ニュースリリース

IBM、量子を中心としたスーパーコンピューティングの実現に向け新たな設計構想を発表

新たなリファレンス・アーキテクチャーは、量子コンピューティングと古典コンピューティングを連携するための、実用的でスケーラブルな道筋を提示
化学、材料科学、分子シミュレーションの科学的ブレークスルーは、量子を中心としたアプローチによって古典コンピューティングの限界を押し広げている
IBMのアーキテクチャーは、オープン・ソフトウェアと統合ワークフローを通じて、量子コンピューティングと古典コンピューティングを統合
2026年03月24日

【米国ニューヨーク州ヨークタウン・ハイツ - 2026年3月12日(現地時間)発】

IBMは、量子コンピューティングを最新のスーパーコンピューティング環境に統合するための新たな設計構想となる、業界初の量子を中心としたスーパーコンピューティング・リファレンス・アーキテクチャーを発表しました。このアーキテクチャーは、量子プロセッサー(QPU)がGPUやCPUと連携して動作する仕組みを示すものです。オンプレミス・システム、研究センター、クラウド環境を跨いで、単独の計算手法では解決できない科学的課題に取り組む方法を示しています。

 

このアーキテクチャーは、現在のワークロードに対応するとともに、長期的な進化も見据えて設計されたものであり、量子システムと古典システムを統合したコンピューティング環境を構築します。量子ハードウェアに、CPU/GPUクラスター、高速ネットワーク、共有ストレージといった強力な古典インフラストラクチャーを組み合わせ、計算負荷の高いワークロードやアルゴリズム研究を支援します。

 

 

この基盤上で、IBMのアプローチは、量子コンピューティングと古典コンピューティングをシームレスに連携させたワークフローを実現します。Qiskitをはじめとする統合オーケストレーションやオープン・ソフトウェア・フレームワークにより、開発者や科学者は使い慣れたツールやワークフローを通じて量子機能にアクセスできるようになり、化学、材料科学、最適化といった分野の課題に量子コンピューティングを適用しやすくなります。

 

IBM ResearchディレクターでIBMフェローのジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)は、次のように述べています。「リチャード・ファインマン(Richard Feynman)氏は40年以上も前に、量子物理学をシミュレートできるコンピューターを構想しました。IBMは長年にわたって、その構想を実現しようと取り組んできました。量子プロセッサーは現在、科学界でも最難関の領域とされる、量子力学の法則に基づく化学現象の解明に取り組み始めています。未来は、量子プロセッサーと古典的なハイパフォーマンス・コンピューティングが連携し、これまで不可能だった問題を解決する、量子を中心としたスーパーコンピューティングにかかっています。IBMは、このようなコンピューティングの未来を実現するテクノロジーとシステムの構築を進めています」

 

すでに多くの科学者がIBMの量子を中心としたアーキテクチャーを利用して、実際の実験で正確な結果を導き出しています。最近の研究成果は、量子コンピューターと古典コンピューティング・ワークフローを組み合わせることで、科学的発見を加速できるという最も強力な証拠を示すものとなります。

  • IBM、マンチェスター大学、オックスフォード大学、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)、レーゲンスブルク大学の研究者は、これまでに類を見ない半メビウス型の分子を創成し、量子を中心としたスーパーコンピューターでその特異な電子構造を検証し、Science誌(英語)に掲載
  • クリーブランド・クリニックは、303個の原子からなるトリプトファンケージ型ミニタンパク質のシミュレーション(英語)を実施。これは量子を中心としたスーパーコンピューター上で実行された分子モデルの中でも史上最大規模の一つ
  • IBM、理化学研究所(理研)、シカゴ大学の共同チームは、作成した量子システムの基底状態(最低エネルギー状態)を解明(英語)し、古典的な計算アプローチのみを用いた最先端の手法を凌駕する性能を実証
  • 理研およびIBMの研究者は、鉄硫黄クラスターという生物学・化学における基本分子の最大級の量子シミュレーション(英語)の一つを達成。これは、同じ建屋に設置されたIBM Quantum Heronプロセッサーと、理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」の全152,064台の古典計算ノードとの間でのクローズド・ループ・データ交換を通じて実現
  • Algorithmiq社、ダブリン大学トリニティ・カレッジ、IBMの共同研究チームは、原子や電子の集合体といった多体量子カオス系を、ノイズ低減のために古典的な計算リソースを駆使して正確にシミュレートする手法をNature Physics誌(英語)に掲載

 

これらの成果は、IBMの量子コンピューターが科学的な課題に対して価値を提供できる能力を有することを裏付けるものです。

 

新たな量子を中心としたアルゴリズムが登場する中、IBMのお客様およびパートナーからなるグローバル・エコシステムは、アーキテクチャーを継続的に進化させ、高度なリソース、ネットワーク、ソフトウェア機能をサポートしていきます。例えば、IBMおよびレンセラー工科大学は、量子コンピューティングとハイパフォーマンス・コンピューティングのリソース間でワークフローをシームレスにスケジューリングおよびオーケストレーションする方法の改善を進めています。成熟しつつあるアーキテクチャー上に新たなアルゴリズムを展開することで、化学、材料科学、最適化の領域における次世代アプリケーションのさらなる発展を促進し、飛躍的なスケールアップを実現します。

 

実用的な量子コンピューティングをHPCセンターへ拡張するIBMの取り組みについて詳しくはこちら(英語)を、量子を中心としたスーパーコンピューティングの最初のリファレンス・アーキテクチャーに関する技術的な詳細はこちら(英語)をご覧ください。

 

当報道資料は、2026年3月12日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。こちらを参照ください。

 

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