ニュースリリース
IBMとPasqal社、量子を中心としたスーパーコンピューター向けに古典と量子の統合を定義するための協業を開始
【米国ニューヨーク州ヨークタウン・ハイツ-2024年6月6日(現地時間)】
超電導方式量子コンピューターのリーダーであるIBMと、中性原子方式量子コンピューターのリーダーであるPasqal社は、本日、量子を中心としたスーパーコンピューティングへの共通アプローチの開発と、化学および材料科学における応用研究を促進するために協業する意向であることを発表しました。IBMとPasqal社は、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)の主要研究機関と協力し、量子コンピューティングと先進的な古典コンピューティングを統合して次世代のスーパーコンピューターを構築するという、量子を中心としたスーパーコンピューティングの基盤を確立します。
IBMとPasqal社は、量子コンピューターと先進的な古典的コンピューティング・クラスターの複数のモダリティーにわたる計算ワークフローを結合・組織化する、量子を中心としたスーパーコンピューター向けのソフトウェア統合アーキテクチャーを共同で定義することを目指しています。両社は、ソフトウェア統合アーキテクチャーは、オープンソース・ソフトウェアと技術コミュニティーの関与に基づくものである、という共通アプローチに向けたビジョンを共有しています。両社は、ドイツでHPC技術フォーラムを共催する予定であり、この取り組みを他の地域にも拡大する計画です。
この協業の重要な側面は、量子を中心としたスーパーコンピューティングの可能性を短期に示すことができる材料科学および化学の分野において、ユーティリティー・スケール(実用規模)の導入を促進するというIBMとPasqal社の共通の目標です。IBMとPasqal社は、それぞれのフルスタック量子コンピューティングの主導的役割を活用し、昨年IBMが設立したMaterials(材料)に関するワーキング・グループと協力することによって、化学および材料科学のアプリケーションにおける量子コンピューティングの利用を大幅に前進させることを目指しています。同グループは、量子計算と古典的計算のハイブリッドな計算を活用し、化学向けのユーティリティー・スケールの計算向けのワークフローを構築するための最善の方法を、引き続き探求します。
IBMフェロー 兼 IBM Quantum バイス・プレジデントのジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)は、次のように述べています。「量子を中心としたスーパーコンピューティングは、高性能コンピューティングの未来であり、化学、材料科学、その他の科学アプリケーションにおいて近い将来に量子優位性を実現する方法です。Pasqal社との協業は、この未来がオープンで、ハードウェアのモダリティーにとらわれないものであることを保証し、お客様やユーザーにより多くの価値を生み出すものです。量子を中心としたスーパーコンピューティングを実現するために、Pasqal社と協業することを楽しみにしています」
Pasqal社 CEOのGeorges-Olivier Reymond(ジョルジュ・オリヴィエ・レイモンド)氏は、次のように述べています。「IBMとの協業を開始した今日は、量子コンピューティング業界にとって重要な節目となります。量子を中心としたスーパーコンピューティングを活用したビジネス上のベスト・プラクティスの確立に向けて始動するという非常に野心的な目標に向けて、力を合わせることを楽しみにしています。両社の技術の強みを活かすことで、加速するお客様のニーズに対応し、増大する需要に対応する準備が整っています」
Pasqal社は量子コンピューティングのリーディング企業であり、実用的な量子優位性を実現し、現実世界の問題に対処できるよう、二次元および三次元アレイ内の秩序だった中性原子から量子プロセッサーを構築します。Pasqal社は2019年にInstitut d’Optiqueからスピンアウトし、Georges-Olivier Reymond、Christophe Jurczak、Alain Aspect教授 (2022年ノーベル物理学賞受賞者)、Antoine Browaeys博士、Thierry Lahaye博士によって設立されました。Pasqal社はこれまでに1億4000万ユーロ以上の資金を調達しています。Pasqal社の詳細については、www.pasqal.comをご参照ください。
当報道資料は、2024年6月6日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文はこちらを参照ください。
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