新型コロナウイルス蔓延の中、AIや自動化が前面に

2020年5月6日

AIやクラウド・コンピューティングに投資していない企業は、競争力において重大な弱点があることに気づくでしょう。水曜日に行われたIBM Cloud & Data Platformシニア・バイスプレジデントのロブ・トーマスの基調講演に登場した各社のエグゼクティブはそう語っています。

新型コロナウイルスによる危機がその弱点をより鮮明にしています。

トーマスはThink Digitalの基調講演「AIと自動化は働き方をどのように変えるのか」の中で次のように述べています。「私たちが直面している危機は、いずれにせよ起こっていたであろうことを加速させるものだと思います。つまり、私たちの目の前にチャンスがある、ということです。」

新型コロナウイルスの蔓延以前に業務やITの変革を行うためにAIを導入することに注力していた企業の年間の売上成長率は、競合他社を165%上回っていたとトーマスは述べています。

その勢いを持続させるためにトーマスが発表したのが、新しいIBM製品、Watson AIOpsです。ITシステムやインフラストラクチャーのレジリエンス向上を目的として開発されました。ITのダウンタイムはつまり、収益の損失を意味すると述べています。AIと予測ツールを連携させたこのソリューションは、障害の発生を防ぐだけでなく、実際にそれが起こった場合に迅速に回復させることができるのです。

IBM Data and AI製品開発担当バイスプレジデントのジェシカ・ロックウッドは100以上のIBM Researchの特許を使用して開発されているこのアプリケーションについて、次のように述べています。「リアルタイムでデータソースやツール間の点と点をつなぐよう学習しており、問題の迅速な検出と診断を支援します。」

Watson AIOps以前にも、Watson Assistant for Citizens (※日本展開なし) などの最新のAI関連のイノベーションが発表されています。Watson Assistant for Citizensは、政府や機関による利用を想定したカスタマー・サポートのソリューションで、政府や機関が新型コロナウイルスに関連する情報を人々に提供するために使用でき、従業員がそのような応対から離れ、より重要な業務に従事できるようになっています。新型コロナウイルスに関する最も一般的な問い合わせにも対応しているこのソリューションは、世界中の企業で採用されているAIであるIBM Watson Assistantを活用しています。

お客様がAIの強みを裏づけ

講演の中で、IBM Watsonをすでに導入しているお客様が、これをどのように業務に活用しているか語ってくれました。

Lufthansa GroupのHead of Data & AnalyticsであるMirco Bharpalania氏は、航空機の運航を行うLufthansa社がもつ膨大な旅行データをもっと活用できないかという思いや、テクノロジーの活用を切望する新しい従業員からのプレッシャーから、AIを活用した進化したプログラムが生まれたと語っています。

「適切なタイミングで適切なデータを提供すれば、AIやアナリティクスで強化することによって、お客様により良い体験を提供できると心から信じています。当社のネットワークをどこに拡大するかといった長期的な計画や、遅延した便の乗り継ぎのお客様を待つかどうかといった短期的な選択など、従業員が的確な判断を行えるようサポートもしています」とBharpalania氏は話しています。

UPS社では、コスト削減や効率の向上を目的としてリアルタイム管理を構築するためにAIを活用しています。United Parcel Service Advanced Analytics GroupのDirector of Data Science and Machine LearningであるMallory Freeman氏は次のように述べています。「イノベーションの文化を手に入れることは、我が社におけるAIやデータサイエンスの未来のための鍵となるものと考えています。」

税関の費用の管理やドライバーへの適切なルートの提供など、あらゆることをサポートしてくれるツールを構築している背景となる考えをFreeman氏は話しています。UPS社は最新技術を活用した物流ネットワークを通じて、毎年約1億マイルの削減を実現し、それにより1,000万ガロンの燃料と5,000万ドルのコストを節約しています。

PayPal社に関しては、同社のData Strategy & Vendor RelationsのDirector of Common PlatformsであるMelissa Molstad氏が次のように語っています。「カスタマーサポートチームは、通常オフィスで電話を受けますが、在宅勤務になりそれができなくなっています。そんな中、Watsonを活用したチャットボットが多くのお客様の最初の窓口となってくれています。チャットボットは1か月あたりおよそ125万件の問い合わせに対応をしています。時代の変化に伴い、時代の変化に伴い、既存の機能を柔軟に活用できることが私たちにとって非常に強力なものとなっています」

働き方文化の永久的な変化を感じるパートナー各社

IBMのパートナー各社は、オフィスに戻ったとしても仕事の本質は決して同じではないかもしれないと考えています。しかし、AIや自動化に投資をしているこれらの企業の方々は、一歩先を行く存在となるでしょう。

文書管理サービスを提供するBox社のCEO兼共同創業者のAaron Levie 氏は今後ビジネス界では、持てる企業と持たざる企業の時代を迎えるだろうと語っています。彼は、それは資金があるか否かのような典型的なものではなく、自動化やAI、デジタルを活用してお客様にサービスを提供することについて考えてきたか否かだと話しています。

「これらのことに長けている企業、すなわち自分たちの職場の環境であれ基幹的な業務についてであれ、このような取り組みに投資する企業は成長し、規模を拡大し続けることができるのです」と語っています。

コラボレーション・ソフトウェアのSlack社のCEOであり共同創業者のStewart Butterfield氏は次のように考えています。「意思決定や進捗状況の評価、コミュニケーションをするのに、直接会ってのミーティングやEメールに完全に依存している場合は、移行はかなり厳しいものになります。しかし、今回の危機は「意図的な変化」を起こすための誘因を与えてくれた、とButterfield氏は話します。企業によっては、より良い働き方文化が実際に生まれてくると願っています。」