ニュースリリース

東京大学、IBM Quantum System Oneに最高性能のIBM Heronプロセッサーを導入

最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)のスーパーコンピューター「Miyabi」とIBM Quantum System Oneを接続
2025年05月16日

国立大学法人東京大学

日本アイ・ビー・エム株式会社

 

国立大学法人東京大学(以下、東京大学)とIBMは、本日、東京大学が量子イノベーションイニシアティブ協議会(以下、QII)のメンバー向けにアクセスを提供するIBM Quantum System Oneに、最新の156量子ビットのIBM Heronプロセッサーを導入する計画を発表しました。IBM Quantum Heronプロセッサーは、チューナブル・カプラー・アーキテクチャーを採用し、2023年に同機に導入されたプロセッサーを上回る性能を備えています。

 

IBM Quantum System Oneは、当初、27量子ビットのFalconプロセッサーを搭載して設置され、2023年に127量子ビットのIBM Eagleプロセッサーを導入したシステムに更新されました。今回は、東京大学とIBMの協業の一環として行われる2回目のアップデートであり、今年後半に最新世代の高性能なHeronプロセッサーを導入します。IBMは、Heronプロセッサーを搭載したシステムを世界中で4機展開しており、Eagleプロセッサーと比較して、2量子ビットのエラー率が3〜4倍改善され、100量子ビットの長いレイヤーのエラーをベンチマークとするデバイス全体のパフォーマンスが一桁向上し、CLOPSが60%増加すると予想されています。また、速度も継続的に改善され、システムの稼働時間は95%以上となるなど、パフォーマンスが大幅に向上しています。最新のHeronプロセッサーは、これまでにユーティリティー・レベルのワークロードのオーケストレーションにおいて大きな価値を示し続けており、Heronプロセッサーの5000回を超えるゲート操作能力を活用した複数の研究成果が発表されています。

 

また、東京大学は、今年後半にIBM Quantum System Oneを、スーパーコンピューターMiyabiに接続し、量子を中心としたスーパーコンピューターを実現する計画*です。これにより、QIIに参画する様々な企業、大学、研究機関等のユーザーは、化学やバイオインフォマティクス、高エネルギー物理学、材料科学、金融、その他多くの分野で、新しい計算能力と向上したパフォーマンスを利用できるようになります。

 

Miyabiは、東京大学と筑波大学が共同で設置した最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)が運用するスーパーコンピューターで、Miyabi-CとMiyabi-Gの2つのサブシステムから構成され、最先端のCPUとGPUを搭載しています。現在の計画では、今年後半に、IBM Heronを搭載した東京大学のIBM Quantum System OneとスーパーコンピューターMiyabiが接続することで、ユーザーは、ニューラル・ネットワーク推定器を用いて量子観測量をより正確に測定するといった計算問題を探求できるようになります。

 

東京大学理事・副学長の相原 博昭は、次のように述べています。「このIBM Quantum Heronプロセッサーの導入とMiyabiとの接続により、量子とAIを活用したユースケースの開発をさらに進めることで、科学における計算可能な領域が拡大し、社会課題の解決に向けた取り組みが加速するでしょう」

 

IBMフェロー 兼 IBM Quantum バイス・プレジデントのジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)は、次のように述べています。「東京大学が、IBMの最新かつ最高性能のIBM Quantum HeronプロセッサーをIBM Quantum System Oneに導入し、同機をスーパーコンピューターMiyabiに接続することで、東京大学は、スーパーコンピューティングの未来をつくる世界有数の組織に加わります。この量子を中心としたスーパーコンピューターは、QIIの参画メンバーにより強力で新しい計算能力を提供し、量子優位性の達成に向けた、より新しく強力な計算能力を提供していきます」

 

東京大学とIBMが2019年に「Japan–IBM Quantum Partnershipを設立して以来、 東京大学は日本における量子コンピューティングへのアクセス拡大に尽力しています。東京大学とIBMの「Japan–IBM Quantum Partnership」は、2020年のQII設立を含め、産学官の連携を加速し、量子科学、ビジネス、教育における日本のリーダーシップを推進することを目的としています。QIIは、日本に設置されたIBM Quantum System Oneで実行された実験に基づいて、140以上の研究論文を発表しています。また、東京大学は、高エネルギー物理学、材料科学、最適化に関するIBM Quantumのワーキング・グループのメンバーであるほか、今後10年間で4万人以上の学生を量子人材として育成することを目指す日本、韓国、米国の大学コンソーシアムの一員でもあります。

 

* IBM Quantum System OneへのIBM Quantum Heronプロセッサーの導入、およびIBM Quantum System OneのスーパーコンピューターMiyabiへの接続は、適切な輸出ライセンスの発行と最終契約の締結を条件としています。

 

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