ニュースリリース

JFEスチール IBM Watsonを活用し故障復旧時間を大幅に短縮

-ハイブリッドクラウド環境で安全かつ柔軟に最新技術を活用-
2019年03月 7日

TOKYO - 07 3 2019: 
2019年3月7日

 

JFEスチール株式会社
日本アイ・ビー・エム株式会社

JFEスチール株式会社(以下、「JFEスチール」)は日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、「日本IBM」)の支援のもと、『IBM® Watson』を活用した制御故障復旧支援システム(『J-mAIster®』)を2018年9月に全製造ラインに導入しました。これにより、各製鉄所の全ての製造ラインで発生したトラブルに対して、保全担当者が過去の事例や復旧に必要な情報を効率的に検索できるようになります。このたび、復旧時間を大幅に短縮するなどの効果が確認されたことから、社内の他のシステムとの連携など、本格的に運用を開始しました。

JFEグループは、第6次中期計画の施策の一つとして「最先端技術により社会ニーズに同期化し、成長戦略を推進」を掲げ、高度化・多様化する社会ニーズに対して、グループ内連携の強化と社外リソースの有効活用により、革新的な研究・技術開発に取り組み、最先端技術を生み出していきます。更にAI・IoT・ビッグデータ等のデータサイエンス技術やロボティクス技術を積極的に活用して、生産性を飛躍的に向上させ、競争力を高めます。製造ラインの故障における復旧時間が生産性を大きく左右する鉄鋼業において、AIを活用して復旧作業に必要な情報を的確に提供することで迅速な復旧を図るシステムの構築は急務となっていました。また、製鉄所という広大な敷地内の移動時間の削減を可能にするモバイル端末の導入も望まれていました。

今回導入したシステムでは、保全担当者がモバイル端末に故障の発生状況に関する質問等を音声やキーボードよりテキスト入力すると、『IBM Watson』の音声認識機能および自然言語分類機能が質問の意図を読み取ります。意図に沿った検索条件を『IBM Watson Explorer』に引き継ぐことで、過去の故障履歴、日報、各種マニュアル等の膨大なデータから最適なデータソースを特定します。そして、類似性の高い情報を検索および分析し、復旧に必要となる情報をリアルタイムに画面上に表示し、保全担当者のタイムリーな復旧作業をサポートすることが可能となります。

これまで、JFEスチールでは2016年6月からAI導入に向けて日本IBMのコンサルタントやエンジニアと共に課題を特定し、適用範囲を検討し、開発はグループの情報サービス企業であるJFEシステムズが担当しました。2018年3月から西日本製鉄所の福山地区および倉敷地区で同システムの利用を開始し、同年9月に全国6地区の全製造ラインに展開を完了しました。利用開始以来、故障発生時に保全担当者が同システムに質問した際、類似の過去事例がモバイル端末上に即座に表示されたことで、情報の収集や移動の時間を省くことができ、故障復旧時間を短縮した事例が増えてきています。

同システムは、変化に強い柔軟なシステム基盤を目指して2015年に採用したJ-OS Cloud上に構築しました。JFEスチール専用のプライベートクラウドJ-OS CloudとパブリッククラウドであるIBM Cloudを連携させたハイブリッドクラウド環境を構築することで、セキュリティー要件を保ちながら『IBM Watson』のような最新技術を柔軟に採用しています。さらに、各地区のファイルサーバーに保管していた報告書や各種マニュアルなどは全社共有のファイルサーバー『Box』に集約して一元管理しています。このファイルサーバーの暗号化機能によるセキュリティー向上とともに、地区を横断した情報共有による円滑な保全業務を支援します。

今回、システム導入の効果が高く認められたことをうけて、今後、JFEスチールでは同システムにより、継続的なデータ蓄積や学習による故障解析・対策の実施や、故障対応の技術伝承などの効果を見込むことに加え、将来的に商品設計等の他業務領域への『IBM Watson』の活用も視野に入れています。

JFEスチールは、グローバルな競争にさらされているものづくり企業の競争力の維持・向上のために、設備・プロセス系への最新ICTの活用が必要不可欠であると考え、技術開発戦略の推進を図っています。今後もICT、AI、データサイエンス等を活用し、さらなる新技術の開発と実用化を進めていきます。

【図】システム概要

JFE_IBMWatson

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