Set Architecture(ISA)という、POWER上でハードウェアとソフトウェアが連動する仕組みに重要となるアーキテクチャーを開放しています。ISAをはじめとする、オープン・コミュニティーに提供されているテクノロジーにより、開発者は、POWERが持つ企業向けの主要な機能を利用して革新的な新しいハードウェアを構築するツールを獲得できます。これにより、データ集約型のワークロードを処理したり、このハードウェア独自の機能を利用するために構築された、AIやハイブリッド・クラウド向けの新しいソフトウェア・アプリケーションを作成したりできます。

IBMは、POWER ISAのソフトコア実装や、アーキテクチャーに依存しないOpen Coherent Accelerator Processor Interface(OpenCAPI)およびOpen Memory Interface(OMI)のリファレンス・デザインなど、その他のテクノロジーの提供も発表しました。OpenCAPIテクノロジーとOMIテクノロジーは、プロセッサーと接続デバイスとの間でメモリー帯域幅を最大化できるようにするので、AIのような新しいワークロードに対するパフォーマンスのボトルネックを克服するために重要です。

IBMのOpenPOWERゼネラル・マネージャーであるケン・キング(Ken King)は、次のように述べています。「本日の発表により、IBMは、オープン・テクノロジーとオープン・ソースを通じて業界全体のイノベーションを主導する次の重要な一歩を踏み出します。最近実施したRed Hatの買収と本日の発表により、POWERはハードウェアの基盤からソフトウェア・スタックにいたるまで、完全にオープンなシステム・スタックによる商用利用可能な唯一のアーキテクチャーとなり、そしてIBMはその唯一のプロセッサー・ベンダーになります。」

オープン・テクノロジーの取り組みにおける次の段階を通じ、このようなテクノロジーのガイドを支援するため、IBMはOpenPOWER Foundation (英語)と協力し、OpenPOWERがLinux Foundation (英語)の傘下となり、Linux Foundationのオープンなガバナンス原則と一貫性のある運営を行うことも発表しました。

IBMは、2013年にOpenPOWERを共同で創設しました。それ以来、OpenPOWERのメンバーは350社を超えるまでに成長し、POWERアーキテクチャーに関連する数百ものイノベーションを生み出してきました。IBMは、OpenPOWERのメンバーであるRed Hat、NVIDIA、Mellanoxと協力し、世界で最も処理能力の高いスーパーコンピューターである、米国エネルギー省のSummitとSierraの2台の提供を主導しました。IBMは、2百万行を超えるオープン・ソース・システムのファームウェアと、POWERアーキテクチャーに関する膨大なドキュメントを伴うシステムのリファレンス・デザインを提供し、OpenPOWERシステムの開発者を支援してきました。そして、OpenPOWERおよびLinux Foundationと引き続き連携し、POWERにおけるイノベーションを進めていきます。

Linux Foundationのエグゼクティブ・ディレクターであるジム・ゼムリン(Jim Zemlin)氏は次のように述べています。「2013年、IBMがそのPOWERアーキテクチャーのオープン化に向けた第一歩を踏み出したとき、私たちは大いに沸き立ちました。Linux Foundation自身もオープン・ハードウェア・コミュニティーへの関心の高まりを認識しており、OpenPOWER Foundationとの協力により、引き続きOpenPOWERとオープン・ハードウェアのテクノロジーを世界中のさらに多くのユーザーに提供していくことができます」。

Open POWER ISAによりコンピューティング・ハードウェアの開発オプションが拡大

AIやインメモリー分析など、ますますコンピューティング集中型となるワークロードへの需要が高まるに伴い、コモディティー・システム・ベンダーは、ムーアの法則の終焉という漠然とした予測に直面し、パフォーマンス向上に必死に取り組んできました。 もはや中央演算処理装置(CPU)だけで増大する需要に対応するのは不可能であり、 IBMのヘテロジニアスなシステムは、特化したワークロードについてCPUと接続デバイス間のデータの流れを最大化するように構築されています。このアプローチは世界で最も処理能力の高いスーパーコンピューターである米国エネルギー省のSummitとSierraによって有効性が確認されています。

OpenPOWER FoundationがIBMからPOWER ISAに対する実装権 の提供を受け入れ、Linux Foundationの傘下になることで、幅広いオープン・コミュニティー内でこのテクノロジーの推進が可能となり、イノベーションのさらなる促進とエコシステムによる採用が実現します。

IBMが、特許を含むPOWER ISAの実装権をオープンにすることで、ハードウェア開発者は対価を支払うことなく、商用CPUアーキテクチャーをエンタープライズに対応した機能やセキュリティーを用いて構築することが可能になります。Linux Foundation内のガバナンス・モデルにより、ソフトウェア開発者は、POWERの豊富な機能とクラス最高のオープン・コンピューティング・ハードウェアおよびソフトウェア・エコシステムを利用し、互換性を確保しながらAIおよびハイブリッド・クラウド・ネイティブ・アプリケーションを開発することができます。

Red HatのCTO、クリス・ライト(Chris Wright)氏は次のように述べています。「IBMとOpenPOWER FoundationはRed Hatと長きにわたって協力し、企業のIT部門にオープン・ソース・イノベーションを提供してきました。今日新たに提供されたテクノロジーによりコミュニティー・エコシステムが何を構築できるかを見るのが楽しみです。」

アーキテクチャーに依存しないオープン・インターフェースの実装

OpenCAPIは、ハードウェア・アクセラレーター、ネットワーク/ストレージ・コントローラー、および新しいストレージ・クラス・メモリーといった高度なメモリーの緊密な低遅延接続を可能にするオープン・インターフェース・アーキテクチャーです。Open Memory Interface(OMI) はOpenCAPIのサブセットで、システム内の接続されたメモリー・デバイスとCPUとの間に業界最先端の超低遅延メモリー帯域幅を提供します。非集約型メモリー・コントローラーにおけるIBMの20年以上の経験を活かし、OpenCAPI ConsortiumメンバーのMicrochip Technologyは最近、業界初の商用ユニバーサル・シリアル・メモリー・コントローラー、SMC 1000 8x25Gを発表しました。これはIBMが提供しているOMIデザインを使用し、これに対するインターフェースを装備しています。Microchipによると、新しいコントローラーによってCPUおよび他のコンピューティング中心型デバイス は、同じデバイス・フットプリント内で4倍のメモリー・チャネルを使用できます。Microchipと他のパートナーはこのニュースに関する反応を伝えて (英語)います。

Microchip Technologyのデータセンター・ソリューションズ事業部門担当バイス・プレジデントであるピート・ヘイゼン(Pete Hazen)氏は次のように話しています。「Microchipは業界初のユニバーサル・シリアル・メモリー・コントローラー・デバイスを発売できることを大変嬉しく思います。Open Memory Interface(OMI)のような新しいメモリー・インターフェース・テクノロジーにより、幅広いアプリケーションが、高性能データセンター・アプリケーションに対してますます厳しくなるメモリー要件をサポートすることが可能になります」。

新たにオープンとなったテクノロジーの詳細については、IBM Systems のブログ(http://www.ibm.com/blogs/systems/embracing-and-expanding-the-open-hardware-ecosystem (英語))をご覧ください。

各社からいただいたコメント

「日立は、最新テクノロジーに対応したオープン・エコシステムにより顧客価値を高めることができると考え、OpenPOWER Foundationに参加しました。本日のIBMの発表は、このオープン化の流れを勢いづけるものであり、オープン・イノベーションの取り組みをより加速させ、お客様の成功を支援できると期待しています」-日立製作所 IoT・クラウドサービス事業部 事業主管 加藤 晋弘氏。

「OpenPOWER Foundationの使命は、私たちのエコシステム全体で、また世界中の350社を超えるメンバー間で、協力しながらイノベーションを促進することです。私たちはすでに、Linux Foundationのガイダンスを受けながら、オープン・モデルのもとでPOWERアーキテクチャーを進歩させ、成長するコミュニティーへ提供することにより、この長い道のりにおける次のステップへ移る準備を整えています」-OpenPOWER Foundation エグゼクティブ・ディレクター ヒュー・ブレミングス(Hugh Blemings)氏。

「15年以上にわたり、SamsungとIBMは、オープン・コラボレーションと最先端のイノベーションに対する共通のコミットメントに基づいて戦略的提携を進めてきました。IBMがPOWER ISAをオープン化し、あらゆるプラットフォームで使用できるようにOpenCAPIとOMIのリファレンス実装を提供していることから、業界が独自の新たな方法でイノベーションを進め、お客様に価値を提供できるようになるものと期待しています」-Samsung Electronics Foundry Marketing担当バイス・プレジデント ライアン・リー(Ryan Lee)氏。

「オープン・エコシステムに対するNVIDIAのサポートがきっかけとなって、当社のGPUアクセラレーテッド・コンピューティング・プラットフォームを利用したイノベーションの時代が始まりました。エンタープライズ・グレードのハードウェア・デザインによるオープン・コミュニティーの実現を目指すIBMのたゆまぬ努力が、世界中の130万人を超えるアクティブな開発者で構成されるNVIDIAのコミュニティーに素晴らしい柔軟性と選択肢をもたらしています。」 - NVIDIA、ソリューション・アーキテクチャー&エンジニアリング担当バイス・プレジデント マーク・ハミルトン(Marc Hamilton)氏。

当報道資料は、2019年8月21日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2019-08-21-IBM-Demonstrates-Commitment-to-Open-Hardware-Movement (英語)

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