ニュースリリース

IBM Watsonがあらゆる場所で利用可能に

新たなサービスがベンダー・ロックインに終止符を打ち、AI活用に新しい展開の到来を告げる
2019年02月13日

TOKYO - 13 2 2019: 
2019年2月13日

 

サンフランシスコ – IBM Think – 2019年2月12日(現地時間)発:IBM(NYSE:IBM)は、これまで試験的だったAI環境を、大規模に展開して業界を変革できるものに変えようとしています。IBMは本日、AIの新しい展開方法が可能になったことを発表いたします。Watsonがあらゆるクラウド環境に展開可能となり、企業はベンダー・ロックインを解消し、データのある場所でAIを活用できるようになります。

IBMのData and AI担当のゼネラル・マネージャー、ロブ・トーマス(Rob Thomas)は次のように述べています。「クラウド・プロバイダーにデータがロックインされているため、企業はほとんどサイロの中でしかAIを試すことができていません。多くの大企業は複数のハイブリッド・クラウド環境にまたがってデータを保管しているので、保管場所にかかわらず、自由にデータにAIを活用できるようにならなければなりません。このようにサイロ化されたインフラストラクチャーに風穴を開けることで、IBMは企業のAIによる変革を支援できます。」

IBMのAIであるWatsonは、AIをプロセスに組み込みビジネスの成果を高めようとしている企業を支援するように設計されています。Watsonには、データ・マイニング、業績予測、時間やリソースに制限のあるプロセスの自動化を行おうとしている世界中の企業の役に立つアプリケーション、開発ツール、機械学習モデル、管理サービスが一式用意されています。

今日の発表によって、このミッションは前進します。あらゆるクラウドで、これまでより簡単かつ迅速にAIモデルやアプリケーションを構築し、デプロイして実行できるようになったのです。これらのツールの投入により、企業は次のことが可能です。

  • IBM Watsonサービス(Watson Assistant (US)やWatson OpenScale (US)など)をあらゆるクラウドで実行できます。IBM Cloud Private for Data (US)(ICP for Data)との統合により、WatsonとWatson OpenScaleをあらゆるクラウド環境で実行できるようになりました。オンプレミスでも、プライベート、パブリック、ハイブリッドのマルチクラウドでも実行できるため、企業のデータをどこにホストしていようと、AIをデータに活用できます。企業のアプリケーションがどこにあっても関係なく、AIをアプリケーションに組み込むことができます。このような柔軟性によって、企業のデータをセキュアな環境や要件に応じた環境に配置したまま、Watsonをそのデータがある場所で使用することができます。つまり、AIの拡張を妨げている大きな障壁の1つが取り除かれます。
  • ビジネスの効率と成果を高めるために、ビジネス・プロセスを自動化するAIソフトウェアをデプロイできます。新しいAIデジタル自動化ソフトウェアにより、お客様はビジネス・プロセスのパターンを発見した上で、AIを組み込んだプログラムを作成して特定のワークフローを自動化できます。

ビジネスにAIを活用する取り組みは従来から注目を集めていますが、多くの企業はプロジェクトの推進に依然として課題を抱えています。マサチューセッツ工科大学スローン経営学大学院(MITスローン)のレポート (英語)によると、81%*1の企業が、AIに必要なデータは何であるか、そのデータにどうしたらアクセスできるかを把握していません。また、最近のガートナーの調査*2では、データや分析のリーダーは、今なおデータ環境の複雑さ、データの統合に要する時間、データの統合プロジェクトの実行必要となる費用に悩まされており、それゆえに、プロジェクトの要件定義が複数回にわたって修正され、スケジュールとデリバリー・コストが膨らんでいることが分かりました。

MITスローンによると、今なお、大半(83%)の企業が、企業内でAIを推進することは戦略的な機会につながるという考えに同意しています。

カタール開発銀行は、IBMとの協業により、IBM Innovation Hub Dohaを設立しました。このハブが展開を予定している主要なテクノロジーの1つがIBM Cloud Private for Dataです。カタール開発銀行CEOのアブドゥラジズ・アル・カリファ(Abdulaziz Al Khalifa)氏は次のように述べています。「IBM Cloud Private for Dataについて楽しみにしていることは、このプラットフォームでAIやMLマイクロサービスを使用することにより、FinTechやSportsTech分野の新たなイノベーションをどれほど迅速に推進できるようになるかということです。特に魅力的なのは、新たなモデルを素早く開発、展開できるようになり、AIにデータを取り込むのではなく、データがある場所でAIを使えるようになることです。」

ICP for Dataは、高度なデータ・サイエンス、データ・エンジニアリングおよびアプリケーション構築機能を備えたAI向けのオープンでクラウド・ネイティブな情報アーキテクチャーです。オープンであることは、ICP for Dataの核心的なポイントであり、Watson Studio (US)が重要な役割を果たしています。例えば、社内の調査*3によると、Watsonユーザーの85%が、Python、R、TensorFlowといったオープン・ソースの言語やフレームワークをWatsonファミリーの中で使用しています。

最近のレポート「The Forrester Wave™ :Enterprise Insight Platforms, Q1 2019」で、Forrester ResearchはICP for Dataを「リーダー」と評価しました。このレポートでは、データ管理、アナリティクスおよび洞察アプリケーション開発ツールを統合したエンタープライズ・インサイト・プラットフォームを分析、レビューしています。この調査で、Forresterは次のように述べています。「IBMには1週間以内にお客様が生産性を向上できる事前に統合された機能があります。また、そのMLを利用したデータ・カタロギング・ツールとデータ・ガバナンス・ツールにも感銘を受けました。IBMのプラットフォームではKubernetesを使用してオンプレミスやパブリック・クラウドでのデプロイを実現しています。」

WatsonがICP for Dataで利用可能に
本日の発表の中心は、ICP for Data用の一連の新しいWatsonマイクロサービスです。これらはオープン・ソース・テクノロジーをベースにしており、ハイブリッド・マルチクラウド環境全体で容易に拡張できます。オープン・ソースのKubernetesコンテナ・オーケストレーション・テクノロジーをベースにしたこれらの新しいWatsonマイクロサービスは、IBM Cloudでも、他のパブリック・クラウドでも、ハイブリッド・クラウドやマルチクラウド環境でも実行できます。

これらのマイクロサービスは、以下のソフトウェア・ソリューションをベースにしています。

- Watson OpenScale (US):多数のAIインスタンスを、開発された場所にかかわらず管理できるオープンなAIプラットフォームです。AIの決定がどのように導かれたかをリアルタイムで説明する機能を備えているので、透明性やコンプライアンスを高めることができます。

- Watson Assistant (US): アプリケーションとデバイスに会話型インターフェースを組み込むためのAIツールです。従来のチャットボットより高機能なWatson Assistantは、結果を検索するか、ユーザーに説明を求めるか、ユーザーを人間の担当者による個人対応に切り替えるかをインテリジェントに判断します。さらに、Watson AssistantのDiscovery Extensionは、企業の非構造化データやドキュメントに潜むインサイトを見つけ出すことができます。

これらの新しいWatsonマイクロサービスが、ICP for Dataで現在提供されているWatson StudioやWatson Machine Learning (US)などのサービスに加わりました。IBMは年内に、Watson Knowledge StudioやWatson Natural Language UnderstandingなどのWatsonサービスをICP for Dataに追加していく予定です。

本日は、このほかにも発表するニュースがあります。IBM Watson Machine Learningが新しいアクセラレーター(Watson Machine Learning Accelerator)によって拡張されることになりました。このアクセラレーターは、Power Systemsおよびx86システム上に高性能のGPUクラスタリングを実現します。IBM POWER9の業界をリードするGPUメモリー帯域幅と組み合わせることで、このソリューションは競合他社のソリューションよりも最大10倍速い*4機械学習トレーニングを提供できます。ベンチマークの結果は、こちら (US)からご覧いただけます。

IBM Business Automation Intelligence with Watson
これらのソリューションのリリースに加え、IBMはIBM Business Automation Intelligence with Watsonという近日提供予定のソフトウェア機能を発表しました。ビジネス・リーダーはAIをアプリケーションに適用し、事務員からナレッジ・ワーカーまでのヒューマン・ワークフォースとデジタル・ワークフォースを強化して、簡単な業務から複雑な業務までインテリジェントに自動化しながら、AIが業務の成果に与える影響のレベルを測定できるようになります。

IBM Business Automation Intelligence with Watsonの提供は、年内を見込んでいます。詳細はIBMの早期アクセス・プログラム (US)をご参照ください。

*1 MIT Sloan Management Review, Reshaping Business with Artificial Intelligence
*2 Gartner Predicts 2019: Data Management Solutions, Dec. 6, 2018.
*3 IBM internal study, Feb. 6, 2019.
*4 IBM Systems Blog: New Watson Machine Learning Accelerator for Power Systems

IBMと人工知能について
IBMは、企業向けのAIにおける世界的リーダーです。これまでにWatsonソリューションを20の業界と80カ国の顧客との何千もの事例において導入してきました。IBMのWatsonソリューションは、10大自動車メーカーのうちの7社と10大石油ガス会社のうちの8社など、業界内のさまざまな場所で広く使われています。また、IBM ResearchはAI科学における世界的リーダーです。2018年には、IBMは1,600のAI関連の特許を取得しました。さらに、IBMは最近、IBM Researchのサイエンティストによって開発された最先端のProject Debater (US)を公開しました。

「Think」では、IBMがさまざまな形でよりスマートなビジネスを構築することによって世界の働き方に変革をもたらしていることを裏付ける、顧客エンゲージメント、パートナーシップ、テクノロジー・ブレークスルー、開発者ツールをご紹介します。当社は、AI、クラウド、ブロックチェーン、量子コンピューティングといった革新的テクノロジーを、小売、銀行、医療をはじめとする幅広い業界で培った豊富な経験と結び付けています。イベントの詳細については、Twitter(#Think2019、@ibmlive)をご覧ください。また、イベント・スケジュールの詳細やソーシャル・メディアの最新情報は、http://www.ibm.com/think2019https://www.ibm.com/events/think/でご確認ください。

当報道資料は、2019年2月12日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2019-02-12-IBM-Watson-Now-Available-Anywhere (US)

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