ニュースリリース
IBMのWorld Community Grid、COVID-19の治療薬候補を探す科学者を支援
2020年6月1日
[米国ニューヨーク – 2020年4月1日(現地時間)発]
IBMは、世界中のPCやラップトップ、Macとインターネット接続を持つ人は誰でも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して有効である可能性のある化合物を探求する科学者たちを支援することができると発表しました。ボランティア参加者のデバイスで、既存の医薬品内の化学物質も含め、COVID-19の治療薬候補として使用される可能性のある化合物を特定するための小規模な仮想実験を行います。COVID-19の治療薬として有望な化合物には、さらなるテストと分析が実施されます。
スクリプス研究所が策定し、実施するこのプロジェクトは、IBMのWorld Community Gridが活用されます。World Community Gridは、信頼性の高いクラウドソーシング・プログラムで、コンピューティング・リソースが科学者に無償で提供されます。ボランティアは、自分たちのデバイスがアイドル状態であるか、あまり使用されていないときに動作するアプリをダウンロードします。このアプリは、ユーザーのシステムを低速化させることなくバックグラウンドで稼働し、割り当てられた演算を処理して完了した計算を研究者に返します。これらすべてはIBMクラウドを介して行われます。
ボランティアは参加するために特別な技術的専門知識を必要とせず、プロセスは自動で実行されます。個人情報は決して共有されず、アプリから個人のファイルやビジネスファイルにアクセスできません。こちらのURLからサインアップすることができます。
https://www.worldcommunitygrid.org/join.action?projectToAdd=opn1#signup (IBM外のWebサイトへ)
「OpenPandemics - COVID-19」と呼ばれるこのプロジェクトは、World Community Gridのクラウドソーシングで集められた何千台ものコンピューティング・デバイスの計算能力によって、シミュレーションに必要な何億もの計算を容易に実行できるようになります。これにより、従来「ウェット(実験)」ラボで行われていた創薬またはドラッグ・リパーパシングを加速し、科学者たちを支援できます。すべてのWorld Community Gridプロジェクトと同様に、この取り組みによって生成されたデータは公開されます。
IBMバイス・プレジデントでCSR担当のギレルモ・ミランダ(Guillermo Miranda)は、次のように述べています。「IBMのWorld Community Gridは、不可欠で大規模な作業を加速できるだけでなく、世界中の人々と協力して変化を生み出すことでボランティア自身の意識を高めています。ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)と隔離の時期にあって、この目的意識と相互につながっているということは、かつてなく重要です」。
このプロジェクトではCOVID-19に焦点を当てますが、スクリプス研究所では将来的にはその他のパンデミックの時期にも迅速に創薬プロジェクトを立ち上げることを可能にするツールとメソッドを開発することも計画しています。
スクリプス研究所の総合構造・計算生物学部の准教授で、プロジェクト・ディレクターのステファノ・フォルリ(Stefano Forli)博士は、次のように述べています。「スクリプス研究所は、IBMが私たちのプロジェクトにWorld Community Gridを提供してくれることに感謝しています。何千台ものアイドル状態のコンピューティング・デバイスの使用されていない処理能力を活用することで、何百万もの化合物を仮想的にスクリーニングするための、信じられないほどの量の演算能力が私たちに提供されます。この世界中のボランティアの方々との共同の取り組みは、それがCOVID-19であれまったく別の病原菌であれ、現在そして将来出現する生物学的脅威に対処するための新しい医薬品候補を探す私たちの研究を加速するものとなるでしょう」。
World Community Gridの「OpenPandemics - COVID-19」プロジェクトは、IBMがCOVID-19と戦う研究者たちに最近公開したその他のリソースを補完するものです。たとえば、IBM POWER9を搭載したスーパーコンピューター「Summit」は、すでにオークリッジ国立研究所とテネシー大学の研究者によって使用され、8,000種類の化合物からこのウイルスに対して有効である可能性のある77の化合物を特定しています。
World Community Gridは、人道的な問題の研究に大量の演算能力を必要とする科学者に無償で信頼性の高いリソースを提供する長年にわたる取り組みです。World Community Gridソフトウェアにより、データの安全性や速度を犠牲にすることなく、自分のコンピューターを通常通り使用することが可能になります。
これまでに、77万人の個人と450の組織がほぼ200万年分に相当する演算能力を提供して、がん、エボラ出血熱、ジカウイルス感染症、マラリア、およびエイズに関する研究や、より優れた浄水システムや太陽エネルギー集積を開発するためのプロジェクトを含む、30の研究プロジェクトをサポートしてきました。World Community Gridプロジェクトから得られるデータは常に世界中で共有されており、これまでに50を超える査読付き科学論文が出版されています。演算能力はクラウドソーシングベースで無償提供され、研究者たちが研究の規模を拡大し、新しい研究アプローチを追求し、プロセスを加速することを可能にしています。
以上
World Community Gridにおけるスクリプス研究所のプロジェクトの詳細については、こちらのURLをご参照ください。
IBMのCOVID-19への取り組みは、こちらのURLをご参照ください。
https://www.ibm.com/impact/covid-19/?lnk=ushpv18l1
当報道資料は、2020年4月1日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
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