ニュースリリース

IBMとシカゴ大学、論理回路上で信頼できる量子計算を確立し、量子優位性を実証

研究者らは新しいエラー訂正手法を用いて70個の論理量子ビットを符号化し、古典コンピューターでは解くことが困難な問題を解決
量子計算は約15分で完了、最先端の古典計算手法では実行不可能なほど膨大な計算時間を要する問題を解決
2026年07月30日

【米国ニューヨーク州ヨークタウン・ハイツおよびイリノイ州シカゴ - 2026年7月30日(現地時間)発】

IBMとシカゴ大学の研究者らは本日、量子優位性(Quantum Advantage)の基本要件を満たす量子コンピューティングの実証成果を発表しました。これは、最先端の古典シミュレーション手法の能力を超える計算を実行すると同時に、その計算結果が正確であると信頼できる根拠を提供するものです。

 

研究チームは、新しい論文「Sampling hard circuits with verifiably high fidelity」において、符号化された量子回路の新たな構成により、これら2つの目標を同時に達成できることを示しました。これにより、これまでで最大級の論理量子コンピューティングの実証の一つが可能になりました。これらの回路とその結果は、Quantum Advantage Trackerでも公開されています。

 

量子計算結果への信頼性の構築

長年にわたり、研究者はランダム回路サンプリング(RCS)と呼ばれるベンチマークを用いて、量子コンピューターが古典コンピューターを上回る性能を発揮できるかを検証してきました。簡単に言えば、RCSは古典コンピューターでは効率的に再現できないほど複雑なパターンを量子コンピューターに生成させるものです。課題となっていたのは、その結果を検証することでした。問題が難しくなるにつれて、量子コンピューターの内部動作について強い仮定を置かずに、その答えが正しいことを証明することは次第に困難となり、やがて不可能となります。

 

今回の実験で、IBMとシカゴ大学の研究者らは、RCSに代わる構造化された手法によってこの課題に取り組みました。研究チームは、この手法がRCSと同等の計算困難性を維持していることを証明するとともに、この新しい構造を用いて計算中の誤りを検出できることを示しました。

 

シカゴ大学 准教授のビル・フェファーマン(Bill Fefferman)氏は、次のように述べています。「検証は、量子優位性を実証する上で依然として最大の課題の一つです。この実験は、ノイズ下における計算困難な量子状態の忠実度をより正確に評価する手法を開発したものであり、量子コンピューターが計算困難な問題を解いていることへの信頼を高めます」

 

シカゴ大学 ビル・フェファーマン研究室 博士課程学生のスーミク・ゴーシュ(Soumik Ghosh)氏は、次のように述べています。「検証の進展は、実験結果の妥当性を強化するだけでなく、次世代量子コンピューターの実用的な応用への道を切り拓く可能性を持っています」

 

研究チームは、世界最大級のエラー訂正の実証の一つとして、70個の論理量子ビットを用いて計算を実行しました。誤りから保護された状態で、2,415回の論理2量子ビット演算と468回の論理Tゲートを実行しました。これらは量子回路の複雑さを示す指標です。回路が符号化されていたため、この論理計算では物理誤り率の10分の1となる実効論理誤り率を達成し、大規模なゲート数であっても極めて高い回路忠実度を実現しました。

 

IBM Research ディレクター兼IBM Fellowのジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)は、次のように述べています。「私たちは今、確固たる量子優位性の時代に入っています。今回、古典コンピューターでは現実的に実行できない量子計算を実証し、その実行がどの程度忠実であったかについて、統計的な信頼性をもってその実行忠実度の下限を示しました。このマイルストーンは、科学者、開発者、そして企業が、量子コンピューターが古典計算では達成できないはるかに複雑な問題に取り組むようになる中で、量子コンピューターへの信頼を支える新たな基盤となります」

 

研究チームは、最先端の古典シミュレーション手法の多くでは、この処理を現実的な時間内に実行できないことを示しました。一方で、IBMの量子コンピューターはこの処理を15分未満で完了しました。

 

エラー訂正と計算結果への信頼は、量子コンピューティングを大規模化するために不可欠なマイルストーンです。本研究は、その実現に向けた重要な前進を示しています。

 

さらなる量子優位性の実証

本日、IBMとシカゴ大学による今回の成果とあわせて、IBMのエコシステム全体のパートナーも、信頼できる計算に基づく量子優位性の実証を発表しています。詳細についてはIBM Researchブログ(英語)をご覧ください。

 

本資料は、2026年7月30日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文はこちらを参照ください。

                                            

IBM、IBM ロゴ、ibm.comは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、ibm.com/trademark をご覧ください。

Release Categories

プレスリリース、各種取材のお申込みに関するお問い合わせ先(報道関係者様専用窓口)

※報道関係者様以外からのお問い合わせは受け付けておりませんのでご了承ください。

日本IBM 広報代表

電話: 03-3808-5120

e-mail: PRESSREL@jp.ibm.com

 

その他お問い合わせ窓口一覧