ニュースリリース

IBMとイリノイ大学、AIおよび量子コンピューティングの推進に向け、IBM-Illinois Discovery Accelerator Instituteを拡充

IBM-Illinois Discovery Accelerator Instituteは、IBMの量子コンピューターとイリノイ大学 National Center for Supercomputing Applications(NCSA)の高性能計算資源を統合する、新たな量子を中心としたスーパーコンピューティング・アーキテクチャーに関する研究を開始
今後5年間にわたり、量子と古典コンピューティングの強みを組み合わせた量子を中心としたスーパーコンピューティングにおけるブレークスルーを目指す
さらに、次世代AIシステムおよびAI主導のエンジニアリング、ならびに従来のスーパーコンピューターでは解決が困難な課題に対応する新たなアルゴリズムの開発にも取り組む
2026年04月24日

【米国ニューヨーク州アーモンク/イリノイ州アーバナ・シャンペーン - 2026年4月16日(現地時間)発】

IBMおよびイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校グレインジャー工学部(以下、イリノイ大学)は本日、IBM-Illinois Discovery Accelerator Instituteの拡充を発表しました。本拡充には、イリノイ大学の国立スーパーコンピューター応用研究センター(NCSA)が運用するDeltaおよびDeltaAIスーパーコンピューターと、IBMの量子コンピューターを統合することにより、イリノイ州のイノベーターに量子を中心としたスーパーコンピューティングを提供する取り組みが含まれます。

 

2021年に設立された同研究所では現在、ハイブリッドクラウド、AI、量子コンピューティング、材料探索、サステナビリティーといった分野で20件のプロジェクトが継続中であり、参加メンバーはこれまでに230本以上の研究論文を発表しています。

 

今回の新たなフェーズでは、AIシステムおよび計算科学分野における最初の5年間の技術的成果を基盤とし、量子コンピューティングとAIが次世代スーパーコンピューティングをどのように牽引していくかを形作っていきます。これには、古典システムと量子システムが協調し、単独では解決できない問題に取り組むための新しいアルゴリズムの開発、新興AIワークロード向けに設計された新たなAIシステムの創出、特化型コンピューティング・システムの設計を加速するためのAI活用が含まれます。

 

写真左から:ラシッド・バシール氏(イリノイ大学 シカゴ戦略パートナーシップ担当副学長兼グレインジャー工学部長)、JB・プリツカー・イリノイ州知事、ジェイ・ガンベッタ(IBM Research ディレクター/IBMフェロー)

 

JB・プリツカー・イリノイ州知事は、次のように述べています。「IBM-Illinois Discovery Accelerator Instituteが、イリノイ大学との長年にわたるパートナーシップとその進捗を基盤に、イリノイ州のイノベーターが量子コンピューティングとAI分野で重要な発見を目指していることを大変喜ばしく思います。世界水準の研究機関、独自の産業連携、そして比類なき研究人材を有するイリノイ州は、世界的な進歩の最前線に立っています。本拡充によって生まれる数多くの成果を楽しみにしています」

 

システム、ソフトウェア、アルゴリズムによる次世代コンピューティングの推進

量子を中心としたスーパーコンピューティングは、量子プロセッサー(QPU)が、CPUやGPUを備えた高性能な古典計算システムと連携し、科学および産業分野における複雑な課題を解決するという、IBMが描く将来のコンピューティングのビジョンです。本研究所の拡充の一環として、IBMとイリノイ大学の研究者は、クラウド上の最先端なIBMの量子コンピューターと、NCSAのDeltaおよびDeltaAIスーパーコンピューターをシームレスに統合する量子を中心としたワークフロー管理ツールの開発に共同で取り組みます。これにより、イリノイ州の学術界、産業界、政府機関全体で量子を中心としたスーパーコンピューティング研究を継続的に推進できる環境を構築します。

 

研究所メンバーは、量子を中心としたスーパーコンピューティング・アーキテクチャーおよび新規アルゴリズムによって、IBMの量子コンピューターとNCSAのHPC計算資源を統合し、古典的方法では解決が困難な問題に対応する方法や短期的な量子優位性の実現、さらには化学、物性物理学、材料科学における基礎的課題の解決を探求します。

 

さらに今後5年間で、同研究所は、次世代AIワークロードにおける効率的かつ拡張性・適応性を備えた分散推論という課題に取り組むことで、AIシステム研究の最前線を押し広げていきます。また、アルゴリズムを特化型システム向けのシリコンに実装と統合を加速するための新たな研究分野「Algorithms-to-Silicon-to-Systems(AS2)」を立ち上げます。AS2は、アルゴリズム、シリコン、システム・ソフトウェアを個別に開発するのではなく、同時に進化させるという統合されたAIネイティブな設計パラダイムへの転換を意味します。この取り組みにより、生産性、アクセシビリティー、スケーラビリティーが飛躍的に向上し、正確性、堅牢性、実利用に耐えることを保証した高性能システムを迅速に構築できるようになります。

 

IBM ResearchディレクターでIBMフェローのジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)は、次のように述べています。「IBMは、イリノイ州の研究者に量子を中心としたスーパーコンピューティングを提供できること、またシステム設計におけるAI活用に関する研究所の取り組みを拡大できることを大変喜ばしく思います。研究所に集う優秀な研究者たちが新たなアルゴリズムを発見・検証することで、AIと量子コンピューティングによって可能になるアプリケーションを支える、画期的な研究が推進されるでしょう」

 

研究に加え、今回の拡充では教育および人材育成も重視されています。IBMとイリノイ大学は、量子コンピューティング、AIシステム、HPC全般にわたる専門性の構築を目的とした教育イニシアチブを主導します。カリキュラム開発、実践的トレーニング、共同研究を通じて、異種計算アーキテクチャーの発展を担う次世代の科学者・エンジニアの育成を目指します。

 

これらの新たな研究重点分野により、イリノイ大学およびイリノイ州は、ハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズムの密接な連携によって理論と実践を橋渡しし、AIおよび量子コンピューティングを活用した科学的発見の世界的拠点として、引き続き最前線に立ち続けることになります。

 

IBMは、イリノイ州の量子エコシステムと長年にわたる関係を築いており、その中にはシカゴ大学、Chicago Quantum Exchangeのメンバー、米国経済開発局(U.S. Economic Development Administration)から指定を受けたBloch Quantum Technology Hubとの連携が含まれます。またIBMは、シカゴに位置するIllinois Quantum and Microelectronics Park(IQMP)において、National Quantum Algorithm Centerを主導することにも取り組んでいます。同センターには、本年内に稼働予定の IBM Quantum System Twoが中核として設置される予定です。

 

IBM-Illinois Discovery Accelerator Institute 共同ディレクター/グレインジャー工学部 アベル・ブリス記念教授 デミン・チェン(Deming Chen)氏

「今回の拡充により、これまでの成果を基盤として研究所のインパクトをさらに高めていくことが私たちの目標です。今後5年間で、より高い到達点を目指していきます。学生たちは、イリノイ大学およびIBMの双方に対し、この真にユニークなプログラムへの参画に感謝の意を示しています。彼らは、IBMの拠点で実際に研究活動を行い、高度な計算資源やIBMの研究者による指導にアクセスしながら、同時に自身の論文執筆を進めることができています」

 

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 グレインジャー工学部 学部長/シカゴ戦略パートナーシップ担当副学長 ラシッド・バシール(Rashid Bashir)氏

「グレインジャー工学部は、AI、量子、スーパーコンピューティングがどのように結集し、最大の社会的インパクトを生み出していくのかを定義する、このIBMとのフラッグシップとなるパートナーシップを主導できることを大変光栄に思います。さらに、研究所がシカゴにある Discovery Partners Institute(DPI)にも拠点を置くことで、IBMおよびシカゴの量子エコシステムとの連携が一層強化されます」

 

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 研究・イノベーション担当 上級副学長 スーザン・マーティニス(Susan Martinis)氏

「IBM-Illinois Discovery Accelerator Instituteのような共同の取り組みは、強固な連携を生み出し、AI、量子、スーパーコンピューティングといった分野における発見を加速させます。本研究所は、イリノイ州の研究機関が産業界と連携することで勢いを生み出し、世界を変えるイノベーションを創出していく好例です」

 

 

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 グレインジャー工学部について

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 グレインジャー工学部は、世界トップクラスの評価を受ける教育・研究機関であり、工学およびコンピューティング分野における世界的リーダーとして広く知られています。多様性に富み、結束力の高い教職員、学生、卒業生のコミュニティーを擁し、グレインジャー工学部は工学・コンピューティング分野における卓越性の基準を打ち立て、経済におけるイノベーションを牽引するとともに、革新的なアイデアを社会にもたらしてきました。同学部の研究・発見の成果としては、MRI、LED、ILIAC、Mosaic、YouTube、PayPal、フレキシブル・エレクトロニクス、電気機械、小型バッテリー、ブラックホールの撮像、火星における飛行技術など、かつては夢物語と考えられていた数々の技術革新が挙げられます。グレインジャー工学部には、世界最高水準の人材が集い、今日の最も困難な課題に挑戦するとともに、より良く、より安全で、より魅力的な未来の構築に取り組んでいます。詳細は  Grainger Engineering websiteをご覧ください。

 

当報道資料は、2026年4月16日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。こちらを参照ください。

 

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