IBM、Watsonのビジネス用語理解力を強化
-「Project Debater」の主要テクノロジーの初の商用化を発表
- IBM Watsonに統合される新機能により、人間の言語の中でも特に難しいとされる
要素マイニングと分析が容易に

[米国ニューヨーク州ニューヨーク - 2020年3月11日(現地時間)発]このたび、ビジネス向けAIのリーダーであるIBM(NYSE:IBM)は、英語の中でも特に難しいとされる要素について、企業がより明確に識別・理解・分析を行い、洞察を深められるようにすることを目的とした新しいIBM Watson®️のAIテクノロジーを発表します。

この最新テクノロジーは、複雑なトピックについて人間と議論する能力を備えた、唯一のAIシステムであるIBM Researchの「Project Debater」が提供する主な自然言語処理(NLP)機能で初の商用化となります。例えば、新しい高度な評判分析機能では初めて、慣用句 (英語, IBM外のWebサイトへ )や口語表現を識別して分析できるようになります。「hardly helpful(ほとんど役に立たない)」や「hot under the collar(怒っている)」といったフレーズは、アルゴリズムによる判別が難しいことから、AIシステムにおける課題となってきました。そのような課題に対して、高度な評判分析を利用することで企業はこのような言語データをWatson APIで分析できるようになるため、自社の業務をより全体的に理解することが可能になります。さらにIBMは、PDFや契約書などのビジネス文書を理解することを目的としたIBM Researchのテクノロジーを発表し、同様にAIモデルに導入します。

IBM Data and AIのゼネラル・マネージャーであるロブ・トーマス(Rob Thomas)は、次のように説明します。「言語は考えや意見を表すためのツールであり、情報を伝えるためのツールでもあります。IBMがProject Debaterで培ったテクノロジーをWatsonに取り入れようとしているのはそのためです。これにより、企業が人間の言語からより多くのデータを引き出し、分析し、理解を深め、さらにはデータに含まれる体系化された知的資本の活用方法を変えていけるようにすることが当社の狙いです。」

IBMは本日、お客様の自然言語活用能力を高めることを目指し、1年をかけてProject Debaterの以下のテクノロジーをWatsonに組み込むことを発表します。

1) 高度な評判分析
IBMは、慣用句(フレーズや言い回し)のほか、「hardly helpful」のように単語を組み合わせることで新しい意味を持つようになる「センチメント・シフター(sentiment shifter)」のような複雑な単語の構成をより的確に識別して理解できるようにするため、評判分析を強化しました。このテクノロジーは今月、Watson Natural Language Understandingに組み込まれます。また、調達契約書のようなビジネス文書に含まれる文言の分類を簡素化するAIモデルをお客様が構築できるようにすることを目的とした、新しい分類テクノロジーを発表します。Project Debaterのディープ・ラーニングをベースとする分類テクノロジーに基づくこの新機能は、わずか数百のサンプルから学習して、新たな分類を素早く簡単に行うことが可能です。このテクノロジーは年内にWatson Discoveryに導入される予定です。

2) 要約
このテクノロジーは、さまざまなソースからテキスト・データを抽出し、特定のトピックに関して言われていることや書かれている内容を要約してユーザーに提供するためのものです。要約機能の旧バージョンが今年のグラミー賞で利用され (英語)、その夜の主なトピックについてより詳しい情報がファンに提供されました。このテクノロジーは年内にWatson Natural Language Understandingに導入される予定です。

3) 高度なトピックのクラスタリング
Project Debaterから得た洞察に基づく新しいトピックのクラスタリング手法によって、ユーザーは収集したデータを「クラスター化」して、関連した情報のトピックを自動的に生み出すことができるようになり、それらを分析することが可能になります。この手法は年内にWatson Discoveryに組み込まれる予定です。これにより、対象分野の専門家が、特定企業や、保険、医療、製造といった特定業界で使われている用語を反映するために、トピックのカスタマイズや調整を行うことも可能になります。

長きにわたり、IBMは自然言語処理分野のリーダーとして、コンピューター・システムが、評判や方言、イントネーションなどを含む人間言語を正確かつ迅速に学習し、分析、そして理解することを目指してテクノロジーの開発に取り組んできました。これらの大半はIBM Researchで誕生したNLPテクノロジーであり、IBM Watsonというブランドを通じて市場に送り出してきました。例えば、Watson Discoveryや、企業での検索を支援するバーチャル・アシスタント・プラットフォームのWatson Assistant、高度な評判分析に対応したWatson Natural Language Understandingといった製品にはNLPが活用されています。

ESPN Fantasy Footballでは、Watson DiscoveryとWatson Knowledge Studioを利用して、シーズン中毎日、何百万ものフットボールに関するデータ・ソースを分析し、何百万人ものファンタジー・フットボール (英語)・メンバーのリアルタイムの洞察を提供しています。自然言語を処理することでWatsonは、ニュース記事、ブログ、フォーラム、ランキング、予測、ポッドキャスト、ツイートから、ロッカー・ルームでの裏話やケガの分析などあらゆる事柄にわたって論調や評判を割り出します。同社はそれらの洞察をサイト上の選手カードに反映し、各選手が得点予測を上回る確率と下回る確率をそれぞれ「Boom」と「Bust」として表示するとともに、「Player Buzz」セクションでは、その選手をめぐる肯定的あるいは否定的なコメントをまとめています。

プロフェッショナル・サービスを提供する多国籍ネットワークで、世界4大監査法人のうちの一社でもあるKPMGは、IBMとの協力を通じ、Watson Natural Language Understandingを含むさまざまなWatsonのサービスをベースとしたAIソリューションを開発しました。企業はこのテクノロジーを利用すれば、研究開発関連の潜在的な法人税控除額を今までよりも効果的に特定し、申請し、維持することが可能になります。このKPMGによって開発されたソリューションを使えば、Watsonのテクノロジーによってさらに迅速に書類をレビューできるために捕捉可能な研究開発関連の法人税控除額を増やせるだけでなく、お客様のビジネスの中断も最小限に抑えることができます。

昨年、KPMGのクライアントの一部プロジェクトでは、レビューされた書類の件数が1,000%以上も増大し、研究開発関連の法人税控除を受けられる可能性が向上しました。このソリューションは、追加の法人税控除を受けられる資格のある項目をより多く特定できるようクライアントを支援すると同時に、ビジネスの中断も抑制します。その結果、エンジニアやサイエンティストは、法人税関連のコンプライアンス業務に費やす時間を減らし、革新的な研究開発業務に注力し続けることが可能になります。

『The Debater』を見る
『The Debater』の予告編をご覧いただけます。『The Debater』は、AIの未知の領域を切り開く多彩な研究者から成るチームの視点を通じ、Project Debaterの開発の珍しい舞台裏を取り上げたドキュメンタリー映像で、コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭の公式上映作品です。
www.ibm.com/research/debater-film (英語)

About IBM
詳細はこちらのリンクをご覧ください。IBM WatsonIBM Research (英語)

開発者およびデータ・サイエンティストの皆様は、IBM Developer (英語)からWatson APIにアクセスしていただけます。

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日本IBMについて
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https://www.ibm.com/jp-ja/

*本記事は、以下のIBM Press Releaseの抄訳です。
https://newsroom.ibm.com/2020-03-11-IBM-Advances-Watsons-Ability-to-Understand-the-Language-of-Business,1 (英語)