ニュースリリース

製薬企業や医療団体と連携し、信頼性と透明性を高めることができるブロックチェーン技術の活用を推進

2019年03月27日

TOKYO - 27 3 2019: 
2019年3月27日

 

日本IBMは、ブロックチェーン*1技術を用いて、医療・製薬業界における安全、効率的、かつ規模の拡大に対応できる情報交換の仕組みの構築を推進するため、製薬企業や医療団体など20の企業や団体と2018年10月から協議を行い、医薬品などのサプライチェーンや医療データ交換のプラットフォーム構築に向け、関連する実証実験を本年中に実施することを目指します。

医療・製薬業界においては、医療関連データ管理におけるセキュリティー向上や医薬品のサプライチェーン、電子カルテや診断データなどの医療情報の管理といった観点でブロックチェーン技術の適用に対する注目度が急速に高まっています。ブロックチェーン技術の活用により、信頼性の高いデータに対して素早く安全にアクセスすることができ、個々の患者の利便性の大幅な向上、偽造医薬品の低減、より効果的な研究開発の促進、新たなビジネスモデルの推進を可能とします。
国内外ではブロックチェーン技術の業務適用を目的に、さまざまな業界で実証実験が活発に行われていますが、探索を含む初期段階的な実験が多くを占めています。
日本IBMは製薬企業や医療団体などとブロックチェーン技術を医療・製薬業界の情報交換の仕組みとして活用することを検討し、業界横断的な課題の解決や新たなビジネスモデル構築を推進します。

検討領域の例

  • 医薬品などのサプライチェーンへのブロックチェーン技術の適用
  • EHR/PHRなどの医療関連データ・プラットフォームへのブロックチェーン技術の適用

参加企業・団体、設立目的、活用内容は以下の通りです。(*印は幹事)

参加企業(五十音順)
アステラス製薬株式会社
協和発酵キリン株式会社
グラクソ・スミスクライン株式会社
塩野義製薬株式会社
第一三共株式会社*
大日本住友製薬株式会社
武田薬品工業株式会社 湘南ヘルスイノベーションパーク*
田辺三菱製薬株式会社
中外製薬株式会社*
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
他7社

参加団体(五十音順)
一般社団法人ITヘルスケア学会 医療ブロックチェーン研究会*
独立行政法人国立病院機構京都医療センター*
他1団体

オブザーバ
神奈川県

目的

  • 医療・製薬に関する国内外の新たなビジネスモデルの事例や動向、ブロックチェーン技術の適用に関する調査研究をします。
  • 調査研究を通じて得られた課題の解決方法や新たなビジネスモデルを検討することにより、医療・製薬業界の発展及び社会的責務に資する事のできる革新的なサービスの提供を目指します。
  • 医療・製薬に関する新たなビジネス事例の情報共有を図ります。

活動内容

  • 医療・製薬業界におけるビジネス事例や動向、ブロックチェーン技術の適用に関する調査研究
  • 実証実験に向けたユースケースの検討
  • 調査研究を通じて得られた課題への解決の取り組み
  • 医療・製薬に関する新たなビジネス事例の情報共有
  • 運営に関する協議、調整全般
  • その他、目的を達成するために必要な活動

幹事企業・団体からのコメント

欧米では、医療関連のデータを安全に管理するため、クローズドの環境にあるブロックチェーン技術の実証実験がすでに始まっています。国内でも、製薬企業を中心とする協議を開始し、その枠組みの下で新たなビジネスモデルが構築されることを期待しています。
中外製薬株式会社 科学技術情報部長 石井暢也 氏

湘南アイパークは医療データベースへのアクセスを提供することでライフサイエンス研究を加速させることをめざしています。今回幹事会社として参画することで、この最先端の技術をエコシステムの基盤として早期に構築し、安全・効率的なデータ管理を進めていけることを期待しています。
武田薬品工業株式会社 湘南ヘルスイノベーションパーク
ジェネラルマネジャー 藤本利夫 氏

政府の「骨太の方針2018」では、「Society5.0」の実現に向けて今後取り組む重点分野と変革の牽引力となる「フラッグシッププロジェクト」』として、「次世代ヘルスケアシステムの構築プロジェクト」ポケットカルテなどのPHRについて、2020年度より、マイナポータルを通じて本人等への本格的な提供を目指すとされており、診療関連情報というデータのサプライチェーン構築を想定すると、ブロックチェーンは、その要素技術として重要で、今後の展開を期待しています。
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
医療情報部 部長 北岡有喜 氏

健康医療領域はブロックチェーン技術の活用が大きく期待されている分野であり、欧米のみならずアジアや発展途上国を含んだ世界中で検討が活発化しています。日本ではその導入が遅れをとっていたものの、今般このような会ができることを大変喜ばしく思います。個人の健康医療情報の活用や医薬品の安全性のためにも、製薬産業横断的な仕組みが構築されることを願っております。
一般社団法人ITヘルスケア学会 医療ブロックチェーン研究会 会長 水島洋 氏

*1: 分散型台帳技術。取引記録や資産登録簿などのデータを分散型ネットワーク上の参加者と安全に共有し管理する技術。

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