ニュースリリース

IBM Food Trust、ブロックチェーン・ネットワークを安全性、透明性、効率性に優れたグローバルな食品システムへの成長を促進

IBMは、IBM Food Trustの提供開始を発表し、
大手スーパーマーケットおよび消費財の主要企業であるCarrefourも参加を表明
ネットワークを構成するユーザーや第三者データ提供者の動きが本格化
2018年10月24日

TOKYO - 24 10 2018:
2018年10月24日

[米国ニューヨーク州アーモンクおよびフランス・パリ - 2018年10月8日(現地時間)発] 
IBM(NYSE:IBM)は本日、食品サプライ・チェーン・ネットワークのIBM Food Trustの採用が拡大していることを発表しました。ブロックチェーンに基づくこのクラウド・ネットワークは、参加している小売業者、卸売業者、生産者、食品業界の供給業者に食品エコシステム全体のデータを提供し、トレーサビリティー、透明性、効率性の向上を図ります。

18カ月にわたる実証試験を終えて、このネットワークは一般提供を開始します。実証試験では、何百万もの食品が小売業者と卸売業者によって追跡されました。

ネットワーク参加者のエコシステムは拡大を続けており、今日、世界的な大手小売企業のCarrefourは、IBM Food Trustのブロックチェーン・ネットワークを利用して、食品の品質を高める活動を強化することを発表しました。33カ国で12,000を超える店舗を擁する、業界をリードするグローバルな小売企業Carrefourは、このソリューションを最初に使用することで、さまざまなCarrefourブランド商品における消費者の信頼に焦点を当てます。Carrefourが取り組む「Act for Food」プログラムの一環として、2022年までにこのソリューションを世界中すべてのCarrefourブランドに拡大することが予定されています。

Carrefourのゼネラル・セクレタリーであるローラン・ヴァレ(Laurent Vallée)氏は、次のように述べています。「IBM Food Trustプラットフォームの創立メンバーになることで、自社商品へのブロックチェーン技術の統合を促進、拡大し、安全性と確実なトレーサビリティーをお客様に提供する絶好の機会が得られます。これは、食品の移行を助長する具体的な取り組みのグローバル・プログラムである「Act for Food」の確かな第一歩となります。」

信頼できる取引にブロックチェーンを使用することで、食品を数日や数週間ではなく、わずか数秒でその原産地まで遡って迅速に追跡できます。従来のデータベースとは異なり、ブロックチェーンの特性と許可データの機能が、これまでにない信頼性の高い情報をネットワーク・メンバーにもたらします。取引はさまざまな関係者の承認を得るため、一元化された、正確で変更不可能な情報が得られます。

IBMグローバル・インダストリー・クライアント・プラットフォーム・ブロックチェーン担当のシニア・バイス・プレジデントのブリジット・ヴァン・クラリンゲン(Bridget van Kralingen)は次のように述べています。「今日の信用通貨は透明性であり、食品安全性の分野でこれが実現するのは、責任が共有されているときです。この協調的なアプローチでは、ブロックチェーンが透明性を高めて、食品のトレーサビリティーを大幅に強化することがIBM Food Trustのメンバーによって証明されています。最終的に、参加者はビジネス上の利益を享受し、消費者は良質で安全な商品を得ることができます。」

拡大するエコシステム
IBM Food Trustのメンバーは、オープン・スタンダードに基づく、相互運用できるパワフルなグローバル・ビジネス・ソリューションの構築に寄与しています。このソリューションの目的は、食品業界の組織が事業運営を効率化し、安全な食品を低コストで提供できるようにすることです。

Carrefourのほかに、次のような組織がIBM Food Trustに参加しています。

  • 49の組合員組織と15,000以上の店舗を擁する、週当たりの顧客数が6,500万人にのぼる大手生協のTopco Associates LLC
  • 組合員企業50社と349店舗を擁する、小売業者が出資している生協のWakefern
  • BeefChain、Dennick Fruit Source、Scoular、Smithfieldなどの卸売業者

Produce Marketing Associationのサプライ・チェーン効率性担当のバイス・プレジデントであるエド・トレーシー(Ed Treacy)氏は、次のように述べています。「ブロックチェーンは、透明性を高めて食品業界の仕組みを変革する可能性を秘めています。これは、汚染食品の調査を迅速化し、食品の素性を証明することや、そこに至る食品の状態や経路に関する洞察を提供して、保存期間を最大限に延ばし、腐敗による損失を減らす機会をもたらすことで実現します。」

こうした最新の参加者たちは、小売業者や卸売業者の間で加速している動きに加わっています。たとえば、ブロックチェーン技術を早くから支持しているWalmartは、IBM Food Trustを使用して、デジタルのエンドツーエンドのトレーサビリティー・イベント情報を収集するように葉物野菜の卸売業者に要求することを最近発表しました (PDF,61KB,英語)。

食品の安全性を高めるという目標を超えて、IBM Food Trustネットワークと付随するソリューションは、食品供給の最適化に取り組むようになっています。具体的には、食品の鮮度に関する洞察を生み出して廃棄物を削減し、サプライ・チェーンのコラボレーションと透明性を高めることなどが挙げられます。

IBMはサービス・プロバイダーやテクノロジー・プロバイダーと連携して、重要なサプライ・チェーンのデータ、原産地の情報、テスト・データ、センサー・データをブロックチェーンのエコシステムに提供しています。IBM Food TrustのAPIのライブラリーを通じて、ハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーの各企業は、取引データをブロックチェーン・ネットワークに直接書き込んで価値のある洞察を得ることができます。

  • 3Mは、IBMと連携して食品の安全性診断機器とブロックチェーン・ネットワークがデータをやりとりできるようにし、食品メーカーがこの機能を有効化するように働きかけています。
  • Centricity(生産者が出資している企業)では、システムと取引パートナー間で、農業データやコンプライアンス・データを形式に関係なく容易に収集、保護、共有することができます。
  • Trellis Frameworkは、オープンソースの食品業界標準およびAPIサービスであり、スケーリングが完全に自動化されたリアルタイム接続を企業とマシンの間で実現しています。
  • Emersonは、自社の高度なコールド・チェーン技術を活用して、輸送中の冷蔵・冷凍貨物に関する温度関連の情報を提供し、保存期間の推定と食品の鮮度を向上させて、ネットワーク・メンバーにおけるデータの実用性を高めています。

Doleの食品安全・品質担当のバイス・プレジデントであるナタリー・デンソン(Natalie Dyenson)氏は、次のように述べています。「IBM Food Trustのパワーは、小売業者や卸売業者だけでなく食品供給に携わるエコシステムのメンバー全員を結びつけることにあります。たとえば、Doleは生産者が出資しているパートナー企業のCentricityと連携して、監査データをブロックチェーンに接続しています。これは、既存の形式とプロセスを使用して、Trellisフレームワークを農産物業界の標準として利用することで可能になります。農場とフロント・オフィスでの報告書作成を簡素化し、ブロックチェーンにデータを置くことで、IBM Food Trustは、卸売業者とパートナーの全体で費用対効果の高い方法でコンプライアンス・データの価値を解き放つことができるように私たちを支援しています。」

ネットワーク共有のガバナンス
IBM Food Trustでは、非集中モデルに基づいて、生産者から卸売業者、小売業者に至る食品サプライ・チェーンのさまざまな参加メンバーが、食品の素性に関する詳細、処理データ、出荷情報を許可制ブロックチェーン・ネットワークで共有することができます。ブロックチェーンの各ノードは個別のエンティティーによって制御され、ブロックチェーンのすべてのデータが暗号化されています。ネットワークの非集中機能により、すべての関係者が連携してデータの信頼性を確保できます。

これまで、最大級で最も活動的な実稼働のエンタープライズ・ブロックチェーン・ネットワークであるIBM Food Trustのメンバーは、ネットワークにおける包括的なガバナンス・モデルの道を拓き、すべての参加者の権利と情報が適切に管理、保護されるように支援してきました。このガバナンス・モデルでは、すべてのメンバーが同じ一連のルールに準拠します。データをアップロードした組織はそのデータを引き続き所有し、データ所有者のみがデータを表示または共有する許可を与えることができます。データ入力、メンバーシップ、相互運用性、セキュリティー、ハードウェア要件など、ブロックチェーン・ネットワークの管理における重要な考慮事項への対応が行われており、一貫した方法によるデータの標準化も行われています。

世界中で利用可能
現在、世界中で利用できるIBM Food Trustは、IBM Cloud上で実行され、エンタープライズ・クラスのセキュリティー、信頼性、拡張性を備えています。このテクノロジーは、Linux Foundationによってホストされるオープン・ソースのブロックチェーン・フレームワークであるHyperledger Fabricに基づいています。また、ネットワークは、トレーサビリティー・システムの相互運用性を確保するために食品業界の多くで使用されているGS1規格との互換性を備えています。

参加企業は、小規模企業、中規模企業、グローバル企業向けの1カ月当たり100米ドルからの段階的な価格設定で、3つのIBM Food Trustサービスとしてのソフトウェア・モジュールから選択できます。卸売業者は、無償でネットワークにデータを提供できます。

  • 追跡 – 追跡モジュールにより、食品エコシステムのメンバーは、二次汚染の軽減、食品を経由した病気の拡大の抑制、不要な廃棄物の削減を支援するために、数秒でより安全に製品を追跡できます。これは、他の方法を利用した場合は通常数週間かかるプロセスです。
  • 証明 – 証明モジュールは、有機農法やフェア・トレードなど、デジタル証明書の発行元の検証に役立ちます。また、このモジュールによって、エコシステム全体の参加企業が食品の証明書をデジタル処理で読み込み、管理し、共有することが容易になり、証明書管理が最大30%迅速化されます。
  • データ入力/アクセス – データ入力/アクセス・モジュールを使用すると、メンバーは、ブロックチェーン上でデータを安全にアップロード、アクセス、管理することができます。
    IBM Food Trustは、食品エコシステムのメンバーが加入するサブスクリプション・サービスとして提供されます。利用できるサービスの詳細については、こちら (US)をご覧ください。

IBM Blockchainについて
IBMは、先進的な企業向けブロックチェーンのプロバイダー企業 (英語)として評価されています。IBMのリサーチ、テクノロジー、およびビジネスの専門家は、トランザクション処理の速度の壁を打ち破り、最先端の暗号化技術を開発して、トランザクションを保護してきました。また、数百万行に及ぶオープン・ソース・コードを提供し、企業向けブロックチェーンを進展させています。IBMは、企業向けに構築された、オープン・ソースによるブロックチェーン・ソリューションのリーダー企業です。2016年以降、IBMは、金融サービス、サプライ・チェーン、政府、小売、デジタル著作権管理、および医療の各業界にわたる数百社ものお客様と連携し、ブロックチェーン・アプリケーションを実装して実稼働ネットワークや本番環境のネットワークを数多く運用しています。クラウド・ベースのIBM Blockchain Platformは、お客様が自社のビジネス・ネットワークをすみやかに稼働させ、その開発、運用、管理、および保護を成功させるのに必要となるエンドツーエンドの機能を提供します。IBMは、業界横断的なブロックチェーン技術を推進するために生み出されたオープン・ソースのコラボレーティブな取り組みであるHyperledgerの早期メンバーです。

当報道資料は、2018年10月8日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2018-10-08-IBM-Food-Trust-Expands-Blockchain-Network-to-Foster-a-Safer-More-Transparent-and-Efficient-Global-Food-System-1 (US)

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